不死鳥契約 ~全能者の英雄伝~

足将軍

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第九章

魔王軍本隊②

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仕方ない・・・本気出すか・・・
俺は剣を取り出した。
冒険者の薄い守りの中、ゆっくり魔王軍の方角へ進む。

「どいてくれ、俺がやる」

俺は冒険者に道を開けさせ、最前線に立つ。

「アイツ、何する気だ?」
「まだ学生のようだが・・・」
「死ぬのがオチだ・・・止めとけ・・・」

後ろでゴチャゴチャ言われているが、気にせず一撃目を使おう。
魔力量から考えて撃てるのは千発ぐらいだtw
まず、一発目・・・

ヒュッ

俺は剣が壊れないギリギリの地点までの魔力を込めて魔王軍に向かって横に振った。

ズバーーーーン!

振った約一秒後に魔力の固まりが刃となり、すぐそこまで近付いていた魔物の体を横に切り裂いたのだ!

「だいたい・・・百か・・・」

百ならば、千発でギリギリ十万倒せる。
最後の方が持つか分からないが・・・
そう思っていると、後ろの冒険者が声を上げた。

「おおおおおお!!」
「あの学生やるじゃねぇか!」
「これなら勝てるぞ!」

とりあえずコイツらは無視するが・・・

続いて二発目、三発目、四発目・・・

◆◇◆◇◆一時間後◆◇◆◇◆

・・・七百十七発目、七百十八発目・・・
それは魔王軍に大打撃を与え、こっちには死傷者が誰もいない時だった。

ん?敵が何かを取り出している・・・?

魔王軍はサン・カシエルを捕まえていた時のような十字架を取り出した。
今回は・・・シャル・カシエルが捕まっている・・・

気絶していて、この前の傷は死ぬ前に回復魔法でも使ったのか塞がれている。
貴族の次は、その養女か・・・

まぁ、あの元祖チビリ太郎よりは効果あるかもしれんな・・・
しかし、どうしよう・・・

この前の馬鹿(ライオン面)とは違うだろうし・・・

「シャル!!!!」

ん?今レイン・カシエルの声が・・・
いやいやアイツは今、学校に避難してるはずだし・・・

「シャル!今、兄さんが助けるからな!」

・・・うん、レイン・カシエルだね。
でも残ってるの魔王軍の幹部っぽい奴ばっかだし・・・
レイン・カシエルは魔王軍の幹部一人にも負けるぐらいだ。
普通に考えればコイツ死ぬぞ?

「うおおおおおおお!」

ペシッ

「ぐわ!」

魔王軍幹部がデコピンをする。
デコピンでレイン・カシエルは五メートルほど飛ばされる。
よ、弱い・・・

いや、デコピンが強いのか?
とりあえず、他の幹部を殺すか・・・
俺はレイン・カシエルがボコボコにされてる二十分で残り百まで敵を追い詰めた・・・
こっちの冒険者は何もしておらず無傷、さらに全員で二百人いる。
これなら勝てるかのしれないが・・・
冒険者二人で残った強い幹部的な奴を一人ずつ相手にして勝てるか?
正直わからない所だ。

「魔王様!どうすれば・・・」
「アイツをだそう・・・」

魔王様と呼ばれたモンスターは・・・顔はヤギで体に炎を纏っている。その上、三メートル程の背丈・・・
おそらく見た目からして悪魔クラスのイフリートだろう・・・

しかし、イフリートが言ってるアイツとは・・・
こんな危機状況に出すと言う事は、秘密兵器辺りだろう。
悪魔クラスが言うほどなんだ、とんでもなく強いのだろう・・・
すると奥から出てきたのは黒い鎧を着て血がベットリと付いている剣を装備している男。
そして男は・・・

「シード・カシエルか……」
「おいクロ!どうする?レイン副会長の前で殺すのか!?」

ジルが俺に語りかける

「・・・ジル・・・ヤバい・・・魔力切れた・・・」

バタッ

俺はその場で倒れる・・・
魔力は待てば回復するが、俺は常にリンとメリィに魔力供給をしている。
それを計算に入れていなかった・・・
俺が倒れた様子をみた魔王軍は・・・

「アイツ魔力が切れたらしいぞ!」
「今を逃す手はない!攻めるぞ!」
「魔力を受け渡される前に殺せ!」

・・・ヤバいな・・・あれは全員、高ランクの魔族ばっかりだ・・・
しかも、魔力の受け渡しは時間が相当ないと出来ない技だし・・・

簡単な方法はマジックアイテムか、口から魔力を直接体内に、入れることぐらいだし・・・
あれ?俺今、絶対絶命じゃね?

何とか目を開くと、ジルとガルド先生が頑張って俺を守っている・・・

あぁ・・・立たなきゃ・・・
俺は立とうとするが、魔力切れなので立ち上がれない。
魔力切れの場合、一日休んでやっと元通りなのだが・・・

俺は魔力量が人より遥かに多いため、一日では無理だろう・・・

魔王軍幹部を倒しているが二人はもう体力の限界のようだ・・・

するとそこへ、銀色の長い髪をした二本の剣を持った女の子が来た。
その女の子の顔は凄く必死で大切な何かを守ろうとしている。
魔王軍がその子の前に立ち塞がり戦おうとするが、その女の子は剣を持っているのにも関わらず、敵の攻撃を流してこっちに向かおうとする。
敵に背を向けながらも必死にこちらに向かってくる。

あれは・・・シロ・・・か?

「我らに背を向けるとは舐めた真似を!」
「・・・っ!」

怒った魔王軍に背中を切り付けられる。
シロ(?)は背中を切られ、倒れる。
それでもすぐに起き上がり、こちらに向かってくる。
口からは血が出ている。

幻覚でも見ているのだろうか・・・
シロがここにいるはずがない。
街に避難してるはずだ・・・
俺は・・・なんで寝ているんだ?
幻覚といっても目の前でシロが満身創痍で向かってくる。
その顔は涙で濡れており、口からは血も出ている。

「な・・・んで・・・?ここ、に」

シロ(幻覚?)は俺に近付いてきた。
何をするんだろう・・・
シロは敵がすぐそこに近付いてるのにも関わらず、膝を付いた。
その次の瞬間、彼女は俺に口付けをした。
口付けをしながら血を俺の口に流している。

その時、彼女の魔力が俺の中に流れるのを感じた・・・
俺はすぐに元気の五十分の一位を回復した。
俺はそれだけだが、魔力切れは解消された。

俺はシロの頭を撫でた。
シロは顔を上げると「生きていてくれて、ありがとう」と言って、倒れた。
俺はすぐさまシロから貰った魔力で結界を張った。
治癒を使うと魔力の消費が激しいからだ。
大丈夫、まだ生きてる。
使った結界は【治癒】【防壁】【魔力回復】の力を備えている。
絶対に死なせない。
彼女は絶対に死なせない。

「シロ・・・ごめん、ありがとう」

そう言うと、シロは「頑張って・・・」と笑ってくれた。
さて・・・魔王軍を潰すか・・・
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