不死鳥契約 ~全能者の英雄伝~

足将軍

文字の大きさ
上 下
66 / 86
第九章

魔王軍本隊②

しおりを挟む
仕方ない・・・本気出すか・・・
俺は剣を取り出した。
冒険者の薄い守りの中、ゆっくり魔王軍の方角へ進む。

「どいてくれ、俺がやる」

俺は冒険者に道を開けさせ、最前線に立つ。

「アイツ、何する気だ?」
「まだ学生のようだが・・・」
「死ぬのがオチだ・・・止めとけ・・・」

後ろでゴチャゴチャ言われているが、気にせず一撃目を使おう。
魔力量から考えて撃てるのは千発ぐらいだtw
まず、一発目・・・

ヒュッ

俺は剣が壊れないギリギリの地点までの魔力を込めて魔王軍に向かって横に振った。

ズバーーーーン!

振った約一秒後に魔力の固まりが刃となり、すぐそこまで近付いていた魔物の体を横に切り裂いたのだ!

「だいたい・・・百か・・・」

百ならば、千発でギリギリ十万倒せる。
最後の方が持つか分からないが・・・
そう思っていると、後ろの冒険者が声を上げた。

「おおおおおお!!」
「あの学生やるじゃねぇか!」
「これなら勝てるぞ!」

とりあえずコイツらは無視するが・・・

続いて二発目、三発目、四発目・・・

◆◇◆◇◆一時間後◆◇◆◇◆

・・・七百十七発目、七百十八発目・・・
それは魔王軍に大打撃を与え、こっちには死傷者が誰もいない時だった。

ん?敵が何かを取り出している・・・?

魔王軍はサン・カシエルを捕まえていた時のような十字架を取り出した。
今回は・・・シャル・カシエルが捕まっている・・・

気絶していて、この前の傷は死ぬ前に回復魔法でも使ったのか塞がれている。
貴族の次は、その養女か・・・

まぁ、あの元祖チビリ太郎よりは効果あるかもしれんな・・・
しかし、どうしよう・・・

この前の馬鹿(ライオン面)とは違うだろうし・・・

「シャル!!!!」

ん?今レイン・カシエルの声が・・・
いやいやアイツは今、学校に避難してるはずだし・・・

「シャル!今、兄さんが助けるからな!」

・・・うん、レイン・カシエルだね。
でも残ってるの魔王軍の幹部っぽい奴ばっかだし・・・
レイン・カシエルは魔王軍の幹部一人にも負けるぐらいだ。
普通に考えればコイツ死ぬぞ?

「うおおおおおおお!」

ペシッ

「ぐわ!」

魔王軍幹部がデコピンをする。
デコピンでレイン・カシエルは五メートルほど飛ばされる。
よ、弱い・・・

いや、デコピンが強いのか?
とりあえず、他の幹部を殺すか・・・
俺はレイン・カシエルがボコボコにされてる二十分で残り百まで敵を追い詰めた・・・
こっちの冒険者は何もしておらず無傷、さらに全員で二百人いる。
これなら勝てるかのしれないが・・・
冒険者二人で残った強い幹部的な奴を一人ずつ相手にして勝てるか?
正直わからない所だ。

「魔王様!どうすれば・・・」
「アイツをだそう・・・」

魔王様と呼ばれたモンスターは・・・顔はヤギで体に炎を纏っている。その上、三メートル程の背丈・・・
おそらく見た目からして悪魔クラスのイフリートだろう・・・

しかし、イフリートが言ってるアイツとは・・・
こんな危機状況に出すと言う事は、秘密兵器辺りだろう。
悪魔クラスが言うほどなんだ、とんでもなく強いのだろう・・・
すると奥から出てきたのは黒い鎧を着て血がベットリと付いている剣を装備している男。
そして男は・・・

「シード・カシエルか……」
「おいクロ!どうする?レイン副会長の前で殺すのか!?」

ジルが俺に語りかける

「・・・ジル・・・ヤバい・・・魔力切れた・・・」

バタッ

俺はその場で倒れる・・・
魔力は待てば回復するが、俺は常にリンとメリィに魔力供給をしている。
それを計算に入れていなかった・・・
俺が倒れた様子をみた魔王軍は・・・

「アイツ魔力が切れたらしいぞ!」
「今を逃す手はない!攻めるぞ!」
「魔力を受け渡される前に殺せ!」

・・・ヤバいな・・・あれは全員、高ランクの魔族ばっかりだ・・・
しかも、魔力の受け渡しは時間が相当ないと出来ない技だし・・・

簡単な方法はマジックアイテムか、口から魔力を直接体内に、入れることぐらいだし・・・
あれ?俺今、絶対絶命じゃね?

何とか目を開くと、ジルとガルド先生が頑張って俺を守っている・・・

あぁ・・・立たなきゃ・・・
俺は立とうとするが、魔力切れなので立ち上がれない。
魔力切れの場合、一日休んでやっと元通りなのだが・・・

俺は魔力量が人より遥かに多いため、一日では無理だろう・・・

魔王軍幹部を倒しているが二人はもう体力の限界のようだ・・・

するとそこへ、銀色の長い髪をした二本の剣を持った女の子が来た。
その女の子の顔は凄く必死で大切な何かを守ろうとしている。
魔王軍がその子の前に立ち塞がり戦おうとするが、その女の子は剣を持っているのにも関わらず、敵の攻撃を流してこっちに向かおうとする。
敵に背を向けながらも必死にこちらに向かってくる。

あれは・・・シロ・・・か?

「我らに背を向けるとは舐めた真似を!」
「・・・っ!」

怒った魔王軍に背中を切り付けられる。
シロ(?)は背中を切られ、倒れる。
それでもすぐに起き上がり、こちらに向かってくる。
口からは血が出ている。

幻覚でも見ているのだろうか・・・
シロがここにいるはずがない。
街に避難してるはずだ・・・
俺は・・・なんで寝ているんだ?
幻覚といっても目の前でシロが満身創痍で向かってくる。
その顔は涙で濡れており、口からは血も出ている。

「な・・・んで・・・?ここ、に」

シロ(幻覚?)は俺に近付いてきた。
何をするんだろう・・・
シロは敵がすぐそこに近付いてるのにも関わらず、膝を付いた。
その次の瞬間、彼女は俺に口付けをした。
口付けをしながら血を俺の口に流している。

その時、彼女の魔力が俺の中に流れるのを感じた・・・
俺はすぐに元気の五十分の一位を回復した。
俺はそれだけだが、魔力切れは解消された。

俺はシロの頭を撫でた。
シロは顔を上げると「生きていてくれて、ありがとう」と言って、倒れた。
俺はすぐさまシロから貰った魔力で結界を張った。
治癒を使うと魔力の消費が激しいからだ。
大丈夫、まだ生きてる。
使った結界は【治癒】【防壁】【魔力回復】の力を備えている。
絶対に死なせない。
彼女は絶対に死なせない。

「シロ・・・ごめん、ありがとう」

そう言うと、シロは「頑張って・・・」と笑ってくれた。
さて・・・魔王軍を潰すか・・・
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

処理中です...