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第五章
フェニクス代表戦二日前~一日前
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俺達はいつものように訓練をしている。
訓練と言ってもこれからチーム同士での訓練があるから準備運動程度だ。
訓練が終わると暇なので今戦っているチームの様子を見る。
戦っているのはBチームつまりレイン・カシエルのチームと、Eチームつまりシード・カシエルのチームだ。
見ているとBチームは昨日と同じ戦法で戦っている。
レイン・カシエルの突撃でEチームの前衛一人が気絶、残りの二人の内シード・カシエルが降参して、それを見た最後の一人も降参。
…酷いもんだ。
「こりゃ酷いな」
ジルもそう思ったらしい。
「ですね」
レナも思ったのか…まぁあの戦い方は確かに酷い。
酷いと言ったのはEチームの事だ。
戦い方は一人が剣で前衛。
シード・カシエルも剣なのだが指示を出すとかなんとか言って後衛、そんでもって指示らしい指示が出来ていない。
最後の一人は魔法での援護なのだが…
詠唱を言おうとすると途中で必ず噛んで終わる。
緊張するとこうなるらしい…普通に魔法名だけでいいだろ…
「あ、俺ら番が来たぞ、相手は…Cチームか昨日の突撃作戦は変わったかな?」
俺らは昨日と同じ位置に立つ。
相手は…
「ん?なんだありゃ」
相手チームは口から泡を吹いて奇妙に歩いてる。
まるで死霊系のゾンビだ。
首は傾いており、目は焦点があっていない。
明らかに様子がおかしい。
「何か様子が変ですよ?」
「そうだな、まぁ「ピーーーー」どうせ毒キノコの拾い食いでも…!」
開始の合図と同時に相手は消え、俺の目の前まで来ていた。
転移か?いや転移とは違う、何の魔力も感じなかった…
相手は消えたのではなく、人間離れした脚力で俺の位置まで走ったのだ!
足に強化魔法を使ってる訳じゃない。そんな事をやっているところは見ていない。
だとすると足は生身のはず…
昨日の身体能力を見ると鍛えてるとは思えない…だから反動で相当の痛みがあるはずだ。
だとすると…呪い。
呪いとは闇魔法の一種で、本来は何かを代償に何かを得る…といった効果があるはずだ。
ありえるとしたら自我を失わせる代わりに能力の向上だろう。
「…ッ!」
俺が剣で受け流す、すると受け流した相手の剣先が飛び、地面に刺さった。
地面に刺さった剣は燃えた葉のように散り散りになった。やはり何かの呪いの類を受けてるようだ…・
「クロさん!」
レナが俺の異変に気付き、暴走した生徒の腕を鎖で拘束。
暴走した生徒は腕に絡まる鎖をもう片方の腕で引き、レナを投げ飛ばした。
もうこれはあれしか可能性は無いな。
「ジル!こいつら多分呪いを受けている!スレイプニルで浄化しろ!」
コイツらは明らかに呪いの類の魔法を受けている。
俺がやろうと思えばコイツは肉片にすることが出来る。
それは殺人罪なので出来ない。
スレイプニルの場合、浄化の力があるので呪いを引っぺがせる。
リンにも呪いの浄化は出来るが今は無理と押し切られてしまった。
あと少しでメリィにチェスで勝てそうらしい。
自我を失うとなると誰かに操られているはずだ、自我を失わせるほどの呪い、それを操るほどの力、恐らく魔族以上だろう。
「なるほど、了解!こい!ライセイ!」
魔方陣からスレイプニルが現れる。
「今、オヤツ中なんですけど……」
ライセイは人の姿で座布団に正座し、ちゃぶ台の上の煎餅を食べている。醤油味だ!
「こいつらに掛かってる呪いを浄化してくれ!」
「はぁ…承知」
ライセイはちゃぶ台を魔法陣の中に入れてスレイプニルの姿になった。
次に角を空に向かって掲げた。
角の先がピカーっと光ると、暴走していた生徒は突然倒れた。あっけないな…
「おーい、大丈夫か?」
ガルド先生がやっと、生徒に呼ばれて来た。
「もう終わりましたよ!」
ジルが言うとガルド先生は真剣な顔で倒れた生徒を見る。
先程までは人事のように話していたが、流石に状況を察したらしい。
「これは…何があった?」
俺はガルド先生に暴走した事と、何かに呪いの類の魔法を掛けられていた事を話した。
するとガルド先生は学園長に報告しに行った。
もう帰れと言われたのでその日は帰って寝たのであった―――
この日は代表生徒以外は学校が休みで代表生徒は明日のフェニクス代表戦の説明を受ける。昨日の件はまだ解決していないらしい
説明がこちら。
・学園集合後、転移魔法で王都のコロシアムに行く。
・この代表戦は国の代表を決めるので、活躍した生徒にスカウト等が来ることが多い
・昼食は自由
・代表戦が終わったら全員で転移魔法を使い学園に帰る。
こんな感じだ。
俺達は「明日に備えて帰れ、寄り道はするなよ?」と言われたので、大人しく帰ってジルとライセイとリンとメリィと俺でトランプして一日を過ごした。
どうでもいいがトランプはメリィの圧勝となった。
訓練と言ってもこれからチーム同士での訓練があるから準備運動程度だ。
訓練が終わると暇なので今戦っているチームの様子を見る。
戦っているのはBチームつまりレイン・カシエルのチームと、Eチームつまりシード・カシエルのチームだ。
見ているとBチームは昨日と同じ戦法で戦っている。
レイン・カシエルの突撃でEチームの前衛一人が気絶、残りの二人の内シード・カシエルが降参して、それを見た最後の一人も降参。
…酷いもんだ。
「こりゃ酷いな」
ジルもそう思ったらしい。
「ですね」
レナも思ったのか…まぁあの戦い方は確かに酷い。
酷いと言ったのはEチームの事だ。
戦い方は一人が剣で前衛。
シード・カシエルも剣なのだが指示を出すとかなんとか言って後衛、そんでもって指示らしい指示が出来ていない。
最後の一人は魔法での援護なのだが…
詠唱を言おうとすると途中で必ず噛んで終わる。
緊張するとこうなるらしい…普通に魔法名だけでいいだろ…
「あ、俺ら番が来たぞ、相手は…Cチームか昨日の突撃作戦は変わったかな?」
俺らは昨日と同じ位置に立つ。
相手は…
「ん?なんだありゃ」
相手チームは口から泡を吹いて奇妙に歩いてる。
まるで死霊系のゾンビだ。
首は傾いており、目は焦点があっていない。
明らかに様子がおかしい。
「何か様子が変ですよ?」
「そうだな、まぁ「ピーーーー」どうせ毒キノコの拾い食いでも…!」
開始の合図と同時に相手は消え、俺の目の前まで来ていた。
転移か?いや転移とは違う、何の魔力も感じなかった…
相手は消えたのではなく、人間離れした脚力で俺の位置まで走ったのだ!
足に強化魔法を使ってる訳じゃない。そんな事をやっているところは見ていない。
だとすると足は生身のはず…
昨日の身体能力を見ると鍛えてるとは思えない…だから反動で相当の痛みがあるはずだ。
だとすると…呪い。
呪いとは闇魔法の一種で、本来は何かを代償に何かを得る…といった効果があるはずだ。
ありえるとしたら自我を失わせる代わりに能力の向上だろう。
「…ッ!」
俺が剣で受け流す、すると受け流した相手の剣先が飛び、地面に刺さった。
地面に刺さった剣は燃えた葉のように散り散りになった。やはり何かの呪いの類を受けてるようだ…・
「クロさん!」
レナが俺の異変に気付き、暴走した生徒の腕を鎖で拘束。
暴走した生徒は腕に絡まる鎖をもう片方の腕で引き、レナを投げ飛ばした。
もうこれはあれしか可能性は無いな。
「ジル!こいつら多分呪いを受けている!スレイプニルで浄化しろ!」
コイツらは明らかに呪いの類の魔法を受けている。
俺がやろうと思えばコイツは肉片にすることが出来る。
それは殺人罪なので出来ない。
スレイプニルの場合、浄化の力があるので呪いを引っぺがせる。
リンにも呪いの浄化は出来るが今は無理と押し切られてしまった。
あと少しでメリィにチェスで勝てそうらしい。
自我を失うとなると誰かに操られているはずだ、自我を失わせるほどの呪い、それを操るほどの力、恐らく魔族以上だろう。
「なるほど、了解!こい!ライセイ!」
魔方陣からスレイプニルが現れる。
「今、オヤツ中なんですけど……」
ライセイは人の姿で座布団に正座し、ちゃぶ台の上の煎餅を食べている。醤油味だ!
「こいつらに掛かってる呪いを浄化してくれ!」
「はぁ…承知」
ライセイはちゃぶ台を魔法陣の中に入れてスレイプニルの姿になった。
次に角を空に向かって掲げた。
角の先がピカーっと光ると、暴走していた生徒は突然倒れた。あっけないな…
「おーい、大丈夫か?」
ガルド先生がやっと、生徒に呼ばれて来た。
「もう終わりましたよ!」
ジルが言うとガルド先生は真剣な顔で倒れた生徒を見る。
先程までは人事のように話していたが、流石に状況を察したらしい。
「これは…何があった?」
俺はガルド先生に暴走した事と、何かに呪いの類の魔法を掛けられていた事を話した。
するとガルド先生は学園長に報告しに行った。
もう帰れと言われたのでその日は帰って寝たのであった―――
この日は代表生徒以外は学校が休みで代表生徒は明日のフェニクス代表戦の説明を受ける。昨日の件はまだ解決していないらしい
説明がこちら。
・学園集合後、転移魔法で王都のコロシアムに行く。
・この代表戦は国の代表を決めるので、活躍した生徒にスカウト等が来ることが多い
・昼食は自由
・代表戦が終わったら全員で転移魔法を使い学園に帰る。
こんな感じだ。
俺達は「明日に備えて帰れ、寄り道はするなよ?」と言われたので、大人しく帰ってジルとライセイとリンとメリィと俺でトランプして一日を過ごした。
どうでもいいがトランプはメリィの圧勝となった。
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