不死鳥契約 ~全能者の英雄伝~

足将軍

文字の大きさ
上 下
35 / 86
第五章

フェニクス代表戦三日前①

しおりを挟む
俺とジルはいつものように寮をでて学校に向かった。
すると校門の前にある人物が仁王立ちしていた。

・・・俺はその場でその人物を殺すか考えたが今騒ぎを起こすと面倒くさいので、通り過ぎようとした

「ふっ、驚いているのだろ?俺がこの短期間で復活したことを・・・」

そう、その人物は精神崩壊して俺が(痛め付ける為)蘇らせたシード・カシエルだ。

驚いたけどわざわざここでそれを言う為に待つ意味はない気がする・・・
それに足を少し崩している。
おそらく何時間も前から待っていたのだろう・・・
俺が憐れみの目で見ているとシード・カシエルは笑っている。

「ふっふっふ、わかるぞ!その目は俺の姿を見て絶望している目だな!」

・・・面倒くさい・・・

「あ、はい、じゃあそれでいいです」

するとジルが俺に耳打ちをしてきた。

「クロ、コイツマジで頭イってる奴だ、怒ると多分猿みたいにキキーって言うから目を合わさない方が良いぞ」
「そうだな、野生動物には目を合わせると襲って来るって聞くし・・・」

俺達がコソコソ声で言っていると、シード・カシエルが声を荒げて笑う。

「ハッハッハ!どんな作戦を考えても俺には勝てない!俺は賢者の石を手に入れたのだからな!!ハッハッハ」

賢者の石?賢者の石って特定の属性の魔法を全て覚えるってあれか?

レイチェルさんの家にあった奴は確か濃厚な魔力の塊みたいな感覚があったけどシード・カシエルが持ってるあれ・・・ただの石ころだぞ?多分騙されたんだな。
いくらで買わされたんだろ?

「やべーよ、クロあいつあの石ころを賢者の石って言ってやがる」
「お前賢者の石見たことあるのかよ・・・」
「ないけどあれから何も感じられないことはどんな馬鹿でも分かるぞ!?」

俺達がコソコソ声でずっと話しているとシード・カシエルは笑いを止めて俺達を馬鹿にするような目で見下してきた。

「お前達はもう飽きた、それでは賢者の石の力を見るが良い!!」

シード・カシエルが賢者の石(爆笑)を天に掲げる。

しかし、何も起こらない・・・

「うおおおおお!!力が溢れてくる!」

それ気のせいです(爆笑)

「うおおお!・・・ん?」

どうやら何も無いことに気付たらしい。
俺は不思議そうに賢者の石(馬鹿じゃねぇの?)を見ているシード・カシエルにこう言った。

「ウワー、ナンダアノマリョクハー、コンナノカテナイー」

うん、棒読みになったな。
これじゃあ、多分これ以上は面白いことが起きないだろう・・・

「おいクロ!もう既に手遅れなアイツにそんなこと言ったら「ハッハッハ!」」

ジルの耳打ちを終える前にまたもやシード・カシエルの笑い声が・・・
まさか・・・騙されてないよな?

「何だこの力は!?明らかに俺は強くなっている!!感じるぞ!」

・・・それ気のせいです。
シード・カシエルは俺に手を向けた

「今ならイケる!!喰らえ!蒼炎!!」

蒼炎とは蒼い炎だ、火属性の最高クラスの技。別名【神の炎】と呼ばれる
しかし、シード・カシエルの手からは何も出ない・・・
まぁ、そうなるよね・・・
だってコイツ何も変化ないもん。

「じゃあ、俺ら学校遅刻しそうだからじゃあな」
「生徒会長(爆笑)放課後会いましょう!」
「待て!まだお前らを許してはいな・・・!」

シード・カシエルが俺の肩を触れようとしたので俺は振り向き、シード・カシエルの制服の襟を掴み、こう言った。

「今は殺さないって言ってやってるんだ。分かったら失せろ」

俺はシード・カシエルの制服の襟を離した。
シード・カシエルは地面に尻餅を着いた。
チョロチョロチョロチョロ。

「・・・汚っ!」
「ん?どうしたー、さっさと行くぞークロ」

ジルは十メートルほど離れていて、シード・カシエルは俺の影にいて見えないらしい。

「いや、何でもないから行くか!遅刻しちまう!」

・・・お漏らし・太郎のあだ名はもう確定だな

俺はジルと学校に向かい、結局間に合わず一緒に怒られた・・・
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

処理中です...