不死鳥契約 ~全能者の英雄伝~

足将軍

文字の大きさ
上 下
25 / 86
第三章

ランキング戦一週間前①

しおりを挟む
「あー、今日からランキング戦準備期間なので午後からは課外活動とする。各自三人以上でパーティーを組んでおくように、では昼休みだ」
「ガルド先生~」

ガルド先生が教室に出る前にジルが質問をする。

「なんだ?」
「組んじゃダメな人っていますか?」
「学校内の人間なら誰でも良い」

ジルの意図が読めない質問にガルド先生は答えて教室を出た。

「ジル、今の質問の理由聞いていいか?」
「あぁ、俺達二人しかいねぇからもう一人ガルド先生を誘おうぜ!」
「先生ってありなのか…」
「さっき学校内の人間なら良いって言ったよな!」

俺はようやくさっきの質問の意図が読めた。
お前…天才かっ!

「その手があったか!!」
「おう!行くぜ!!」

俺達はそのあとたっぷり叱られました―――






職員室をようやく出ることが出来、廊下を歩きながら話す。

「くっそぉ~、まさか生徒限定だったとは・・・不覚である・・・」

まぁ大体予想はしてたけどな。

「ジルがガルド先生に向かって「先生が一番暇そうだからです!」とか言うからだろー」

そう、さっき説教の最中で「大体何で俺なんだ?」と言ったらジルがその言葉で返し余計怒られたのだ。

「わりぃわりぃ、でも、大体の生徒がもう決めちゃってるなぁ」

説教のとジルの言葉のせいで昼休みがだいぶ削られほとんどの生徒が決めていしまっている。
ランキング戦は全学年同時なのでほとんどの人が決めている。

「一年ではほとんど決まってるから二年の方に行くか……」

「そうだな……」

俺達はダルそうに歩いていった。何故なら二年生も同じではないかと思っているからだ。
入学してまもなく人間関係がまだ曖昧な一年生でもほとんど決めてしまっている。
その分、一年間共に勉強をしたであろう二年生だと余計早く決まってしまうだろう。
若干諦めながら二年のいる二階に着いた。

「いねぇかなー」

ジルが半分諦めかけた声で言うと、とても体が細くまるで女の子じゃないかと思われるほどの男子制服を着た二年生がいた。その生徒は体の細さから魔物なんて倒せないだろうと、誰にも相手にされない様子だった。

「…………なぁジル俺は目の前にちょうど良い可哀相なのを見つけたんだが」
「奇遇だなクロ、俺もだ」

俺達はその先輩の元に近付いた。

「はぁ、誰にも相手にされない…」
「あの~」
「ん?誰だい?一年生?」

その先輩は俺達が誘うと言った途端ピョンピョン飛びはねながら喜んでいた。
反応が小動物みたいだな…

「本当!やったー!嬉しいな~」
「じゃあ先輩、名前は?俺はクロ、闇属性です」
「あ、俺はジル、光属性です」

俺達が軽く挨拶をすると跳ねるのをやめて満面の笑みで握手しながら自己紹介してきた。

「僕はサファイア、風属性だよ!よろしくね!クロ!ジル!」
「あ、あぁよろしくお願いします……」
「え、えっとよろしくお願いしやす……」

サファイア先輩のテンションに押されて戸惑う俺達。
どれだけ他の人に相手にされなかったんだよ…
本気で同情したくなってきたぞ…

「じゃあ、先生に言いにいこっか!」

サファイア先輩が先導して歩いてる中、俺こそこそっと話していた。

「(きっと誰にも誘われずに悲しかったんだろな…)」
「(クロ。あの先輩切な過ぎるぜ!うぅ…)」

ジルも同じ事を考えていたようだ…
俺は少し気になる事がありサファイア先輩に聞いた。

「サファイア先輩、先輩ってその蒼い瞳でサファイアって名前付けられたんですか?」

サファイア先輩の容姿は、蒼い瞳に女の子並の顔立ち、いわゆる男の娘って奴だ。髪型はブロンド色で後ろは刈り上げて前髪下ろしている。
後ろの髪を刈り上げていなかったら性別が分からなかったかもしれない……

「……あぁ、そうだよ」

サファイア先輩は少し間を開け答えた。
蒼い瞳何て余りいないのだが……確か昔、カシエル家の傘下の貴族でそんな一族の話聞いたが……良く覚えていないので、とりあえず今は職員室にいこう―――



「ガルド先生!三人揃いました!」
「そうか、また俺が暇そうとか言ったらぶん殴ってた所だ」
「アッハッハー、ガルド先生冗談きついですよ~」

笑いながら話すジルに対してガルド先生は笑顔で言った。

「安心しろ、冗談じゃないから」

ジルの顔から笑顔が消えた……

「それで先生、この先輩とパーティー組みたいですが…」
「まぁ、生徒なら構わないぞ。名前は?」
「サファイアです!」
「サファイアな、わかった登録しておこう」

そして俺達は課外活動を迎える…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

処理中です...