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六章、事件っ!
三話、いへん
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今まで人形のように壊れた様子で、教室の隅でポツンとしていたアラカが初めて見せた自発的な悪戯。それを微笑ましく思い眺めたままにする。
「…………」
——パタン、とクローシュを閉めた。
静かに瞳を閉じて、数秒考えると。
「ウェル、このトレー持っていくの手伝って」
「うん……」
「ウェルも見ちゃったね」
「……うん」
アラカがトレーを持ち、ウェルもそれに続く形で後ろに着く。
そこで何かがおかしい、という空気が周囲に流れる。だが近付き難い二人に寄るものはおらず、かと言って先生を呼ぶことを躊躇っていた。
「(あの菊池さんが行動したのって、どんな理由なんだろ)」
「(分からない……)」
そう、行動しているのがその辺の生徒ならいい。しかし行動しているのはアラカであることが問題だった。
国の、いいや世界の最重要人物であり、保護対象でもある。加えて理知的で物事を〝考える〟ということもできる————間違いなく、何か理由があることは明白だった。
「とりあえず……一度、僕の部屋に運ぼう」
「うん」
「食欲…とか、大丈夫?」
「むー……まあ、精◯……うん……食欲に関しては、耐性あるから」
トレーを持ち上げるアラカ、そしてもう先生を呼びに行こうか、と生徒が行動した……刹那に。
「何をしてる……の、ですか」
「…………」
——パタン、とクローシュを閉めた。
静かに瞳を閉じて、数秒考えると。
「ウェル、このトレー持っていくの手伝って」
「うん……」
「ウェルも見ちゃったね」
「……うん」
アラカがトレーを持ち、ウェルもそれに続く形で後ろに着く。
そこで何かがおかしい、という空気が周囲に流れる。だが近付き難い二人に寄るものはおらず、かと言って先生を呼ぶことを躊躇っていた。
「(あの菊池さんが行動したのって、どんな理由なんだろ)」
「(分からない……)」
そう、行動しているのがその辺の生徒ならいい。しかし行動しているのはアラカであることが問題だった。
国の、いいや世界の最重要人物であり、保護対象でもある。加えて理知的で物事を〝考える〟ということもできる————間違いなく、何か理由があることは明白だった。
「とりあえず……一度、僕の部屋に運ぼう」
「うん」
「食欲…とか、大丈夫?」
「むー……まあ、精◯……うん……食欲に関しては、耐性あるから」
トレーを持ち上げるアラカ、そしてもう先生を呼びに行こうか、と生徒が行動した……刹那に。
「何をしてる……の、ですか」
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