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序章番外個体
二話、菊池アラカは壊れました。
しおりを挟む「やす、らか……」
ピキ、とアラカの頭に痛みが走り。
『ねえ、安らかな日々が過ごせるの。私。
だから笑って…?』
脳裏で不快な、アラカの大切な人の『最もみたくない光景』で埋め尽くされた。
そして鼻血が溢れ、それをみてハッ、と正道は気付く。
「……ぁ」
涙がホロリ、と溢れ、頬を伝う。それをみて正道は何処か冷静にアラカへ語りかける。
……そして心の奥底で憐れむように、そしてその対応に慣れた自分に、何処か冷めた感情を覚えながら。
「ああ、この単語もトラウマのフラッシュバックになるのか……少し待っていなさい、すぐ主治医を呼ぶ。それとこの単語は二度と言わない、ソファーで休みなさい」
鼻血と涙がぐちゃぐちゃになりながら、瞳から色が抜け落ちているアラカ。
廃人……と言っても差し支えないほどに精神的な欠陥を受けているアラカを男性はゆっくりとソファーへ誘導する。
「汚しても構わないから、さあ、ゆっくり」
「…………」
主治医がすぐに現れ、アラカの腕に注射を刺すとアラカはすぐに安定してそのまま意識を微睡に落とした。
「とりあえずアラカくんを客間に運んで……ああ、それとこれを使いなさい。夢見が幾らか良くなるだろう」
数少ないお香集めという趣味。その中でも若い子の好みそうな香りのものを主治医の女性に渡す。
「(このお香……確か相当高かったような……)」
思いつつも主治医の女性はお香を受け取り、アラカを抱き上げて……。
「……軽い」
と、小さく呟いた。
「……そう言えば前任者は、精神が病んで引き継ぎも対してしてないのだったな」
彼女には以前の医者が付いていた。しかしその全てがアラカの異質すぎる壊れ方に感情移入をして、心が病んで逃げ出した。
「食欲も酷く抜け落ちている。消化の良いものなら2日に1度のペースで何とか食べられる程度には回復している。それと」
アラカの手足に正道は触れると。
「寝かせる時は右腕と左足を〝外しておいてくれ〟」
義足と義手を外した。アラカの身体にはもう四肢が二本しか残っていない。
その事実に主治医が驚愕し、思わず「……ひどすぎる」と漏らした。
それに対して冷めた声で正道は返す。
「気にするな、無理にでも戦闘させろとの政府からの命令を遂行させたらこうなっただけだ」
そう告げると主治医はドン引きして、一瞥してからアラカを別室へ運んだ。
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