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幼女の魔法使い
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郵便屋テッドは、車用の電池が切れかける中、やっとの思いでフィフタ街に到着した。潮の香りが心地いい。
(色々と買わなきゃいけないものが沢山あるなあ)
快適なドライブを楽しみながら、レンガで出来た道や家を見て回った。
フィフタの街自体はさほど大きくはない。しかし漁港であり、おいしい魚が大量に取れるので街は活気に満ち溢れていた。
まず立ち寄ったのは自動車屋で、多めに車用電池を充電しまくった。もうそろそろの所まで来ているからである。
続いてガンショップに立ち寄り、雑魚を相手にする為の拳銃、ベレッタM93Rとその弾丸を購入。1弾倉に20発詰める事ができる数少ない拳銃だ。
3点バーストできるが、その分リコイル(反動)が大きめなのがデメリットがあったが、AAAなら問題なしだろう。
その後は野菜売り場にいって新鮮なトマトを買ってかぶりついた。トマトとリンゴが好物なのであった。
さすがに車中で仮眠をとったと言え、ドライブしてきた疲れが溜まっていた。前は元気だったのになぁ…と言いながら宿を探す。
レンガで出来た家や道は迷路のようになっていたが、住民に宿を聞いて回り、やっと宿までたどり着いて安堵するテッド。
ただでさえAAAは襲われやすいので、さすがに道を多く走り過ぎた。ただ眠気の方が勝り、車を奥に止め、急いで宿に入り、枕の下にポーチを隠し、手には拳銃を持ち爆睡した。
夜に起床したエドは心底陰鬱だった。寝すぎたためである。帽子を脱ぐと金髪のアホ毛がビョンと弾み震えた。上着を着て拳銃をクルクル回し2丁をホルスターに収めた。
夜なのでモーニングサービスもない。そのままドアを開けようとすると、ドアの下のスキマから紙が出てきている。なんだろうこれは。寝ぼけまなこに書かれたメッセージを読む。
「最後の中継街エンダーで銃によるファストドローを挑む。最後の戦いにゃ。毎日18時、エンダー街の大きな時計台で待つ。-----ネコパンチ」
印鑑代わりに、黒色の肉球が押されてある。
(あの猫族、ネコパンチって言うのか…しかし僕が寝ている部屋を判別してたのか…まいるなぁこういうの)
宿の主人に宿屋台を払いつつ、コーヒーを1杯お願いした。良い目覚ましになる。車のエンジンを吹かせて宿屋を後にする。大統領のホワイトハウスまであと半分にも満たないので、テンションは上がっていた。
ファストドローには溜息しか出なかった。僕はファストドローが訓練所の時代から一番得意だったからだ。
しかし目的の為には手段を選べない。鉄則だ。僕の邪魔をする者は全て敵とみなすべし。AAAの大事な言葉。だから僕は感情に流されない。敵と分かれば空気のように人を撃ってゆく。
そんな事を考えていたら、出口の門に到着した。一時停止をして双眼鏡で門の周辺を観察する。どうやらマキビシチェーンもなく大丈夫そうだ。そのまま前に進め、門をくぐり無事出口を通り過ぎた。あとはスピードを上げるだけだ。慣れている道なので気も楽になった。車用の電気パックもいっぱい積み込んでいた。戦闘用レーション(戦争時のパン)は買わなかったが、元々小食なのであまり気にしなかった。そして拳銃2丁。弾をポーチのように肩からかけていた。
馴染みがある暗い森の中をひた走っていた。車一台通れるかどうかという夜のケモノ道だ。持ち帰り用のコーヒーを飲みながら片手運転をしていると、前方から怪しい影がかすかに見えた。車をハイビームに変え、双眼鏡を覗くと。
突然いくつもの火の玉がテッドの車に向けて放たれて来た。そのうちの1、2発が車に直撃するも、頑丈な車の為フロントガラスはビクともしなかった。
車のスピードを出して、突っ込んで当てる事も考案したが、相手が女性だった場合、大変な頭痛に見舞われる事になってしまうので悩ましい。
とにかく姿を見ないと話にならないので、徐行しながら相手の方に近づく。大きな帽子と細かく刺繍された上着を膝まで来ている。見た目はいかにも魔術師といった具合だ。しかも近づくと幼女と分かり、テッドは頭を抱える。
再び火の玉を飛ばしてきたが、全く支障はない。
(もしかして、まだ魔術師レベルが低いんじゃないだろうか)
考えてる間に、また魔術師が現れた。
そして魔法で竜巻を起こしてきたが、宙に飛ぶわけでもなく、全く異常はなかった。やはり自分の考えは正しかったようだ。テッドは車の窓を上げて、
「あのー君達に関わっている時間はないんだ。道をあけてくれないかい?」
僕がそう言うと、幼女たちが4人ほど増え、道を完全に封鎖されてしまった。肩に鳩をつけたリーダー格の幼女が代表となって僕に叫んだ。
「空飛ぶ紙袋団を壊滅させた人です‼」 「なのです‼」
そう言えばそういう団体もいたなぁと思い出すと、すなおに疑問を吐いてみた。
「どうしてその事を君らが知ってるの?」
「この鳩が手紙を持ってきたです‼」
鳩か。鳩がそんなに正確なら、僕は職を追われる感じになるなぁ。
「空飛ぶ紙袋団とは同盟関係にあたるのです‼」
「です‼」
テッドは大いに悩みながら、口を開いた。
「紙袋の件はごめん!でも君達はもっと修行してレベル上げた方がいいよ?紙袋団もすごくモロかったし」
鳩リーダーはちょっとショックだったのか、闇の中に消えてしまった。他のメンバーもそれに続いて闇夜に消えて行く。
僕は空暗い中、ハイビームで徐行運転をしながら様子を伺っていたが、どうやら魔術師幼女軍団はいなくなったようで安堵した。
それからは特に何のイベントもなく、車のビームを頼りに暗い道を進んだ。
問題はここからだ。
夜明けが近づき、森をもうすぐ出ようとした時だ。
出口に、2足歩行で棒を持ったゴリラ2匹が道を塞ぐように立ってこちらを眺めている。
僕は訓練所生活での1件を鮮烈に覚えている----
訓練所生活の時、みんなで一人の部屋に集まって下らない話で盛り上がっていた。その中で『1番強い動物は何か』と言う話題をだれかが投げかけた。カバやライオンなどが出て来る中、メンバーの一人が
「棒を持ったゴリラだな。あとは大きくなったカマキリ。考えても見ろよ、ゴリラだけでもやばいのに棒をもってるんだぜ?」
その話題通りの動物が今、ここに立ちはだかっているのだ。しかも2匹。
「おおおーっ‼」
と叫ぶとゴリラはこちらに突進してきた。今までで恐らく1番、畏怖したかもしれない。
ゴリラは手持ちの棒を使って車を叩き始めた。1匹は車のボンネットに登り叩き始める。耐久性は抜群な車なのに、叩いた箇所が軽く凹んでいる。
何?何が目的なの?車の窓を開けながら銃をうちたいのだが、絶対危険である。とりあえずベレッタを構えたテッドであったが扉を開けるのは自殺行為とも思える。
今はとにかく突き進むしかない。幸い道が開いたので、全速力でスピードを上げた。そして急ブレーキを踏むと、ボンネットにいたゴリラは車から倒れた。そのスキを突いて再びスピードを上げる。
ゴリラは追いかけてきたが、遠くに離れていき見えなくなった。
「何だったんだ…夢に出て来るよ絶対…!」
そのままスピードを落とさずに、最終中継所のエンダー街へと向かっていった。
2
エンダー街の名所である大きな時計台に2人の姿があった。
「ハクシュ‼」
猫族は、この寒い中スーツだけなのは真面目につらいのだった。
「今日はもう郵便屋来ないにゃ。帰ろう」
猫族の隣にいる女性はタバコをくわえながら言った。
「あんた、絶対に勝てないわよ。それでもやるの?」
「オス猫は負けると分かっていても運命を感じたら、徹底的にやるんにゃ」
「ネコパンチ…」
ヨーコは吸い殻をタバコポケットにねじ込み、
「もう帰ろう」
と言いながらスタスタと宿へ歩を進めた。
「コートの1着ぐらいはほしいんだがにゃあ」
そういって猫族は女性の後ろを追った。
郵便屋テッドは、車用の電池が切れかける中、やっとの思いでフィフタ街に到着した。潮の香りが心地いい。
(色々と買わなきゃいけないものが沢山あるなあ)
快適なドライブを楽しみながら、レンガで出来た道や家を見て回った。
フィフタの街自体はさほど大きくはない。しかし漁港であり、おいしい魚が大量に取れるので街は活気に満ち溢れていた。
まず立ち寄ったのは自動車屋で、多めに車用電池を充電しまくった。もうそろそろの所まで来ているからである。
続いてガンショップに立ち寄り、雑魚を相手にする為の拳銃、ベレッタM93Rとその弾丸を購入。1弾倉に20発詰める事ができる数少ない拳銃だ。
3点バーストできるが、その分リコイル(反動)が大きめなのがデメリットがあったが、AAAなら問題なしだろう。
その後は野菜売り場にいって新鮮なトマトを買ってかぶりついた。トマトとリンゴが好物なのであった。
さすがに車中で仮眠をとったと言え、ドライブしてきた疲れが溜まっていた。前は元気だったのになぁ…と言いながら宿を探す。
レンガで出来た家や道は迷路のようになっていたが、住民に宿を聞いて回り、やっと宿までたどり着いて安堵するテッド。
ただでさえAAAは襲われやすいので、さすがに道を多く走り過ぎた。ただ眠気の方が勝り、車を奥に止め、急いで宿に入り、枕の下にポーチを隠し、手には拳銃を持ち爆睡した。
夜に起床したエドは心底陰鬱だった。寝すぎたためである。帽子を脱ぐと金髪のアホ毛がビョンと弾み震えた。上着を着て拳銃をクルクル回し2丁をホルスターに収めた。
夜なのでモーニングサービスもない。そのままドアを開けようとすると、ドアの下のスキマから紙が出てきている。なんだろうこれは。寝ぼけまなこに書かれたメッセージを読む。
「最後の中継街エンダーで銃によるファストドローを挑む。最後の戦いにゃ。毎日18時、エンダー街の大きな時計台で待つ。-----ネコパンチ」
印鑑代わりに、黒色の肉球が押されてある。
(あの猫族、ネコパンチって言うのか…しかし僕が寝ている部屋を判別してたのか…まいるなぁこういうの)
宿の主人に宿屋台を払いつつ、コーヒーを1杯お願いした。良い目覚ましになる。車のエンジンを吹かせて宿屋を後にする。大統領のホワイトハウスまであと半分にも満たないので、テンションは上がっていた。
ファストドローには溜息しか出なかった。僕はファストドローが訓練所の時代から一番得意だったからだ。
しかし目的の為には手段を選べない。鉄則だ。僕の邪魔をする者は全て敵とみなすべし。AAAの大事な言葉。だから僕は感情に流されない。敵と分かれば空気のように人を撃ってゆく。
そんな事を考えていたら、出口の門に到着した。一時停止をして双眼鏡で門の周辺を観察する。どうやらマキビシチェーンもなく大丈夫そうだ。そのまま前に進め、門をくぐり無事出口を通り過ぎた。あとはスピードを上げるだけだ。慣れている道なので気も楽になった。車用の電気パックもいっぱい積み込んでいた。戦闘用レーション(戦争時のパン)は買わなかったが、元々小食なのであまり気にしなかった。そして拳銃2丁。弾をポーチのように肩からかけていた。
馴染みがある暗い森の中をひた走っていた。車一台通れるかどうかという夜のケモノ道だ。持ち帰り用のコーヒーを飲みながら片手運転をしていると、前方から怪しい影がかすかに見えた。車をハイビームに変え、双眼鏡を覗くと。
突然いくつもの火の玉がテッドの車に向けて放たれて来た。そのうちの1、2発が車に直撃するも、頑丈な車の為フロントガラスはビクともしなかった。
車のスピードを出して、突っ込んで当てる事も考案したが、相手が女性だった場合、大変な頭痛に見舞われる事になってしまうので悩ましい。
とにかく姿を見ないと話にならないので、徐行しながら相手の方に近づく。大きな帽子と細かく刺繍された上着を膝まで来ている。見た目はいかにも魔術師といった具合だ。しかも近づくと幼女と分かり、テッドは頭を抱える。
再び火の玉を飛ばしてきたが、全く支障はない。
(もしかして、まだ魔術師レベルが低いんじゃないだろうか)
考えてる間に、また魔術師が現れた。
そして魔法で竜巻を起こしてきたが、宙に飛ぶわけでもなく、全く異常はなかった。やはり自分の考えは正しかったようだ。テッドは車の窓を上げて、
「あのー君達に関わっている時間はないんだ。道をあけてくれないかい?」
僕がそう言うと、幼女たちが4人ほど増え、道を完全に封鎖されてしまった。肩に鳩をつけたリーダー格の幼女が代表となって僕に叫んだ。
「空飛ぶ紙袋団を壊滅させた人です‼」 「なのです‼」
そう言えばそういう団体もいたなぁと思い出すと、すなおに疑問を吐いてみた。
「どうしてその事を君らが知ってるの?」
「この鳩が手紙を持ってきたです‼」
鳩か。鳩がそんなに正確なら、僕は職を追われる感じになるなぁ。
「空飛ぶ紙袋団とは同盟関係にあたるのです‼」
「です‼」
テッドは大いに悩みながら、口を開いた。
「紙袋の件はごめん!でも君達はもっと修行してレベル上げた方がいいよ?紙袋団もすごくモロかったし」
鳩リーダーはちょっとショックだったのか、闇の中に消えてしまった。他のメンバーもそれに続いて闇夜に消えて行く。
僕は空暗い中、ハイビームで徐行運転をしながら様子を伺っていたが、どうやら魔術師幼女軍団はいなくなったようで安堵した。
それからは特に何のイベントもなく、車のビームを頼りに暗い道を進んだ。
問題はここからだ。
夜明けが近づき、森をもうすぐ出ようとした時だ。
出口に、2足歩行で棒を持ったゴリラ2匹が道を塞ぐように立ってこちらを眺めている。
僕は訓練所生活での1件を鮮烈に覚えている----
訓練所生活の時、みんなで一人の部屋に集まって下らない話で盛り上がっていた。その中で『1番強い動物は何か』と言う話題をだれかが投げかけた。カバやライオンなどが出て来る中、メンバーの一人が
「棒を持ったゴリラだな。あとは大きくなったカマキリ。考えても見ろよ、ゴリラだけでもやばいのに棒をもってるんだぜ?」
その話題通りの動物が今、ここに立ちはだかっているのだ。しかも2匹。
「おおおーっ‼」
と叫ぶとゴリラはこちらに突進してきた。今までで恐らく1番、畏怖したかもしれない。
ゴリラは手持ちの棒を使って車を叩き始めた。1匹は車のボンネットに登り叩き始める。耐久性は抜群な車なのに、叩いた箇所が軽く凹んでいる。
何?何が目的なの?車の窓を開けながら銃をうちたいのだが、絶対危険である。とりあえずベレッタを構えたテッドであったが扉を開けるのは自殺行為とも思える。
今はとにかく突き進むしかない。幸い道が開いたので、全速力でスピードを上げた。そして急ブレーキを踏むと、ボンネットにいたゴリラは車から倒れた。そのスキを突いて再びスピードを上げる。
ゴリラは追いかけてきたが、遠くに離れていき見えなくなった。
「何だったんだ…夢に出て来るよ絶対…!」
そのままスピードを落とさずに、最終中継所のエンダー街へと向かっていった。
2
エンダー街の名所である大きな時計台に2人の姿があった。
「ハクシュ‼」
猫族は、この寒い中スーツだけなのは真面目につらいのだった。
「今日はもう郵便屋来ないにゃ。帰ろう」
猫族の隣にいる女性はタバコをくわえながら言った。
「あんた、絶対に勝てないわよ。それでもやるの?」
「オス猫は負けると分かっていても運命を感じたら、徹底的にやるんにゃ」
「ネコパンチ…」
ヨーコは吸い殻をタバコポケットにねじ込み、
「もう帰ろう」
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