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いざメガロポリスへ
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1
気温が急上昇したせいで視界はひび割れたアスファルトによるスモッグ状態となっていた。
いわゆる、ユラユラとしていて運転するのも苦痛になるほどの光化学スモッグ。
車用の電池はあと2セット持っているので、支障は無いとは思うのだが…。
「水…水が欲しい」
喉から絞り出すように郵便屋が唸ると、お腹まで空いてきた。
泊まっていた優しい宿屋の婦人から貰ったじゃがいも料理もすぐ無くなってしまった。
しかし、ゆらついた進行方向に見えるのは大きい山である。トンネルがあり、そこを抜けると
そこそこ人口がいるメガロポリスに辿り着く。だがあくまでそこも中継地点であり、休憩場でしかないのだが。
横に川らしき地形が見えてきたので、汚染された水を飲み水に変える機械をつかって水をガブ飲みした。
「っかー!うまい」
久しぶりに水を堪能していたその時。
急に雪がちらつき始めたのだ。嫌な予感しかしなかった。
「またあいつらが追ってきてるのか…?忠告したのにもぅ‼」
早々に川を離れた郵便屋は車に乗り、アクセル・フルスロットルでトンネルを目指した。
2
メガロポリスへ行くトンネル出口に不審な黒い影があった。
大きな体躯もそうだが、3メートル程もある銃身のスナイパーライフルを軽々と掲げていた。
そして頭には紙袋を被っており、目の部分だけは穴が開いている。
「キョウは…ナンニン…殺レるかな…」
そう呟きながら大雪の中、マキビシチェーンをトンネル出口に敷いている。
尋常ではない変人だ。
マキビシチェーンを敷き終えると、持っていたズダ袋から白いスプレー缶を出し、銃身に吹きつけた。
「アトハ…マツだけ」
そう言うと袋を持って高い場所へと登って行った。パンクさせた車の主をスナイパーライフルで撃ち殺す算段なのだろう。
それにしても怪しすぎる人物である。というか人なのだろうか。ホラー映画のたぐいである。
3
「まだ早かったんじゃにゃいのかな?」
車内のシートに深々と身を沈めたネコパンチがだるそうにつぶやいた。
「お前はいいな助手席でくつろいで」
ヨーコは雪の中滑りながらも必死に運転している。
「とにかくあいつがメガロポリスに行く前に邪魔して手紙をかすめとってやるから、お前は今度こそ頭か心臓を狙えよ?」
「こんな視界不明瞭な状態で?無理に決まってるんだにゃぁ」
「無理とかそんなことじゃなくて、やるんだよ」
猫は無視してカロリーバーをほおばっている。嘆息したヨーコは話を続けた。
「視界が見えずらいのは相手も同じだろ?お前のテクを出し切れ‼」
ネコパンチは銃を取り出しクルクルと回しながら、
「あいつはリボルバーだから6発しかだせにゃいけど、こっちは20発。両手持ちで40発。手数がちがうにゃ」
「嬉しくて泣けるねぇ」
ワイパーが窓にお湯をかけながら、ひっきりなしに往復する。
ネコパンチがあくびをしながら
「とにかくメガロポリスでお風呂につかりたいにゃあ」
「おまえ、猫なのに風呂好きなのか?」
なぜか会話をスルーしてカロリーバーにかぶりつく。とにかく2人の温度差の違いがヨーコはたまらく嫌だったが
振り上げた拳をどこにおろすか分からなかったのでとりあえず大雪にしてしまった所がある。
「とにかく郵便屋を倒したい人間は私達だけじゃない、山ほどいるってことだけ分かってほしい」
視界は悪いが、トンネルがぼんやりと見えてきた。
「Z旗を掲げよ‼」
「それってなんにゃ?」
ヨーコは嘆息してから猫を一瞬、睨みつけた。
「とりあえず私の分までカロリーバーを食うなら外に放り出す」
ネコパンチはさらに無視して、バーの残りを頬張った。
このあと巻き込まれ型の修羅場になる事など予想だにもせずに。
気温が急上昇したせいで視界はひび割れたアスファルトによるスモッグ状態となっていた。
いわゆる、ユラユラとしていて運転するのも苦痛になるほどの光化学スモッグ。
車用の電池はあと2セット持っているので、支障は無いとは思うのだが…。
「水…水が欲しい」
喉から絞り出すように郵便屋が唸ると、お腹まで空いてきた。
泊まっていた優しい宿屋の婦人から貰ったじゃがいも料理もすぐ無くなってしまった。
しかし、ゆらついた進行方向に見えるのは大きい山である。トンネルがあり、そこを抜けると
そこそこ人口がいるメガロポリスに辿り着く。だがあくまでそこも中継地点であり、休憩場でしかないのだが。
横に川らしき地形が見えてきたので、汚染された水を飲み水に変える機械をつかって水をガブ飲みした。
「っかー!うまい」
久しぶりに水を堪能していたその時。
急に雪がちらつき始めたのだ。嫌な予感しかしなかった。
「またあいつらが追ってきてるのか…?忠告したのにもぅ‼」
早々に川を離れた郵便屋は車に乗り、アクセル・フルスロットルでトンネルを目指した。
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メガロポリスへ行くトンネル出口に不審な黒い影があった。
大きな体躯もそうだが、3メートル程もある銃身のスナイパーライフルを軽々と掲げていた。
そして頭には紙袋を被っており、目の部分だけは穴が開いている。
「キョウは…ナンニン…殺レるかな…」
そう呟きながら大雪の中、マキビシチェーンをトンネル出口に敷いている。
尋常ではない変人だ。
マキビシチェーンを敷き終えると、持っていたズダ袋から白いスプレー缶を出し、銃身に吹きつけた。
「アトハ…マツだけ」
そう言うと袋を持って高い場所へと登って行った。パンクさせた車の主をスナイパーライフルで撃ち殺す算段なのだろう。
それにしても怪しすぎる人物である。というか人なのだろうか。ホラー映画のたぐいである。
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「まだ早かったんじゃにゃいのかな?」
車内のシートに深々と身を沈めたネコパンチがだるそうにつぶやいた。
「お前はいいな助手席でくつろいで」
ヨーコは雪の中滑りながらも必死に運転している。
「とにかくあいつがメガロポリスに行く前に邪魔して手紙をかすめとってやるから、お前は今度こそ頭か心臓を狙えよ?」
「こんな視界不明瞭な状態で?無理に決まってるんだにゃぁ」
「無理とかそんなことじゃなくて、やるんだよ」
猫は無視してカロリーバーをほおばっている。嘆息したヨーコは話を続けた。
「視界が見えずらいのは相手も同じだろ?お前のテクを出し切れ‼」
ネコパンチは銃を取り出しクルクルと回しながら、
「あいつはリボルバーだから6発しかだせにゃいけど、こっちは20発。両手持ちで40発。手数がちがうにゃ」
「嬉しくて泣けるねぇ」
ワイパーが窓にお湯をかけながら、ひっきりなしに往復する。
ネコパンチがあくびをしながら
「とにかくメガロポリスでお風呂につかりたいにゃあ」
「おまえ、猫なのに風呂好きなのか?」
なぜか会話をスルーしてカロリーバーにかぶりつく。とにかく2人の温度差の違いがヨーコはたまらく嫌だったが
振り上げた拳をどこにおろすか分からなかったのでとりあえず大雪にしてしまった所がある。
「とにかく郵便屋を倒したい人間は私達だけじゃない、山ほどいるってことだけ分かってほしい」
視界は悪いが、トンネルがぼんやりと見えてきた。
「Z旗を掲げよ‼」
「それってなんにゃ?」
ヨーコは嘆息してから猫を一瞬、睨みつけた。
「とりあえず私の分までカロリーバーを食うなら外に放り出す」
ネコパンチはさらに無視して、バーの残りを頬張った。
このあと巻き込まれ型の修羅場になる事など予想だにもせずに。
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