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銃撃戦
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1
銀のトレーにピンセットで銃弾を捨て置く。カランと音を立てた4つ目の銃弾。
「これで最後じゃな。あとは弾が貫通しておる。縫っておくからね」
医者は達成感と安堵感からくる溜息をついた。テッドも
「麻酔万歳だね」と落ち着いた様子でつぶやいた。
郵便屋は上半身裸でも手紙はちゃんと肩に掛けてある。
「こっちも治すんだにゃあ!」
猫族のガンマンは騒ぎ立てたが、
「君には自然治癒効果があるから安心しなさい。それに」
医者は眼鏡を上げながら
「君の食らった弾はホローポイント弾だから摘出なんてとてもとても」
ネコパンチの横にいた女性は蔑んだ目で睨みながら
「あぁん?ホローポイント弾だぁ?このド外道が!」
そう吐き捨てると早々に部屋から出て行った。
ホローポイント弾とは、体内に入ると金属片がバラつき、摘出が極めて困難な
非人道的と言ってもよい弾のことだ。テッドはつぶやいた
「仕方ないんだ…目的の為なら手段は選ばない。僕の体を見てみればきっとその意味がわかるさ」
座りながらネコパンチは何も言わなかった。テッドはさらに続けて
「だから…僕を追い回すのは辞めといた方がいいよ。君にどうこう出来るレベルの手紙じゃないんだから」
諭されてもネコパンチは何も言わなかった。複雑な思いが交錯してのダンマリなのであろう。
宿屋の婦人がやってきて
「はいはいネコちゃんはまだ立てないからベッドに戻りましょうね~」
婦人に抱えられても何ら抵抗もなく、ネコパンチはそのまま連れていかれた。
「なぜかはわからんが、猫族は数日で自然治癒による回復能力が備わってるんじゃ」
医者も作業を終え、静かに去っていった。
ほどなく向こうの部屋から
「晴天‼」という女性の狂気じみた声が響いてきた。
テッドはパズルが完成したかのように小さくうなずいた。
「気象強行士が空を荒らしてる間に猫が相手をやっつける…ペアの強盗団ってわけだ」
テッドは全身麻酔を受けたので、しばらくは起き上がる事ができないでいた。
2
ヨーコが晴天にしたため、雪はほとんど溶けてなくなっていた。これで車も動くだろう。窓を閉めてから
その女性は怒りに震えるように、ベッドで寝そべっているネコパンチを見て吐き捨てるように言った。
「郵便屋は明日にでも車に乗って宿を去るだろう。一方私らはお前の自然治癒を待たないと宿からは離れられない」
猫族は慌てて
「あいつはターゲットとしては高すぎるんだにゃあ。あきらめた方が…」
さえぎるようにヨーコは叫んだ
「私が欲しいのはあの郵便屋じゃなくて、持ってる手紙なの分かる?手紙さえ売れればこの稼業もやめるわ」
飽くまでヨーコは手紙をあきらめていない様子だったので、ネコパンチはやれやれといったていで枕に顔を沈めた。
「あんなに鉛玉打ち込んだのに死ななかったってレアケースなんだにゃ」
「あんたの仕事っぷりにケチつけてるわけじゃない。問題ないわ。でもあいつの信念は伊達なんかじゃない」
ヨーコは続けた
「あの郵便屋は色んな奴に狙われてる。これからもそう。だから他との争いの場で疲れているところを手紙だけかすめとるっていうのは」
「ねぇさん、あいかわらず姑息だにゃあ」
「…両足切断してやろうか?」
再び猫族は枕に顔をうずめた。
「あいつを倒せる自信を失ってしまったんだにゃあ!」
「私も銃はもってるけどネコパンチや郵便屋ほどの腕前はない…。」
ヨーコはソファに体を深々と沈めた。
「だから妥協案なのよ、この選択は…ん?」
窓から車の音が聞こえてきた。
しまった!ヨーコはネコパンチを抱きかかえて急いで自分らの車に降り、猛スピードで彼の後をつけるのだった。
銀のトレーにピンセットで銃弾を捨て置く。カランと音を立てた4つ目の銃弾。
「これで最後じゃな。あとは弾が貫通しておる。縫っておくからね」
医者は達成感と安堵感からくる溜息をついた。テッドも
「麻酔万歳だね」と落ち着いた様子でつぶやいた。
郵便屋は上半身裸でも手紙はちゃんと肩に掛けてある。
「こっちも治すんだにゃあ!」
猫族のガンマンは騒ぎ立てたが、
「君には自然治癒効果があるから安心しなさい。それに」
医者は眼鏡を上げながら
「君の食らった弾はホローポイント弾だから摘出なんてとてもとても」
ネコパンチの横にいた女性は蔑んだ目で睨みながら
「あぁん?ホローポイント弾だぁ?このド外道が!」
そう吐き捨てると早々に部屋から出て行った。
ホローポイント弾とは、体内に入ると金属片がバラつき、摘出が極めて困難な
非人道的と言ってもよい弾のことだ。テッドはつぶやいた
「仕方ないんだ…目的の為なら手段は選ばない。僕の体を見てみればきっとその意味がわかるさ」
座りながらネコパンチは何も言わなかった。テッドはさらに続けて
「だから…僕を追い回すのは辞めといた方がいいよ。君にどうこう出来るレベルの手紙じゃないんだから」
諭されてもネコパンチは何も言わなかった。複雑な思いが交錯してのダンマリなのであろう。
宿屋の婦人がやってきて
「はいはいネコちゃんはまだ立てないからベッドに戻りましょうね~」
婦人に抱えられても何ら抵抗もなく、ネコパンチはそのまま連れていかれた。
「なぜかはわからんが、猫族は数日で自然治癒による回復能力が備わってるんじゃ」
医者も作業を終え、静かに去っていった。
ほどなく向こうの部屋から
「晴天‼」という女性の狂気じみた声が響いてきた。
テッドはパズルが完成したかのように小さくうなずいた。
「気象強行士が空を荒らしてる間に猫が相手をやっつける…ペアの強盗団ってわけだ」
テッドは全身麻酔を受けたので、しばらくは起き上がる事ができないでいた。
2
ヨーコが晴天にしたため、雪はほとんど溶けてなくなっていた。これで車も動くだろう。窓を閉めてから
その女性は怒りに震えるように、ベッドで寝そべっているネコパンチを見て吐き捨てるように言った。
「郵便屋は明日にでも車に乗って宿を去るだろう。一方私らはお前の自然治癒を待たないと宿からは離れられない」
猫族は慌てて
「あいつはターゲットとしては高すぎるんだにゃあ。あきらめた方が…」
さえぎるようにヨーコは叫んだ
「私が欲しいのはあの郵便屋じゃなくて、持ってる手紙なの分かる?手紙さえ売れればこの稼業もやめるわ」
飽くまでヨーコは手紙をあきらめていない様子だったので、ネコパンチはやれやれといったていで枕に顔を沈めた。
「あんなに鉛玉打ち込んだのに死ななかったってレアケースなんだにゃ」
「あんたの仕事っぷりにケチつけてるわけじゃない。問題ないわ。でもあいつの信念は伊達なんかじゃない」
ヨーコは続けた
「あの郵便屋は色んな奴に狙われてる。これからもそう。だから他との争いの場で疲れているところを手紙だけかすめとるっていうのは」
「ねぇさん、あいかわらず姑息だにゃあ」
「…両足切断してやろうか?」
再び猫族は枕に顔をうずめた。
「あいつを倒せる自信を失ってしまったんだにゃあ!」
「私も銃はもってるけどネコパンチや郵便屋ほどの腕前はない…。」
ヨーコはソファに体を深々と沈めた。
「だから妥協案なのよ、この選択は…ん?」
窓から車の音が聞こえてきた。
しまった!ヨーコはネコパンチを抱きかかえて急いで自分らの車に降り、猛スピードで彼の後をつけるのだった。
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