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女性を殺せないICチップ
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1
「朝食もありますよ…」
寝ていたテッドの耳元でささやかれ握っていた銃を反射的に隠し、思わず身を起こし「はいっ⁉」と叫んでしまった。
食べようか迷ったが、次はいつまともな食事にありつけるのかどうか分からない旅路である。
「分かりました」というと、ふくよかな宿屋の婦人はニッコリと微笑んで部屋を出て行った。
もう朝なのかと思い、カーテンを開け窓越しに外を眺めると、さいわいな事に雪は止んでいたが昨日の分の雪がまだたっぷり積もっている。
すぐ出発できるよう制服を着ていこうとも考えたが、まぁ今日くらいはゆっくり食べようかと、ワイシャツとジーンズ姿で行くことに決めた。
ただし当然手紙の入った袋は背負い、銃はジーンズの後ろに差した。
「悪目立ちするかなぁ~」はねた前髪を鏡で直しながら、そそくさと部屋を出ようした瞬間、
「あードア用のカードも持ってなきゃな」寝ぼけなまこでカードを取ると階段を駆け下りる。
テーブルには2人の先客がいた。
一人は猫族で、魚料理を一心不乱に食べている。
もう一人は小食なのか肘をつきながら、いぶかしげに自分を睨んでいた。
「ミートボール沢山作ったからいっぱい食べてねぇ」
宿主は元気に次々と食事を持ってきた。テーブルに目をやると、もう沢山の料理がすでに沢山並んでいる。
好きな物を食べれるバイキング形式は悪くない。テッドは自分の皿に肉料理だけを山盛りに積み上げて、空いているテーブルに腰を下ろした。
昨日はシチューを少し食べただけだったので、肉に舌鼓をうっていると、もう一つのテーブルにいた女性が皿を持ってツカツカと足早にこちらにやってきて
テッドの向かいに座った。皿を見るとサラダがのっている。食欲がないか、ベジタリアンなんだろう。
黒髪に黒スーツの女性はサラダを食べるわけでもなく、ただ黙っていた。いやな空気感を切り裂こうと
「…なにか?」
とテッドは腫れ物に触るように尋ねた。
「はなみ離さずもっているその袋、よっぽど大事なものがはいってるんでしょうね?」
女性が初めて口にしたその瞬間、テッドは悪党を1万人以上殺してきたカンでもって、手紙狙いの悪党だと直感した。
喉につまった肉料理を水で流し込み、
「だったら?」
「昨日のお風呂の件、しってるでしょう?」
「いやあれは別に見たとかそうゆうわけでは…」
「そんな事どうでもいいの」
女性はサラダに埋まってるパスタを巻きながら話を続けた。
「あんた、体中傷だらけだったじゃない。どうしても…」
「ヨーコ!」
会話を割り込むように猫族がテクテク寄ってきた。
「外のマイカーの様子を見てくるけどいいかにゃ?」
パスタを巻く手が止まる。
「あぁそぅいってらっしゃい」
魚料理をたっぷり摂った猫は、帽子を直しながらドアを開け外へと消えていった。
2
宿屋から外へと出たネコパンチであったが、あまりの寒さに
「ヨーコにコートを買ってもらわないとにゃあ…」
と思わずつぶやいた。周辺に人影はいない。雪は最低でも10センチはあるだろう。
「マイカーどうなってんだにゃ?」
周囲を見渡すと、店の入り口に雪にまみれてる中、足だけが見えている事を発見した。
「なっ…なんにゃこれ⁉」
ネコパンチは足の見えている周辺を手で掘ってみると、男の死体が現れたのである。
「おかしい…これ絶対おかしい」
猫はまたキョロキョロと見渡し、横付けされているマイカー以外の車1台を発見し、
車の横をしもやけした手でかきわけてみると、赤い「〒」マークが現れ体が固まった。
慌てて銃を2丁取り出し、雪のせいでおぼつかない足取りでも何とか走りながら宿屋のドアを蹴り上げた。
「そいつがAAAの郵便屋だにゃあ‼‼」
瞬間!テッドはテーブルをヨーコの側に跳ね上げた。仰向けで倒れたヨーコをうつ伏せにし、後ろ手に手錠をかけた。
「女性は殺せない体なんだ、ごめんね」ヨーコは屈辱めいた顔でテッドを見た。
刹那、弾丸の応酬がテッドを攻め、その弾丸は何か所かテッドの体を貫通した。
「なんなんだあいつ…」
「あいつは世界で数人しかいないガンマンよ…手錠を外したら止めるよう呼び掛けても…」
すばやくテーブルから姿をだし全弾6発を使う。
「なっ…」
両足に2発命中。ネコパンチは立っていられなくなり、そのまま仰向けに倒れた。AAAであるテッドもまた、
修羅場をいくつもくぐり抜けてきた人間である。それだけにこの被弾は恥ずかしい。
厨房にいた宿屋の婦人が料理を運び戻ると、この凄惨な状況に思わず持ってきた皿を落としてしまった。
「どうしたっていうの⁉」
テッドは青ざめた顔で
「医者を…呼んでくれませんか?」と言うと吐血した。
「朝食もありますよ…」
寝ていたテッドの耳元でささやかれ握っていた銃を反射的に隠し、思わず身を起こし「はいっ⁉」と叫んでしまった。
食べようか迷ったが、次はいつまともな食事にありつけるのかどうか分からない旅路である。
「分かりました」というと、ふくよかな宿屋の婦人はニッコリと微笑んで部屋を出て行った。
もう朝なのかと思い、カーテンを開け窓越しに外を眺めると、さいわいな事に雪は止んでいたが昨日の分の雪がまだたっぷり積もっている。
すぐ出発できるよう制服を着ていこうとも考えたが、まぁ今日くらいはゆっくり食べようかと、ワイシャツとジーンズ姿で行くことに決めた。
ただし当然手紙の入った袋は背負い、銃はジーンズの後ろに差した。
「悪目立ちするかなぁ~」はねた前髪を鏡で直しながら、そそくさと部屋を出ようした瞬間、
「あードア用のカードも持ってなきゃな」寝ぼけなまこでカードを取ると階段を駆け下りる。
テーブルには2人の先客がいた。
一人は猫族で、魚料理を一心不乱に食べている。
もう一人は小食なのか肘をつきながら、いぶかしげに自分を睨んでいた。
「ミートボール沢山作ったからいっぱい食べてねぇ」
宿主は元気に次々と食事を持ってきた。テーブルに目をやると、もう沢山の料理がすでに沢山並んでいる。
好きな物を食べれるバイキング形式は悪くない。テッドは自分の皿に肉料理だけを山盛りに積み上げて、空いているテーブルに腰を下ろした。
昨日はシチューを少し食べただけだったので、肉に舌鼓をうっていると、もう一つのテーブルにいた女性が皿を持ってツカツカと足早にこちらにやってきて
テッドの向かいに座った。皿を見るとサラダがのっている。食欲がないか、ベジタリアンなんだろう。
黒髪に黒スーツの女性はサラダを食べるわけでもなく、ただ黙っていた。いやな空気感を切り裂こうと
「…なにか?」
とテッドは腫れ物に触るように尋ねた。
「はなみ離さずもっているその袋、よっぽど大事なものがはいってるんでしょうね?」
女性が初めて口にしたその瞬間、テッドは悪党を1万人以上殺してきたカンでもって、手紙狙いの悪党だと直感した。
喉につまった肉料理を水で流し込み、
「だったら?」
「昨日のお風呂の件、しってるでしょう?」
「いやあれは別に見たとかそうゆうわけでは…」
「そんな事どうでもいいの」
女性はサラダに埋まってるパスタを巻きながら話を続けた。
「あんた、体中傷だらけだったじゃない。どうしても…」
「ヨーコ!」
会話を割り込むように猫族がテクテク寄ってきた。
「外のマイカーの様子を見てくるけどいいかにゃ?」
パスタを巻く手が止まる。
「あぁそぅいってらっしゃい」
魚料理をたっぷり摂った猫は、帽子を直しながらドアを開け外へと消えていった。
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宿屋から外へと出たネコパンチであったが、あまりの寒さに
「ヨーコにコートを買ってもらわないとにゃあ…」
と思わずつぶやいた。周辺に人影はいない。雪は最低でも10センチはあるだろう。
「マイカーどうなってんだにゃ?」
周囲を見渡すと、店の入り口に雪にまみれてる中、足だけが見えている事を発見した。
「なっ…なんにゃこれ⁉」
ネコパンチは足の見えている周辺を手で掘ってみると、男の死体が現れたのである。
「おかしい…これ絶対おかしい」
猫はまたキョロキョロと見渡し、横付けされているマイカー以外の車1台を発見し、
車の横をしもやけした手でかきわけてみると、赤い「〒」マークが現れ体が固まった。
慌てて銃を2丁取り出し、雪のせいでおぼつかない足取りでも何とか走りながら宿屋のドアを蹴り上げた。
「そいつがAAAの郵便屋だにゃあ‼‼」
瞬間!テッドはテーブルをヨーコの側に跳ね上げた。仰向けで倒れたヨーコをうつ伏せにし、後ろ手に手錠をかけた。
「女性は殺せない体なんだ、ごめんね」ヨーコは屈辱めいた顔でテッドを見た。
刹那、弾丸の応酬がテッドを攻め、その弾丸は何か所かテッドの体を貫通した。
「なんなんだあいつ…」
「あいつは世界で数人しかいないガンマンよ…手錠を外したら止めるよう呼び掛けても…」
すばやくテーブルから姿をだし全弾6発を使う。
「なっ…」
両足に2発命中。ネコパンチは立っていられなくなり、そのまま仰向けに倒れた。AAAであるテッドもまた、
修羅場をいくつもくぐり抜けてきた人間である。それだけにこの被弾は恥ずかしい。
厨房にいた宿屋の婦人が料理を運び戻ると、この凄惨な状況に思わず持ってきた皿を落としてしまった。
「どうしたっていうの⁉」
テッドは青ざめた顔で
「医者を…呼んでくれませんか?」と言うと吐血した。
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