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19 初フィールドボスはレアだった

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さて、道はひとつ。ファンシーとプルミエは森を越えてすぐ。
この森は初心者向けのライトの森と反対方向。なので町の門も反対の北門から出る。
道は黄色いレンガだ。偉大な魔法使いでもいるのかな?

「けっこう、牧歌的ですね」

レンガの道を私たちと同じように旅人やプレーヤーが行き来している。
中には荷物を載せた荷車をロバに引かせた農夫らしき人も。
草原や森みたいにポカスカ モンスターが沸かないのかな?
行商人であるハニーさんはロバに乗っている。
仕入れた荷物はインベントリの中なのでロバさんも楽そうだ。

「もう少し進んだら狼が出るよ。フィールドボスは灰色熊アッシュ。弱点は魔法攻撃、急所攻撃だね」
「ハニーさん 詳しいですね」
「私一応ベータ組なんだよ。だから行商許可証も早めに出たのさ。商人はNPCとの信頼度で得られるものが多いのよね。でも、大橋通行証は盲点だったなあ。結構商人プレーヤーはプルミエで儲け出すことに専念していて、嫌気さしちゃったからのんびりファンシーで露店やったり生産したりと情報収集がおろそかだったのよね。それに、やっぱり利益出ないクエスト避けていたし。今思えば商業ギルドでやたらボランティア募集していたのも、通行証クエだったのかも」
「商業ギルド?」
「あら、行っていないの? 冒険者ギルド以外にもギルドはあるのよ」

サーシャを見ると彼女も首を横に振る。
ホノカお姉さんは薬師ギルドを見つけて既に登録していた。早!

話しているとグルルと唸り声が聞こえた。
おお、狼ポップ。
【鵜の目鷹の目】で弱点見つけた。ありきたりだけど、眉間でした。
サクっと石鏃の矢で射てまえ。
狼は声も上げずにドロンと消えた。
よしよし、インベントリに狼の毛皮ゲットー。

よっしゃと振り向くと、ハニーさんらがポカンとしていた。

「……。一撃? しかも動作速くない?」
「いや、知っていたけど、フェザントちゃん、攻撃に躊躇ないね…」
「私たち、経験値もらっていいのかな…」

何を言っているだ。
皆も参加しようよ。戦闘楽しいよ!

幸い狼さんは群れで来たので、全員参加で楽しく(?)フィールドを駆け抜けました。
たまにイノシシも出る。これが凶暴で怖いのだが、支援系かと思っていたサーシャが水魔法のジェットシャワーなるものでイノシシを放水で押し流していた。
これが強い、強い。

「知性と精神あげているんで~。でも、HP低いんです、私」
「いや、助かるよ~」
「はい、サーシャ、MP回復薬」
「ちょっと、いつそんなもの作れるようになったんだい ホノカ!」
「あんたに言うと大量注文されるから嫌だ」

押し流したイノシシを弓でとどめ。鏃はモンスターが消えた場所に行くと落ちているので拾っておく。いつか弓矢も作れるようになりたいな。
ハニーさんが【付与】で私の弓矢に炎纏わせてくれたのがビックリした。これが【付与】か~。カッコいい。

「フェザントちゃん、風魔法使えるでしょ? 弓の方向付けるのに使っていたらその内生えるわよ」

そーなのか。私の魔法、そよそよ微風だけど、頑張って使おう。

もともと、このゲーム、モンスター単体はそれほど強くないみたいだしね。ソロでもプルミエまでは通り抜けられるみたい。これはフィールドボスも、さくさく行くかな?

--と思っていたら!




「キャー、また魔法がキャンセルされました~!!」
「ごめん、もう少ししたら石化回復すると思うので…。HP回復薬ください、ホノカさん」
「ハイ、フェザント。おお、私初めて活躍している」

パシャンと背中から回復ポーションがかかります。
現在状態異常起きていて、私がまったくの石像なのです。つか、まさしく石化中。
まずフィールドボスがレアだった。出てきたのが灰色熊じゃなくて、白熊だった。

『レアボス、灰色熊変異種:ホワイトベアが現れました』

これがまあ容赦なく状態異常をかけて来る来る。
私とサーシャがまずかかりました。石化です。

「うそ、この辺りで石化かけて来るのなんて、ベータの時だっていなかったわよ!」

ハニーさんの言葉に私は慌ててジローを出して、盾にする。
迫り来るホワイトベアの爪を、ステルスアルマジロのジローが眼前に見えない盾【アイギスの盾】を広げて防御した。ガツンと大きい音と、息巻いているホワイトベアの顔が怖い!
どうやらヘイトは状態異常かかった相手に向かうらしく、ホワイトベアは私とサーシャを交互攻撃。その都度空中も飛べるジローが素早く移動して盾で防ぐ。
チートだわ! 私よくこの子捕まえられたな~。
てか、悠長にしていたら地味にHPが削られている。石化って、HP減るの!?

先にサーシャが時間経過で石化解除された。え、個人差あるの!?

そして、サーシャがジェットシャワーでホワイトベアを攻撃。
ハニーさんが火魔法付与された剣で打つ。
HPの減りは少ないが、火魔法は牽制の効果があったらしくてホワイトベアがのたうって、距離を取った。
私も火柱上がる剣ちらつかされたらイヤだなー。

「石化の解除薬は」
「そんなの、まだ ないない! 錬金で出るんじゃないかと言われているけど、治癒師のレシピにはないわ」
「回復役のあんたが死んだらおしまいだよ、ホノカ。ヘイト向かないようポーションは気をつけて使って」

うう、アタッカーの私が大事なところでこのザマでごめんよ。

サーシャの魔法でようやく1/3ほどホワイトベアのHP削った。
そして、ようやく私が石化から回復。よっしゃ、いくぞ!
ハニーさんに弓矢に火属性つけてもらって、2連射立て続けに打ち出して、クマに猛攻だ。
弱点は…、眉間!

「死んどけーー!!」

お品がないことよ、私。

けど、無事ホワイトベアのHP全損しました。やったね。


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