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5 姉のパーティーはアイドル揃い
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「ねー、美鳥ちゃん、昨日はどーしてお姉ちゃんに連絡くれなかったのー!」
「あ、忘れてた…」
今朝、私、美鳥は姉、美空から非難されてしまった。珍しくお姉ちゃんが拗ねている。
昨日、初めてのVRゲームにダイブした私は早速PKされてしまった。
だけどおかげで救済イベントを体験できて、開始時点では手に入れるのが困難なレベルの高い弓、『フレンドゴーストの弓』を手に入れられたのだ。
そのあとは救済イベントの戦闘で自由に体を動かせたのが楽しく、私はお姉ちゃんが勧めたこのVRゲーム、『ファンシーライトオンライン』を本格的に始めようと、一度ログアウトしネットで情報を集めまくっていたのだ。そのせいでお姉ちゃんとフレンド登録すらしていなかったことも、忘れていたのだ。
「もう! まあ、いいけどさ。私もクラスのメンバーとレベル上げしていたし。でも、朝ごはん食べたらログインするでしょ? 折角の3連休だもん。お姉ちゃんのパーティーと一緒にフィールド行こうよ」
「う~ん…。パス」
ええ!? とお姉ちゃんが驚いた。
「だって、お姉ちゃんのパーティーって全員同じクラスの人でしょ。私、すごく場違いだもん…」
「麻耶は知っているでしょ?」
麻耶さんはお姉ちゃんをこの『ファンシーライトオンライン』に誘ったゲーマーの人だ。彼女は雑誌なんかでも紹介される、ゲームアイドルなんだよね。
お姉ちゃんのクラスは学校じゃハイソサエティクラスと言われている。
著名人の子供や、美男美女が多くお姉ちゃん自身も学業優秀で特待生だ。
「知っているけど…。あんまり喋ったことないし…」
「もう~、人見知りなんだから」
「私はマイペースでゲームしたいの」
「でも、次のログイン時は一緒にログインしよ。んで、フレンド登録だけしようよ。ね」
「うん、いいよ」
そう言って、食後の後片付けを二人でして、私たちはお互いの部屋へ急いだ。
****
再ログインした"始まりの町"の噴水前で、お姉ちゃんと丁度同時にログインした。
「おお~、美鳥ちゃん、兎人だね! うふふ、お姉ちゃんとお揃いの髪型~」
「べ、別にお姉ちゃんの真似したワケじゃないもん。色は違うし」
「素直じゃないんだから~。もう、なんでもお姉ちゃんとお揃いがいいんだから~」
「違うもん…」
ぷうと思わず頬を膨らませてしまう。いかんいかん、姉を喜ばせるだけだ。
噴水前はいつも大道芸の明るい音楽が響き、町のNPCがのんびり過ごしている。
その間に冒険者としてやってくるプレイヤーがチラホラ…、ホラ…。
(ん? なに、あの初心者装備の集団…!? き、綺羅綺羅しい!)
「お~い、マ-ヤ! 妹連れてきたよ~」
「お姉ちゃん、私、別行動する…」
「いいじゃない、紹介だけするから」
そう言ってお姉ちゃんは私の手をぐいぐいひっぱっていく。
おおお、気後れする。
ていうか、聞いていたより人数多いんですけど~!
お姉ちゃん含めて女の子3人とクラスメイトの男子2人の5人パーティーと聞いていたのに、その場にはワラワラと20人近くの初心者がいる。
その中で皆が遠巻きで見る美々しいメンバーが、お姉ちゃんに向けて手を上げて答えていた。
「ソラちゃん、こっち」
ひときわ背の高い、狼人の淡い金髪のイケメンだ。甘いマスクというヤツか! アイドルみたいな爽やかさ。
その隣に同じ狼人の銀髪の切れ長な瞳のイケメンも おう、と軽く手を上げている。
この二人の狼耳に、周囲の初心者たちがキャー、と小さく悲鳴をあげた。
(なるほど、この遠巻きの集団の正体が知れたわ…)
彼らは下級生の私でも知っている生徒会会長と、陸上部部長。
一般人なのにファンクラブがある、わが校のアイドルだ。
この周囲の女子たちは姉のパーティーではなく、そのファンクラブなのか。
姉の美空がイケメンたちに近づき 待たせた~、と気の抜けた挨拶をする。
周囲の空気がやや下がった気がするのは気のせいか?
「待っていないよ、大丈夫。こんにちは、えーと、ソラの妹さんだよね。私のこと覚えている?」
アイスミントの私たちと同じくふわふわウェーブロングのやはり背の高い女の人が私に声をかけてくれた。
ううう、緊張する。
「お、覚えてます。初詣のとき会った…。えっと麻耶さんですよね。いつも姉がお世話になっています…」
「うわ、可愛い。ソラの妹!? ちっさ!」
麻耶さんの後ろから、金髪イケメンが急にずずいと顔を出す。
ち、ちっさくない!
153cmは小さくない!
麻耶さんが、ペケポン、と金髪イケメンを軽く叱ってくれた。ホっ。
…小さくないけど、年上の男の人は私からみたらやっぱり大きいので怖いのだ。私は小さくないけどね!
ほら、気が小さいから。小さいの、背じゃないから。
ロップイヤーの耳がこれ以上ないほど下がる。
「ちょっと、うちの妹脅かさないでよ、ペケポン! ごめんね、えーとみど…じゃなくてフェザント。紹介するね。水色は麻耶…、マーヤか。金髪はペケポン、銀髪がワン君、んで、その後ろの女子がセシリアね。全員お姉ちゃんのクラスメイトだよ」
私の後ろから肩に手をかけ姉が挨拶を促す。
「ふぇ、フェザントです。こんにちは!」
「よろしくねー。新入生かー、書道部入らない?」
セシリアさんは初対面だが、優しそうな人だ。身長も私より少し大きいくらいだ。
「セシリアは書道で全国大会経験者だよ。大きい紙に全身で書くの、カッコいいんだよ」
(ふわわ、やっぱり、ハイソサエティ。色々、むりむり)
「はいはい、ごめん、うちの妹めちゃ人見知りで。フェザント、フレンド登録しとこ?」
「あ、俺も俺も」
金髪イケメンがぐいぐい来る。空気読んで~。
(いや、オトコはイヤ、大きい人怖い! つか、周囲の女の子が軽く殺気立っている…。お姉ちゃんはこんな学校生活送っているの!? 大丈夫なの!?)
姉が心配になり見上げるが、姉は何か悟ったか いい笑顔で私の頭をくしゃくしゃとする。
…大丈夫かな。こう見えて、姉は喧嘩上等な性格なのだ。心配性のお父さんから武道の心得持て、と今でも習っているし。私は続かなかったけど。
お姉ちゃんは今は女らしく擬態しているが、めちゃくちゃ暴れん坊なんだよね…。
「男はダーメ。うちの妹は不可侵よ! お父さんに殺されるから」
「お父さんがめちゃくちゃ厳しく聞こえる。残念~」
金髪イケメンの全然残念じゃない声を聞き流しながら、私はお姉ちゃんとセシリアさん、麻耶さん改めマーヤさんとフレンド登録をした。
すると、マーヤさんが言う。
「ごめん、あともう一人待たせて貰っていい? うちの弟もログインするの。今日初ログインだから手間取っていると思うんだ」
「あ、忘れてた…」
今朝、私、美鳥は姉、美空から非難されてしまった。珍しくお姉ちゃんが拗ねている。
昨日、初めてのVRゲームにダイブした私は早速PKされてしまった。
だけどおかげで救済イベントを体験できて、開始時点では手に入れるのが困難なレベルの高い弓、『フレンドゴーストの弓』を手に入れられたのだ。
そのあとは救済イベントの戦闘で自由に体を動かせたのが楽しく、私はお姉ちゃんが勧めたこのVRゲーム、『ファンシーライトオンライン』を本格的に始めようと、一度ログアウトしネットで情報を集めまくっていたのだ。そのせいでお姉ちゃんとフレンド登録すらしていなかったことも、忘れていたのだ。
「もう! まあ、いいけどさ。私もクラスのメンバーとレベル上げしていたし。でも、朝ごはん食べたらログインするでしょ? 折角の3連休だもん。お姉ちゃんのパーティーと一緒にフィールド行こうよ」
「う~ん…。パス」
ええ!? とお姉ちゃんが驚いた。
「だって、お姉ちゃんのパーティーって全員同じクラスの人でしょ。私、すごく場違いだもん…」
「麻耶は知っているでしょ?」
麻耶さんはお姉ちゃんをこの『ファンシーライトオンライン』に誘ったゲーマーの人だ。彼女は雑誌なんかでも紹介される、ゲームアイドルなんだよね。
お姉ちゃんのクラスは学校じゃハイソサエティクラスと言われている。
著名人の子供や、美男美女が多くお姉ちゃん自身も学業優秀で特待生だ。
「知っているけど…。あんまり喋ったことないし…」
「もう~、人見知りなんだから」
「私はマイペースでゲームしたいの」
「でも、次のログイン時は一緒にログインしよ。んで、フレンド登録だけしようよ。ね」
「うん、いいよ」
そう言って、食後の後片付けを二人でして、私たちはお互いの部屋へ急いだ。
****
再ログインした"始まりの町"の噴水前で、お姉ちゃんと丁度同時にログインした。
「おお~、美鳥ちゃん、兎人だね! うふふ、お姉ちゃんとお揃いの髪型~」
「べ、別にお姉ちゃんの真似したワケじゃないもん。色は違うし」
「素直じゃないんだから~。もう、なんでもお姉ちゃんとお揃いがいいんだから~」
「違うもん…」
ぷうと思わず頬を膨らませてしまう。いかんいかん、姉を喜ばせるだけだ。
噴水前はいつも大道芸の明るい音楽が響き、町のNPCがのんびり過ごしている。
その間に冒険者としてやってくるプレイヤーがチラホラ…、ホラ…。
(ん? なに、あの初心者装備の集団…!? き、綺羅綺羅しい!)
「お~い、マ-ヤ! 妹連れてきたよ~」
「お姉ちゃん、私、別行動する…」
「いいじゃない、紹介だけするから」
そう言ってお姉ちゃんは私の手をぐいぐいひっぱっていく。
おおお、気後れする。
ていうか、聞いていたより人数多いんですけど~!
お姉ちゃん含めて女の子3人とクラスメイトの男子2人の5人パーティーと聞いていたのに、その場にはワラワラと20人近くの初心者がいる。
その中で皆が遠巻きで見る美々しいメンバーが、お姉ちゃんに向けて手を上げて答えていた。
「ソラちゃん、こっち」
ひときわ背の高い、狼人の淡い金髪のイケメンだ。甘いマスクというヤツか! アイドルみたいな爽やかさ。
その隣に同じ狼人の銀髪の切れ長な瞳のイケメンも おう、と軽く手を上げている。
この二人の狼耳に、周囲の初心者たちがキャー、と小さく悲鳴をあげた。
(なるほど、この遠巻きの集団の正体が知れたわ…)
彼らは下級生の私でも知っている生徒会会長と、陸上部部長。
一般人なのにファンクラブがある、わが校のアイドルだ。
この周囲の女子たちは姉のパーティーではなく、そのファンクラブなのか。
姉の美空がイケメンたちに近づき 待たせた~、と気の抜けた挨拶をする。
周囲の空気がやや下がった気がするのは気のせいか?
「待っていないよ、大丈夫。こんにちは、えーと、ソラの妹さんだよね。私のこと覚えている?」
アイスミントの私たちと同じくふわふわウェーブロングのやはり背の高い女の人が私に声をかけてくれた。
ううう、緊張する。
「お、覚えてます。初詣のとき会った…。えっと麻耶さんですよね。いつも姉がお世話になっています…」
「うわ、可愛い。ソラの妹!? ちっさ!」
麻耶さんの後ろから、金髪イケメンが急にずずいと顔を出す。
ち、ちっさくない!
153cmは小さくない!
麻耶さんが、ペケポン、と金髪イケメンを軽く叱ってくれた。ホっ。
…小さくないけど、年上の男の人は私からみたらやっぱり大きいので怖いのだ。私は小さくないけどね!
ほら、気が小さいから。小さいの、背じゃないから。
ロップイヤーの耳がこれ以上ないほど下がる。
「ちょっと、うちの妹脅かさないでよ、ペケポン! ごめんね、えーとみど…じゃなくてフェザント。紹介するね。水色は麻耶…、マーヤか。金髪はペケポン、銀髪がワン君、んで、その後ろの女子がセシリアね。全員お姉ちゃんのクラスメイトだよ」
私の後ろから肩に手をかけ姉が挨拶を促す。
「ふぇ、フェザントです。こんにちは!」
「よろしくねー。新入生かー、書道部入らない?」
セシリアさんは初対面だが、優しそうな人だ。身長も私より少し大きいくらいだ。
「セシリアは書道で全国大会経験者だよ。大きい紙に全身で書くの、カッコいいんだよ」
(ふわわ、やっぱり、ハイソサエティ。色々、むりむり)
「はいはい、ごめん、うちの妹めちゃ人見知りで。フェザント、フレンド登録しとこ?」
「あ、俺も俺も」
金髪イケメンがぐいぐい来る。空気読んで~。
(いや、オトコはイヤ、大きい人怖い! つか、周囲の女の子が軽く殺気立っている…。お姉ちゃんはこんな学校生活送っているの!? 大丈夫なの!?)
姉が心配になり見上げるが、姉は何か悟ったか いい笑顔で私の頭をくしゃくしゃとする。
…大丈夫かな。こう見えて、姉は喧嘩上等な性格なのだ。心配性のお父さんから武道の心得持て、と今でも習っているし。私は続かなかったけど。
お姉ちゃんは今は女らしく擬態しているが、めちゃくちゃ暴れん坊なんだよね…。
「男はダーメ。うちの妹は不可侵よ! お父さんに殺されるから」
「お父さんがめちゃくちゃ厳しく聞こえる。残念~」
金髪イケメンの全然残念じゃない声を聞き流しながら、私はお姉ちゃんとセシリアさん、麻耶さん改めマーヤさんとフレンド登録をした。
すると、マーヤさんが言う。
「ごめん、あともう一人待たせて貰っていい? うちの弟もログインするの。今日初ログインだから手間取っていると思うんだ」
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