【本編完結】ベータ育ちの無知オメガと警護アルファ

リトルグラス

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5回目のヒート・R18

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 扉が閉まった。
 鼻に届くフェロモンが慶介の性欲をつつく。

(先生、もう行った、もう良いかな?)

 慶介はズボンと下着を一緒に脱ぐ。つーっと糸ができた。中指を体に沿わして伸ばす。たっぷりのヌメリが中へと誘っている。
 指の先端が入りかけては戻してと、自らの体に期待感を煽っていく。
 このまま中に指を入れればあっという間にイケるだろうが、今は、達してしまうのがもったいない気がした。最高潮まで高めたところでイきたい。
 そしたら、きっと、すごく気持ちいいから。

 慶介は性器には直接触れず、周りを撫でて、ここだという所を僅かにずらして、押して、引っ掻いて、自身に愛撫を重ねていく。
 ジンジンと火傷のように熱く、痛痒いような掻きたく程に熟れた中に、ぬぷぷぷと指をゆっくりと入れると、はぁ~、と、あつい熱の空気を吐き出し快感に震えた。ほんのちょっと動かすだけでも気持ちよくて、

「いく、いってまぅ・・・!ぁ、だめ、まだだめッ、んんッ~!」

 急ぎ、指を抜いたのがまた快感の波となって慶介の体を絶頂へ押し上げる。

「ーーあぁ、どこも触ってないのにっ、気持ちいいの残ってっ、あっ、い、いくっ、いっく・・・!」

 体をこわばらせては達してしまう、と川の流れを無理やり変えるような無理を体に強いて波を逃した。

「はあ、はあ、・・・危なかった。どうしよ、どっちでイこかな。中キュンキュンするけど、前の方が頭ん中すっきりするしな・・・」

 このまま性欲に支配された脳からの司令に従いたい気もするのだが、いかんせん、腹痛で悶えた疲労が残っているので出来ればいい感じに疲れて眠りたい。
 慶介は前に手をかけた。後ろと違ってヌメリのないソコはじっとりと汗ばんでいて、十分過ぎるほどに高められた神経はソフトな握りでも大きな刺激となって脳へ届く。そこへ、永井の服を嗅いで、匂いで更に脳を痺れさせる。

「あ、あ、フェロモン、き、気持ちい、頭バカんなる。イイ、イきそう、い、いく・・・、あ、あかん、後ろが濡れてきた。ーーあ、ちがう、後ろは使わん、キュンキュンされても使わんからぁ~!」

 結局、後ろの穴をズボズボされる感覚を想像しながら前扱きでイッた。
 賢者タイムなのかただの疲労なのか分からないが、眠気が降りてきてすんなり寝れた。


 翌朝、腹痛がもう起こらないか確認するために、シャワーで永井のフェロモンを洗い流し、部屋を移動し、様子を見た。

 しばらくすると力を入れていないのに腹が固くなってきた。押してみると痛い。ナースコールで医師を呼ぶと「お腹が張っている」と言われた。これが「お腹が張る」という状態か、覚えとこう。

 医師に触診されるとお腹の痛みが少し緩んだ。正直に言うと、性的に感じている。医師の診察の触診で感じてしまっているのが恥ずかしくて顔を隠していたら「よくある、普通の反応だよ」と言われて、バレていたらしい。それもそれで恥ずかしい。

「どうしようかな。やっぱり、アルファが一番の薬だから、誰かにお相手を願うのが一番なんだけど・・・。嫌なんだよね?・・・・・・じゃあ、永井君の服を届けてもらうしかないか。」


 10分ほどして永井の服が届けられた。
 フェロモンを受け取った脳と体が喜んでいる。

(はぁ~、これこれ、あ~、お腹、溶けてく・・・。うぅ、触りたい、ヌルヌルん中、中指クイッて曲げたら当たる気持ちいい所触りたい・・・。)

 チラチラと医師をみて、早くオナニーしたいと言えずもじもじした。
 そんな慶介の気持ちもお見通しな医師は困った顔してフッと鼻で笑った。

「服で治るみたいだね。明日は休みだけど、まぁ、あのアルファなら毎日提供してくれるだろう。」


 部屋はこのまま使っていい、と言われたので、早速永井の服を袋からだして思う存分吸い込む。

 ゾワゾワと鳥肌がたち、ドロリと中から液が出てきた気がした。驚きと不安で後ろの穴を服の上から触ってみた。ちょっとヌルっとした感覚はあるけれど、何かが漏れてしまった訳では無い事にホッとした。

 匂いを吸うほどに体の奥から熱い液が湧いてくる。今回も昨日のように焦らそうと、服の上からグッと穴を押した。

「あ、これ、これ気持ちいぃ。服の上からグイって押すの、中が押し上げられる感じ、気持ちいい。」

 慶介は夢中になって繰り返した。
 内蔵を揺らすと、口からは押し上げられた空気が意味をなさない音になって出てくる。

「はあ、ああ、きもちイイ。もっと、もっとして。ああ凄いィ・・・、ヌルヌルいっぱい、溢れるぅ、ぅ、ん、んぉ、お、おぁ、」

 気持ちがいいのは良いけど、これという決め手がなくて達しきれないし、手首がだるい。左手に切り替えて、右手には永井の服を掴ん匂いを思い切り吸い込んだ。

「あっ、あ、いけるっ、これっ!イけそう、永井の匂いっ、あ、ながい。これ、きもちいいっ、ながい、永井でいくっ、イク、イっちゃうぅ!!」

 ぎこちないが疲労のない左手が力強く乱暴に押し上げ、腹の中の熱に振動を伝え、グチョグチョに濡れた服ごと指を押し入れた。足も手も指先が縮こまり、ビクッ、ビクゥッと体が跳ねて中いきで達した。


 疲れて眠ってしまったらしい。
 目が覚めるとあんなにぐちゃぐちゃだったシーツや服がきれいになっていて、慶介自身もさっぱりとしているし、そもそもどこにあったのかも知らないバスローブを着て寝ていた。
 サイドテーブルには小さめのパンが2つとゼリー飲料、清涼飲料水。あと「なるべく全部食べるように」というメモ。
 時計を見れば既に昼過ぎ。無いと思った食欲は口に運んべば体が思い出した様に欲した。2個目の塩パンは塩味が体に染みるように美味かった。

 絶頂を求めるほどの情欲の波はあまりなく、常にムラムラとした感覚が続く。疲労感が残る右手を休ませるため左手でゆるくしごき、永井のフェロモンをオカズに達しなくても気持ちいフワフワした感覚に浸った。


 夕方にドアがノックされ、サポーターの人が入ってきた。ヒート中を他人に見られるなんて経験が無いから、思春期の女の子みたいに布団を引き寄せ体を隠し、オドオドした。サポーターは「恥ずかしがらなくていいのよ。オメガは皆そうなんだから」と、うふふと笑う。お風呂の介助もできるけど?と言われればブンブンと顔を横に振った。
 サポーターは追加の服が届けられたので持ってきただけらしい。袋を開ける前に食事をとるように言われた。

 食事は、基本的にお箸を使わずに食べれる物を提供しているのだ、と教えられて、リクエストも可能とか。パスタが好きだと言えば「明日はカルボナーラにするわね」と言われた。出されたミートパイとポタージュスープは温かく、空腹だった慶介はぺろりと食べきった。サポーターは「食欲があって良かったわ」と言って出ていった。


 食欲と睡眠欲がきちんと満たされると、性欲は抑え込める。その間にスマホのチェックをした。水瀬から数回、腹痛を心配するメッセがあったので、永井の服で解決したことと、医師がいて助かったので学校のシェルターを選んで良かったことを返信した。

 しばらくすると、腹部に違和感が出てきた。擦ると固い気がする。お腹が張ってきたんだ。と、さっきまで使っていた永井の服を探すが見当たらない。持っていかれたか?そうすると、新しい服を使うしか無い。
 袋を空けなくてもフェロモンが濃い事がわかる。この服は部活動で着ているやつだ。期待感と怖さの間で迷い生じる。

 意を決して、開けた袋から広がったフェロモンに、慶介は驚愕した。

(これ、誘引フェロモンだ!!)

 鼻と口を覆い、なんとかフェロモンを遮ろうとするが効果があるわけがない。落ち着いていた情欲が大波となって押し寄せる。


 誘引フェロモンに溶かされた脳には理性の欠片もない。本能のままに誘惑フェロモンを放出し、永井の誘いに全力で応える。
 一気に高まった性欲が、身の内で、暴れまわる快感の波となって慶介を襲う。大時化の海で押し寄せる波に揉まれて、息をする間もなく溺れそう。息を忘れて、ベッドの上でぺたんと座り、ピクピクと体を震わすばかりで、放心して動けない。

ーーだれか、・・・・・・、

 海は苦しい、暖かな原っぱで寝転んで、息をーー。すぅと僅かに吸い込んだ空気に、脳が甘い匂いを捉えて、よりどころのなかった大海原から、花が咲き誇る幻想的な空間に塗り替えられた。
 力が抜けて、くにゃりと倒れこんだ。

 脳が命じる。

 ゆるく勃ったそれを握り上下に動かす。濡れて受け入れることを覚えたそこには指を滑り込ませ、クチュクチュと小さく鳴らす。

 見せつけろ。

「・・・ぁ、いい、ココきもちいい、クチュクチュしてきもちいいよ。まえ、ゴシゴシしたら中がキュゥキュゥして締まるんが、もっと、きもちいい。もっとするぅ・・・」

 呼べ。

「あぁ、ながい・・・永井、ながい、あ、あ、触って、きもちくなりたい。俺のここ、触ってっ、キモチイイの欲しい。ながいっ、ながい、ほしい、・・・すき、気持ちいいのすき、すき、永井すきっ、すきだから、きて、ココ。入れてっ!永井ッ!ああ、永井ィイ!」

 技もなくただ掻き回し、腰をカクカクと揺らし、後ろだけで足りない快感を前を攻めることで補う。
 猟犬に追い立てられる獲物のように、脳を支配する永井の誘引フェロモンから逃げているつもりで快感の絶頂へ追い込まれていく。

「はぁん、いい、きもちい、永井、もっとして、きもちいいのもっとちょうだい!イきたい、イきたいよぉ、んんっ、あっ、あっ、永井、いくっ、いくいくいく、いっぐぅ~、ーーッ!!」

 勢いなく漏れ達した前を、震える手で握り扱き出し切って、全力疾走の後のように倒れて脱力した。


 絶望感が半端ない。
 永井の名前を呼びまくってしまった。永井に好意なんて無いのに。嫌いとかではないけど、抱かれたいなんて思ったこと無い・・・つもりだ。慶介の理性としては。
 ムズムズする下半身にまた手が伸びてスルスルと撫でて、カリカリと掻いてしまっている。

 もう止めたい。終わりにしたい。こんなの自分じゃない。永井の服なんて燃やしてしまいたい。でも、この服がないと腹痛で悶絶することになる。
 あの痛みと苦しみは辛い。

 痛みの恐怖に怯えた慶介の、心の隙にまた誘引フェロモンが花狂う甘い世界へ引きずり込もうと誘ってくる。

(嫌だッ!もう、やりたくない!消えろッ!)

 拒絶の意志を持て。誘引フェロモンを耐えた実績があるではないか。思い出せ。理性を保ち、何をしているのかを確かめ続けるんだ。


 脳に深く絡みついた誘引を引きちぎり、立ち上がり風呂場へ向かった。
 お湯になる前の冷たい水を避ける気力もなく、水を受け続ける。冷やされた体が湯であたたまる頃にはフェロモンも薄れて安心して息がつける。


 もうずっと、風呂にいよう。向こうは花の快楽地獄だ。








***

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