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しおりを挟む「誕生日なんて自分でも忘れてたよ...」
顔が熱い。
好き、と言う単語だって今まで躊躇しながら伝えてきた。
それでも今日は彼が生まれてきた特別な日。
好きなんて言葉じゃ足りなかった。
「...今まで生きてきた中で1番のプレゼントだよ...」
「あっ...!」
突然ベッドに押し倒されると、目の前に彼の綺麗な顔が広がる。
淡い光を受けた髪や肌がぼんやりと輝き、彼の匂いが降り注いだ。
「ありがとう。誰よりも、何よりも君を大事に思ってるよ...鏡夜」
触れ合うだけのキスが、次第に深く濃厚なものへと変わっていく。
水音を響かせ、甘い吐息を交わらせながら彼は俺の衣服に手を掛けた。
「は...んっ、ちゅ...つばきさ...♡」
「...ん...ああ、キスだけで濡らすなんて、困った子だね...」
あっという間に剥かれ、下着姿のままベッドの上で身体をくねらせる。
「だって...、椿さんとのキスきもちいい...から...」
下着越しに自身の先端を擦られれば背筋に甘い震えが走った。
「ぁっ♡待っ、て...先っぽは...」
「心配しないで...すぐ気持ち良くさせてあげるから...」
「んんっ、♡くちゅ、ふ...ッん♡」
会話も、すぐにキスへと変わる。
頭がぼんやりとするような、ただただ甘い口付けに脳内が蕩け出てしまいそうだ。
彼の手が肩や胸、太腿の柔らかさを確かめるかの如くゆっくりと往来する度に身体が小さく反応する。
「ほんと、かわいい...」
パジャマのボタンを外し、ベッドの上に衣服を脱ぎ捨てた彼の身体には、上質な筋肉が覆っている。
服を脱ぐ時
髪を掻き上げる時
俺の身体に触れる時
左の薬指に冷たく輝く指輪が視界に入ると、胸がじんわりと熱くなった。
「んっ...鏡夜?なに...」
上から見下ろす彼の首に両手を伸ばし、優しく引き寄せては触れるだけのキスをして
「これで...他の女も手出し出来ねぇな...♡」
彼の唇をぺろりと舐めた。
「、まったく君は...」
可笑しそうに低く笑う彼が、ギュッと俺の身体を包み込む。
温かな体温と、大好きな匂い。
「オレを喜ばせるのが上手だ...」
安心する力強い抱擁に、うっとりした。
「ちょっと待っててくれる?」
身体を離した彼が寝室を出て行ったかと思うと、すぐに手ぶらで戻ってくる。
「実は、俺も君の誕生日にあげようと用意していたんだ...。渡す予定は来年の君の誕生日だったけど」
ベッドに腰を掛け俺の身体を起こす彼がふわりと微笑めば、優しく左手を取り俺の手の甲に口付けを落とした。
「いつ渡すかなんて、もはや関係ないね」
指先にもキスを落とし、左手の薬指にすっ、と指輪を嵌められた。
「ずっと、一緒に居て欲しい。
今も、来世も、その先も...」
嵌められた指輪はこの世の何よりも美しく見えた。
キラキラと輝く指輪を見ていたはずなのに、目の前が霞んでしまう。
「君と今世で出会えたのは運命だ...、来世でもオレは絶対に鏡夜を見つけ出して、また君を好きになるから...」
頬を伝う涙が、ベッドシーツや手の甲を濡らした。
俯いていた顔を、彼の熱い手が優しく包み込むと、潤んだ世界の中で彼が笑っていることに気付く。
彼の笑顔は
自分の人生の財産だーーー。
「だから、君が指輪に書いてくれたように永遠に一緒にいよう...」
子供の様に泣きじゃくる俺を見た黒田は、困ったように笑い、頭を撫でながら背中を優しく摩った。
「愛してるよ...鏡夜」
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