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しおりを挟む「光悦様は、危険な目に遭ってる部下がいたら身体を張って守る男の中の男だ!光悦様が世界で1番カッコイイ!」
「それなら俺の椿さんだって、毎日毎日沢山の生徒の体調を気にかけて、傷の手当したりお熱計ってくれたりするんだぞ!白衣の天使だぞ!結論、椿さんは宇宙一カッコイイね」
「いやでも光悦様は100円玉も交番に届けるし」
「いやいや、椿さんはお年寄りが重いものを持ってたら家まで届けてあげるし」
「いやいやいや光悦様は!」
「いやいやいやいや椿さんは!」
バンッ!
口論が始まって40分後、ようやくサウナの扉が開かれた。
「あぢー...死にそ...、シンー水持ってきてー」
「...!ただいまお持ちいたします...!」
さっきまでギャーギャー喚き散らかしてた男は、従順な犬の如く、主人の命令により脱衣所の自動販売機まで駆け出した。
ムキになって、2人の存在をすっかり忘れていたが、サウナから一向に姿を現さない黒田の存在が気になる。
汗を掛け湯で流してから水風呂に滑り込んだ光悦はともかく、長時間水分も摂らず暑い部屋の中に閉じ込められているのだ。
もしかしたら、中で倒れているかも...。
「椿さん...!?」
慌てて湯から上がりサウナの扉を開けると、彼は中で呑気にテレビを見ていた。
「あ、鏡夜。光悦が沢山衣装送ってくれるって、良かったね」
「...」
あまりにもケロッとし過ぎではなかろうか。
部屋の湿度は高く、温度計も60度を超えている。
他のサウナに比べて温度設定は低いだろうが、長時間居座るだけで息苦しさと熱さが体力を奪うことに変わりない。
彼の身体からは汗が滴り、長い前髪を掻き上げる姿がなんとも色っぽくて美味しそうだ...
って、そうじゃない。
「椿さん、水分補給しないと」
「このドラマ、今いい所なんだけど」
「水分補給が先!」
「んー...しょうがないな...」
肩を竦めながらサウナを出て汗を流した彼の身体は、所々がピンク色に染まっている。
えっろい身体がよりえっちに見えて困る...。
「鏡夜、今晩僕の抱き枕にしてやれなくてごめんな。こいつが暑さに強いの忘れてたわ」
「えっ、ぁ...うん?」
本当に俺を抱き枕にするつもりだったのか。
ペットボトルの水を光悦に献上する進がまたしても俺を睨むと、俺はわざとらしくため息を吐いた。
「さ、鏡夜...負け犬のことは放っておいて中に入ろうね。身体洗ってあげる」
光悦の位置から見えないように俺の身体を隠し、背中を軽く押す彼に導かれるまま室内へ足を踏み入れる。
「ふー...あちぃな...」
小さく口にしながら額を拭う姿を前に、彼とセックスしている時のことを思い出した。
中、熱いね...絡みついてくる...、そう言いながら顬を伝う汗を、ウザったそうに拭う雄々しい姿が、俺の心臓を鷲掴んで離さなかった時のことを。
今夜、椿さんに布団の上で抱かれるんだ...。
「じゃあここに座って」
言われた通りバスチェアに座ると、黒田が背後に回り込む。
「頭濡らすから上向いてくれる?」
後頭部に当たる彼の胸板にドキドキしながら、ゆっくりと上を向くと頬を染めた彼と目が合った。
「ふふ...、2人ともポカポカだね」
頬が赤いのはサウナのせいだろうが、柔らかく笑った彼を見て己自身がビクンと反応する。
おさまれ、おさまれ!と再び念じながら眩しい笑顔を浮かべる彼の手に意識を集中させた。
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