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しおりを挟む「なあ椿、中の死海風呂入った?死海ってほんとに浮くんだなー」
隣で小さく舌打ちをした黒田は、静かに俺の前へ移動する。
「あからさまに鏡夜を隠すなよ。余計見たくなるだろ」
「だめ」
自慢したくてキスマークやら噛み痕やらをつけたのに、手を握ったままの状態で彼は俺を背後に隠してしまう。
「少しだけ」
「だめ」
「じゃあお前の身体、穴があくほど見ちゃうよ?」
「やだ」
彼の肩越しに見える光悦の肉体はいつ見てもえろい...。
腰が細くて、筋肉質な身体には目を奪われてしまう。
「じゅる......美味しそう...」
黒田の背後でボソリと呟いた言葉を聞いて、普段優しい顔をした彼が鬼の形相でこちらを見やると身体がビクリと跳ねた。
「......美味しそう...?」
「あっ!や、違う!ほら...ここからだと椿さんの胸の大きさが分かるから...!」
むぎゅ、と鷲掴んだ黒田の胸を揉みながら必死に取り繕った笑顔を浮かべる。
「あはは、椿がおっぱい揉まれてる!」
何が面白いのか、大爆笑する光悦に尚更黒田は冷ややかな視線をこちらに注いだ。
「...鏡夜」
「ひゃい...!」
「...揉み返すよ?」
「ごめんなさい...」
「そんな怖い顔しなくてもいいじゃんな...?鏡夜、僕の身体触っていいよ...♡」
彼の声の低さと態度にすっかり小さくなってしまった俺を、光悦が手招きで呼び寄せる。
「好きなだけ触って♡」
えっちな身体に、甘美な誘惑まで添えられているのを見て見事に気が緩んだ。
「好きな...だけ、っ!?」
つまりあの身体を好きにしていいってことか...。
「こら鏡夜、目を覚まして。光悦はとんでもない変態なんだ。君が触りに行ったら最後、骨の髄までしゃぶられるよ。だからだめ」
とんでもない、変態...?
「......!そ、そうだった...!危ない危ない...」
黒田の言葉で先程覗き見してしまった光景が脳内にフラッシュバックしては頭を左右に振った。
「変態って酷いなぁ、普通だよ普通」
いや、普通ではない。
「シンくん、そこで何してるの?こっちにおいでよ」
「...はい...、失礼します...」
光悦はこんなに爽やか好青年の顔をしていながら、進にはオナニーもさせず、毎日自分の乳首を弄るように命じ、結果言葉だけで2度も射精させた。
しかも、進のことを人間とすら思っていないような発言をした挙句、自分の出した精子を舐めて綺麗にしろ、だなんて...
「あ。そうだ、誰が鏡夜と一緒に寝るか決めよう」
人として終わっている...!!!
先程進に対してあんなことをしていたにも関わらず、俺と一緒に寝ようとしているところも人としてどうかと思う。
「鏡夜の恋人はオレなんだけど」
「でも、僕も鏡夜を抱き枕にして寝たいよ」
「でも、じゃない。鏡夜はあげません」
ああっ...こんな時でも進の視線が身体に突き刺さって痛い...。
「じゃあ、どっちがサウナで長く我慢できるか対決しよう。僕が勝ったら鏡夜を抱き枕にする」
「光悦が負けたら?」
「鏡夜に似合いそうな衣装を沢山提供する」
「衣装...」
「ほら、ナースとかボンテージとかテディとか...えっちなやつ」
......光悦って、精神年齢低いのかな。
椿さんは大人だから、子供じみた勝負事に乗るようなタイプではない。
例え、セクシーな衣装をチラつかされたとしても「くだらない」と一蹴してくれるだろう。
「ハーネスもつけてくれる?」
「顔に似合わずスケベだな、椿は...いいよ♡」
!?!?
あれ?もしかして、思った以上にヤル気満々?
しかもハーネスって、ペットが散歩の時に着ける奴じゃないか?
えっちな衣装に釣られた黒田もまた、精神年齢の低さが垣間見えてしまった訳だが...
そんなことに気付きたくなかった、と肩を落としていると、黒田と光悦が徐に立ち上がりサウナの中へ身を隠してしまう。
「...」
と、言うことは
「おいてめぇ、何こっち見てんだよ殺すぞ」
進と2人っきりと言う事態から逃れられない。
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