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しおりを挟む綺麗な所作で煙草を吸い、紫煙を燻らせる彼に見惚れてしまう。
「煙草、いつから吸ってるの...?」
辞めた身からすれば煙草は好きではない。
ただ
「んー...、大学1年生からだったかな...」
煙草を吸っている男の人はセクシーで、色気があるなら嫌いじゃない。
「鏡夜が辞めて欲しいって言うなら、辞めてあげる」
灰皿に煙草を押し付けた彼が、再び俺の身体をまさぐる。
「あ、なに、...っ...?」
「...なにって...、大浴場行くならマーキングしとかないと...」
今になってキスマークを付け始めた黒田の身体を軽く押し返す。
「つ、つけなくていい...」
「どうして?誰が見てもオレのものだって分かる印、付けさせてよ」
最初から黒田の狙いは、自分の痕を身体の至る所に付けた俺を、他の男に自慢することだったのかもしれない。
「ね?お願い...」
きゅんっ
まあ...椿さんが満足するなら、少しだけつけさせてあげてもいいかと思ったが...
「太腿の内側...、噛むよ...?」
ねちっこい......!!!!!!
「つ、椿さ...も...いいから...」
無理矢理自分の身体を両手で包み込み、彼から距離をとれば黒田は肩を竦めて見せた。
「まだ全然足りないのに...」
自分の見える範囲では結構な数の噛み跡やらキスマークがつけられているのだから、もう十分だろう。
「...早く行くぞ」
部屋のクローゼットから浴衣とタオルを手に持ち2人で部屋を出ると、どこからともなく「あ」と言う声が聞こえてきた。
「......もしかして、お前...オレらのストーカーなのか?」
「やだな、偶然だよ♡」
「絶対偶然じゃないだろ...」
隣の部屋から光悦と進の身体が覗いているのを見て、息を詰まらせる。
光悦は兎も角...
まさか、また進と会うことになるなんて...!
「なに、これから風呂?大浴場23時まで僕の名義で貸切ったから入っていいよ」
「はぁ?貸切...?」
そんなの聞いてねぇぞ...、と小さく呟いた黒田に向かって、光悦は爽やかにはにかんで見せる。
「僕たちも行こうと思ってたんだ。丁度いいし4人で入ろう。2人は先に行ってて」
一体何が丁度いいのかは謎だが、有無を言わさず部屋に戻った光悦に舌打ちをする黒田は、呆れた様子で歩き出した。
「...一緒に風呂とか、最悪」
「ま...まあ、貸切ってことは無人の広い風呂に自由に入れるんだし、いいんじゃね」
「他の男共に自慢できると思ったのに、変態のあいつが鏡夜の身体を見るとか...素直に腑に落ちない」
変なところで拗ねてる...。
クスクスと笑う俺を見て、黒田はバツが悪そうに頭をかいた。
「あっ...、やべ。下着忘れてきたかも、取ってくる」
「うん?一緒に行こうか?」
「大丈夫、すぐに追い付くから」
最近、黒田にも内緒で買ったスケスケピチピチの下着を鞄に忍ばせてきたのに、それを忘れるなんてうっかりしていた。
その下着で夜這いしようと思っていたが、光悦がいるなら話は別だ。
計画を変更してボクサーパンツにした方が無難だろう。
大浴場に黒田1人を向かわせ、元来た道を戻っていくと、光悦の部屋から光が漏れていることに気付いた。
「...お願......す」
ん?
なんだよ、光悦のやつ...部屋の扉しっかり閉めてないじゃねぇか。
角部屋とは言え、油断しすぎだ。
「おい、光え...」
「お願いします...、外してください...」
......あ゛?
脚を組みながら椅子に座る光悦の前で、進が一糸まとわぬ姿で床に額を付けている。
俗に言う土下座、と言う体勢だったが
「声が小さい」
冷ややかな視線で蔑まれた褐色肌の男の身体が、この位置からではよく見えた。
「光悦様...お願いします...、これ...」
キラリと彼の脚の間で光るソレは
「貞操帯...、外してください...」
男を管理するための檻であった。
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