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しおりを挟む微笑む俺に、目を細めた彼だったがその表情も束の間、同じようにふわりと笑って見せる。
ここが飲み会の場じゃなければ、今すぐその胸に飛び込んで甘えれたのに。
「何だか...」
言いにくそうに口元に手を当てた女1が、チラリと視線を投げて寄越す。
「酔っ払った碓氷先生って可愛らしいですね...」
「...表情も豊かだし、何かキュンキュンするんですけど...」
「あったり前だろ~、おれはいつも可愛いんだよなっ...黒田♡」
「...」
彼女らがそう発言をした時、黒田の身体が微かに反応したことに、気付くはずも無く。
「よく見ると顔も整ってる?し...肌も凄く綺麗」
「てかその眼鏡、度入ってます...?眼鏡外したところ見せてください!」
「あ、私も眼鏡外したところ見た~い」
わ...なんだこの距離の詰め方...!
散々俺のことを毛嫌いしていた女教員の一部が、何故俺に興味を持ち始めているんだ。
つーか...いっぺんに喋られたら頭ん中ぐちゃぐちゃになってよく分かんねぇよ...。
「...はぁ、それにしても暑いね。女性は暑い時だと化粧崩れとか大変だろう...湿気が多い日だと、余計崩れやすいんだよね?せっかく化粧するのに、崩れるなんて勿体ないよなぁ...」
突然発せられた黒田の声に、一瞬辺りが静かになった。
男からすれば、一体何脈略のないことを、と思うかもしれないが女性陣からすれば彼の一声は余程重要だったらしい。
遠回しに化粧が崩れていると言いた気な黒田の発言に、過敏に反応を示す女性教員は早速バッグを漁った。
「あ、あはは...そうなんですよ。すぐ崩れちゃうんですよね~...、私そろそろ御手洗に...」
「わ、私も...!」
小さなポーチを小脇に抱え、自分の卓の女2人だけでなく近場で聞いていた女性教員すら巻き込んで、わらわらとトイレへ駆け込む姿を見た周りの教員は、もちろんクエスチョンマークを頭に浮かべている。
「鏡夜...」
「んぅ?」
ソファーで項垂れる俺の身体に身を寄せ、甘い声で名前を呼ぶ彼は少しだけ怖い顔をしていた。
「ダメだろ、オレの目を盗んでお酒飲んだら...。罰としてそれ...着けて」
......ゴム?
何故、今彼の手にゴムが握られているのだろう。
勃起していない状態の俺自身にゴムを着けても意味無いと思うんだけど...。
「あとこれも、ね」
???
鞄の中から取り出されたのは、見覚えのある、丸く無機質な物体。
それを見て余計に頭がこんがらがる。
マジで一体何をさせる気なんだ...?
「...1人で出来る?」
「...?」
状況が上手く把握出来ない俺に痺れを切らした彼は、着いておいで、と小さく口にしてから席を立った。
わ、フラフラする...。
彼の後ろを追い掛けるように自分も席を立つと、視界がグラりと歪んだ。
「くろだ...待って...」
壁や柱に手を添えながら、やっとの思いで彼の後を着いて行くと男性用トイレの個室に押し込まれる。
狭い個室に2人っきり。
アルコールの匂いに混じった黒田の香りに、心臓が高鳴って仕方がない。
「ベルト外して、下着下ろして」
「?っ、ぅん...♡」
言われるがままにベルトを外しスラックスの前を寛げると、ボクサーパンツをずり下げる。
「便座に座って、...そう、いい子」
「あっ...ん...♡」
ちゅ、ちゅ、と優しく俺に口付けながら彼の指が乳首に触れると、鈍い快感が身体中を駆け巡った。
こんなところで...何かを始めようとする黒田に怯えつつも、期待している自分がいる。
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