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しおりを挟む「ふふ...君らしい」
「...あんたがここまで来なければ無駄な体力を使わなくて済んだのに...」
改めて日誌とチョークケースを持ち直し、呆れたように呟く。
一体どう言う風の吹き回しだ。
生徒の前で飲み会のワードを出すことも、女子生徒の前に軽々しく身を現すことも...危機管理能力が低下しているんじゃないのか?
「迎えに来なかったら、また3学年の先生同士でまとまって座っちゃうでしょ?」
「...まあ、そうだな...その方が気を遣わなくて楽だし...」
「だめ、アルコールの匂いだけでエロい顔する君を他の男に見せたくない」
「っ、ばか...!職場でそう言うこと...っ!」
彼の口に人差し指を押し当て、辺りをキョロキョロと見回す。
辺りに人は居らず、石井のクラスは未だにホームルーム中だ。
ホームルーム後に石井のクラスから女子生徒が放出されれば...
『黒田先生だ~♡』『今日もカッコイイね♡こんなところで何してるの?♡』
って、絶対デジャヴなことが起こりうる。
「相変わらず心配性だな...安心しろ、窓際に座るし酒を飲むつもりはない」
さっさとこの場から退散してしまった方が身のためだろうと、彼を置いて歩き出す。
「だとしても、だよ。オレの隣に居て欲しい」
こちらへ駆け寄った黒田に視線を投げてよこすと、彼は大きな身体に見合わない子犬のような表情を浮かべている。
うっ...、なんだその可愛い顔は...。
俺より身長が高くて、歳上で、男らしい彼のお願いはあまりにも可愛らしく、破壊力がある。
「だめ...かな...」
その可愛らしさに息をつまらせながらも、小さくため息を吐いた。
「っ、ダメなわけがねぇ...」
「ほんと?ありがとう」
あー...笑った顔も世界一かわいい。
「...ど、どうせ離れて座っても...あんたのことは気になるだろうし...、隣に...居てやる...」
14時
駅前の居酒屋を貸し切り、昼間から酒を煽る高校教師とは如何なものか。
教頭に「おお!今日は3学年で固まってないな!偉いぞ~!」って言われたのがシンプルに癪に障った。
固まるな、と言うのであればもう少し広い座席が用意された会場で飲み会を実施すればいいのだ。
何故か毎回4人席なのは、どう考えても頭が悪いだろ。
「いい飲みっぷり~♡」
「黒田先生、2杯目は何にします♡?あー...と、碓氷先生は?」
「...」
どうせ、ついでですよ。
30分程度の醜い争い(女性教員同士のジャンケン大会)の上、黒田と同席を確保した女2人は、席が決まって早々トイレへ駆け込み念入りに化粧直し。
「オレはハイボールかな、碓氷先生は烏龍茶だよね?」
「ん...」
ピンク色に染まるこの卓は、他の女性教員の格好の餌食となっている。
ギラギラと輝く肉食獣の眼光で黒田の居る4人席を狙う女性教員たちは、隙さえあればジャンケンで勝った女2人を殺ってしまいそうな迫力すら持ち合わせているのが、どうにも落ち着かない。
「碓氷先生?どうかした?」
顔を覗き込みながら腰に腕を回す黒田を思わず睨んだ。
やっぱり黒田と同じ席にするんじゃなかった...!!
「っ、おい...人前で触るな...」
「膝の上に乗せたいのを我慢してるんだよ?少しくらいいいじゃん」
耳元で!囁くな!!
「2人で何をコソコソ話してるんですか?」
「私ともお話してくださいよ~♡」
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