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しおりを挟む「かわいい...碓氷先生...」
「んっ...!?」
柔らかな唇が触れる。
目を伏せた吉野の睫毛は、薄暗い中でもキラキラと煌めいていた。
俺、黒田以外の人とキスして...
「ッ...!」
「は...、てめぇマジで何考えてんだ...」
彼の唇に思い切り歯を立てれば、鮮血が顎を伝った。
噛んだ時に入り込んだ吉野の血液の味に眉を顰めながら、彼の力が緩んだ隙に強く身体を押し返す。
「下っ手くそなキスしてんじゃねぇよ...」
「黒田先生は上手なんですか?」
「あ゛?」
......。
自分の血を舌で舐め取り、顎を手の甲で拭う吉野は薄く笑いながら問いかける。
本当に黒田とのことを知っているのか、はたまたカマかけか...表情が読み取りにくい室内だからこそ、彼は今ここでこの質問をしたのだろう。
「何故黒田先生が出てくるのか理解出来ん。今回は悪ふざけだと言うことで目を瞑ってやる...だから」
「ま...しらばっくれて当然か。じゃあ...」
わざと被せるように口を開いた吉野が、懲りずに俺の腕を掴んだ。
「夏祭りの時に先生が飲んだ水で火照った身体を、誰が慰めてくれたんです?」
ドクン、と心臓が脈打つ。
信じたくなかった。
生徒を疑いたくない一心で、必死に否定していたが...
「君が、薬を入れた張本人なのか...?」
まさかそれを、吉野の口から聞くことになるとは思わなかった。
「質問を質問で返すなって、先生よく言ってますよね?まず、俺の質問に答えてください」
淡々とした口調。
俺とは裏腹に、焦りなんて一切感じていないと言った態度は、冷静で頭のキレる吉野をまざまざと表していた。
「............風俗に行って、複数人に相手してもらったんだ」
「へぇ...?」
風俗なんぞ生まれてこの方1度も行ったことはないが、小さな嘘を積み重ねる罪悪感よりも、今は自分たちの保身を優先しなければならないのだ。
自分のためにも、黒田のためにも。
「貴様の番だ、早く答えろ」
「先程の質問の答えはYESです、俺が薬を作りました。薬を使用した感想は?」
感想だと?
この状況下で呑気に感想なんて言ってられるか。
こちとら、いい男2人に囲まれて3Pしたんだ。
最高に幸せだったに決まっている。
と言える訳もなく、俺は1つ咳払いをした。
「酷い目にあった...。君はどんな理由があってあの薬を作ってるんだ、つーかどうやって薬を...」
「話が長くなりそうだから、今から俺の家に来ませんか?何でも教えてあげるよ、俺のことも、誰にも話してない秘密も...」
......秘密?
誰にも話していない秘密を、俺には教えてくれると言うのか?
気になる。
気になるけど、家に行く必要なんか絶対ないし...そもそもに生徒の家に行くっておかしいだろ...。
「行かない...。あと1時間もすれば後夜祭も終わるし、もう戻る。明日の午前中は体育祭と文化祭の片付けだからと言って、君もサボったり遅刻したりしないように」
吉野の家に行ったら最後
「じゃあ、俺はこれで...」
俺は確実に薬を盛られてヤられる...!!
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