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しおりを挟む「ち、ちがいます...!」
「はいはい。...もう15時ですけど、そろそろ他の先生と交換しますか?碓氷先生も見て回りたいでしょう」
「いや、1人で回ってもつまんないし...。若王子先生こそ見て回ったらどうですか?」
「ああ、僕は...」
自席に戻った若王子がスマホを取り出しソーシャルゲームを開く。
「周りの女性にモテてしまいますから」
「うざ」
「他校の子とか保護者とかに言い寄られたら面倒です。あ、そうだ...主任、呼んできてくれません?」
こいつ。
「姫神主任とのお留守番なら絶対楽しいだろうな...」
嫌味のない笑顔を浮かべているが、遠回しに俺と一緒じゃつまらないと言われている様で腹が立つ。
それならこっちだって一緒に居るのはお断りだ、と彼の頼み通り姫神探しの旅に出ることにした。
職員室を出れば熱気が凄い。
一生懸命働く黒田を横目に通り抜け、中庭方面へ向かう。
姫神が何処にいるのか、皆目見当もつかないため教室や出店を注意深く観察するが
「いない...」
この人の多い中から華奢な姫神を探そうとしている自分が間違っているのか、一向に彼は見当たらず、ただただ時間だけが過ぎていく。
筋肉痛で悲鳴をあげる身体、容赦なく体力を奪う暑さにうんざりする。
「仕方ない...戻るか」
諦めて職員室に戻ろうとした瞬間、背後からぎゅうっと抱き締められた。
「......光悦だろ」
「え、なんで分かったの?凄いな、鏡夜♡」
こう言うことをするのは、知り合いの中でも光悦しかいない。
顔を見ることも無く抱き着いてきた人物を当てた俺は、そのままくるりと振り返った。
「わー...ジャージ姿、可愛い。食べちゃいたい...抱っこしてもいい?」
「職場だぞ、駄目に決まってんだろ」
周りの視線が気になる。
光悦の容姿が他の人間よりも良い分、視線を集めやすい。
先程からギラギラとした女性の視線が突き刺さっていることを、彼は気付いているのだろうか。
「1人か?」
「いや、部下と来たんだ。シンくん、おいで」
手招きして部下を呼び寄せた光悦の隣に、身長の高いミステリアスな男が並んだ。
「進 絢斗、僕のことを愛してやまない可愛い舎弟だよ。鏡夜も仲良くしてあげてね」
「...」
「...」
......めっちゃ睨まれてるんだけど?
つーか絢斗って...、光悦がアプリで使ってた名前じゃねぇか。
部下の名前でマッチングアプリ登録するとか、普通に信じられない。
「シンくん、挨拶」
「.........ども」
長い前髪の隙間から覗くブルーの瞳、彫りの深い顔立ちは日本人離れしている。
褐色の肌にがっしりとした身体、声も低くて、手足も長くて...
「SSR男子だ...」
「......若頭、SSRとは」
「レアリティのことだな」
はっ、と我に帰って進と呼ばれた男に会釈をする。
SSRを目の前に、是非とも1回脱いで身体を見せて欲しい、そんなやましい気持ち気持ちをグッと堪えて飲み込んだ。
その前に
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「僕?そうだよ、教えてなかったっけ。それより鏡夜、この前贈ったアレ、どうだった?」
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