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しおりを挟む「オレの何を知りたいの?」
「......」
家に着いた瞬間、玄関で壁ドンされて立ちバックでセックスしてしまった。
項や首を重点的に噛まれ、吸い上げられたせいで未だに皮膚がヒリヒリと痛む。
黒田のこと教えて貰うと言った趣旨を完全に忘れ、セックスに夢中になっていたからこそ、思い出したかのように問い掛けられた言葉に目を輝かせた。
「何でも答えるよ」
涼しい顔をしながら、月の下で煙草を吸う黒田はセックス後のなんとも言えない色気すら持ち合わせている。
猫と同室で煙草を吸わないようにしている彼がテラスから戻ると、ソファーにゆったりと腰をかけた。
「全部」
「いや、アバウトか」
「何だろう...知りたいって思うけど、いざ聞くとなると何を聞けばいいか...。じゃあ、取り敢えず小学生から大学生までのこと教えて」
夕食を作りながら頭を悩ませていると、足下にきなことあずきがちょこん、と座る。
「小さい頃から身体を動かすのが好きだった黒田少年は、小学校から水泳を始めて沢山の大会に出場した後、県大会で優勝します。中学に上がったら水泳部が無いことに落胆、他の子より成長スピードが早かったオレは勧誘を受けてバスケ部に入部しました。中2で初めて彼女が出来て......確か、彼女はバスケ部のマネージャーだったな」
突然話し出した彼の声に耳を傾けながら、食材を鍋に移して火をかけた。
「その彼女は可愛かった?」
「んー...よく覚えてない。初めて告白されて...流れでOKしてしまったんだけど、お互い部活で忙しいし付き合っていることに意味を感じなかったから、中3の部活引退後に別れた」
ふぅん...可愛くなかったんだな...。
「高校は水泳部があるところを選んで入学して...、高1の時に人生2人目の彼女が出来た。そこでファーストキスと童貞を卒業」
「は?何勝手に童貞卒業してんだよ...」
俺の許可もなしに...。
「勿論鏡夜が同じ高校だったら、間違いなく君がオレの初めてだったよ」
...まあ?普通に考えてそうだよな?
黒田には俺みたいな美しい男が一番似合ってる訳だし...。
「でもオレは男子校、彼女は他校と言うこともあって、なんか面倒になったから別れた。それからはずっと彼女を作らず、光悦や友達と青春時代を謳歌して高校を卒業します」
さり気なく酷いセリフを吐き捨てる黒田。
「大学に入って、共学になってからは毎日が誕生日。ラブレターやらプレゼントやら、何かを貰わない日はなかったよ。俺の中身も知らず、顔だけ見て告白してくる子達に嫌気がさした時期に1人の女性と出会った。
その人は大学近くのカフェでアルバイトをしてて...オレを他の人と同等に扱ってくれたんだ。一緒に居ると落ち着く子で...お互いが惹かれあっていたんだと思う。恋人になるまでに時間は掛からなかった」
先程まで意気揚々と話していた黒田の声が、今は少しだけ、寂し気に聞こえた。
きっとこの人こそ、菫が言っていた人物なのだろう。
彼にこの感情を与えた人物であると言うことは、あらかた予想がついた。
「まあでも、そこで色々あってね。結婚する直前に別れたんだ。別れてからはオレの精神が不安定になって、色んなことが気にかかる。切り替えて他の子と付き合ってみても全然好きになれなくて、それでも彼女と言う存在を束縛をしようとする自分が凄く...嫌いになった」
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