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「あ、ああ...当たり前だろ。俺が先生に隠し事なんかするわけないし...」
「それは安心だ。でもね鏡夜、吉野は君のことを狙ってるんだから、十分に気を付けないと」
??????
「狙う?......いや、でも俺は教師だぞ。しかも怖い先生って皆に言われてるんだが、そんな俺を狙うって...」
ティーポットに茶葉を入れる彼は、2つのティーカップを取り出した。
「...もしかして吉野は頭がおかしいのか?」
「......いや、そうでは無いんだろうけどね」
「確かに俺に懐いてくる生徒は、吉野とあいつらだけかもしれないけど...ああ言う感じで教師と生徒は仲良くなるんじゃないのか...?狙われてる、とかそんなんじゃなくて...ただシンプルに生徒と仲がいい...みたいな...」
ここで、ああ、そうか...と黒田は悟る。
「若王子先生なんか、しょっちゅう女子生徒からデートに誘われてるし...、姫神先生だってよく男子生徒からからかわれてるし...」
今まで散々教師や生徒から煙たがられていたのに、突然自分を慕う生徒が現れたのだ。
人間との距離感だって、接し方だってよく分かっていない1人の男が鈍感なことは大目に見てやらなければいけないところなのかもしれない。
「君の言い分はよくわかったよ。でも、他の生徒はいいけど吉野はだめ」
「何故だ」
「夏祭りのこと忘れたの...?あの水渡してきたの、あの子だったろ」
「はぁ......あんたまだ吉野のこと疑ってんのか。いい加減に...、ん?」
夏祭り、水...何かを忘れているような...
「ああっ...!確かにそんなことがあったな...!」
ティーカップに注がれた紅茶を差し出されては、そのまま口元まで運ぶ。
「見た限り変化もないし、体調面は大丈夫そうだったが完全に聞くのを忘れていた。今度会ったら、あの時のことを聞いておかないとな...」
ぶつぶつと独り言を呟く俺の頭を、彼の手が優しく撫でる。
「...何だよ」
「鏡夜、危ないから吉野と2人切りにならないで」
......黒田は、どうして吉野のことをそんなに邪険にするのだろう。
吉野はダメで他の生徒はいいって、一体彼らになんの違いがあると言うのだ。
俺が生徒と仲良くするのがダメなのであれば、黒田は?
女性教員と仲睦まじく会話しているところやボディータッチされているところを、こっちだって黙って見過ごせない。
「...じゃあ先生も、女に囲まれてデレデレするのやめてくれ」
「デレデレなんてしてないよ」
「してる...!いっつも、女の教員に囲まれて天然じゃないのに天然のフリしてんじゃねぇか。そう言うの、ぶりっ子って言うんだぞ」
「ぶりっ子...」
顔を手で覆った黒田に詰め寄る。
「俺知ってんだからな...、本当は除湿機と加湿器の区別がつくことも、いちごミルクをワザと買ったことも、お菓子の包装を簡単にあけれることも」
彼の手首を掴み、顔から退けようと試みる。
が、彼の筋肉は侮れない。
ビクともしない身体にムキになり、ついには彼の膝に跨った。
「眼鏡かけながら「眼鏡どこだっけ」って言ったり、Tシャツにタグ付けたまま出勤してみたり、キャップつけたままのペンで書き物しようとしたり、後ろのネクタイの方が長かったり...それから」
「鏡夜、待って」
「私生活のあんたを見ている限り、天然じゃない。女共に可愛いって言われたいからぶりっ子してるんだ...」
改めて言われたことに恥ずかしくなったのか、黒田の耳は珍しく赤く染まっている。
「それは安心だ。でもね鏡夜、吉野は君のことを狙ってるんだから、十分に気を付けないと」
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「狙う?......いや、でも俺は教師だぞ。しかも怖い先生って皆に言われてるんだが、そんな俺を狙うって...」
ティーポットに茶葉を入れる彼は、2つのティーカップを取り出した。
「...もしかして吉野は頭がおかしいのか?」
「......いや、そうでは無いんだろうけどね」
「確かに俺に懐いてくる生徒は、吉野とあいつらだけかもしれないけど...ああ言う感じで教師と生徒は仲良くなるんじゃないのか...?狙われてる、とかそんなんじゃなくて...ただシンプルに生徒と仲がいい...みたいな...」
ここで、ああ、そうか...と黒田は悟る。
「若王子先生なんか、しょっちゅう女子生徒からデートに誘われてるし...、姫神先生だってよく男子生徒からからかわれてるし...」
今まで散々教師や生徒から煙たがられていたのに、突然自分を慕う生徒が現れたのだ。
人間との距離感だって、接し方だってよく分かっていない1人の男が鈍感なことは大目に見てやらなければいけないところなのかもしれない。
「君の言い分はよくわかったよ。でも、他の生徒はいいけど吉野はだめ」
「何故だ」
「夏祭りのこと忘れたの...?あの水渡してきたの、あの子だったろ」
「はぁ......あんたまだ吉野のこと疑ってんのか。いい加減に...、ん?」
夏祭り、水...何かを忘れているような...
「ああっ...!確かにそんなことがあったな...!」
ティーカップに注がれた紅茶を差し出されては、そのまま口元まで運ぶ。
「見た限り変化もないし、体調面は大丈夫そうだったが完全に聞くのを忘れていた。今度会ったら、あの時のことを聞いておかないとな...」
ぶつぶつと独り言を呟く俺の頭を、彼の手が優しく撫でる。
「...何だよ」
「鏡夜、危ないから吉野と2人切りにならないで」
......黒田は、どうして吉野のことをそんなに邪険にするのだろう。
吉野はダメで他の生徒はいいって、一体彼らになんの違いがあると言うのだ。
俺が生徒と仲良くするのがダメなのであれば、黒田は?
女性教員と仲睦まじく会話しているところやボディータッチされているところを、こっちだって黙って見過ごせない。
「...じゃあ先生も、女に囲まれてデレデレするのやめてくれ」
「デレデレなんてしてないよ」
「してる...!いっつも、女の教員に囲まれて天然じゃないのに天然のフリしてんじゃねぇか。そう言うの、ぶりっ子って言うんだぞ」
「ぶりっ子...」
顔を手で覆った黒田に詰め寄る。
「俺知ってんだからな...、本当は除湿機と加湿器の区別がつくことも、いちごミルクをワザと買ったことも、お菓子の包装を簡単にあけれることも」
彼の手首を掴み、顔から退けようと試みる。
が、彼の筋肉は侮れない。
ビクともしない身体にムキになり、ついには彼の膝に跨った。
「眼鏡かけながら「眼鏡どこだっけ」って言ったり、Tシャツにタグ付けたまま出勤してみたり、キャップつけたままのペンで書き物しようとしたり、後ろのネクタイの方が長かったり...それから」
「鏡夜、待って」
「私生活のあんたを見ている限り、天然じゃない。女共に可愛いって言われたいからぶりっ子してるんだ...」
改めて言われたことに恥ずかしくなったのか、黒田の耳は珍しく赤く染まっている。
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