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しおりを挟む「碓氷先生、怪我...ないですか?」
吉野が俺の手を掴もうとするが、それを彼が許すはずもない。
案の定、目を光らせた黒田の声は低く冷たく廊下に響いた。
「吉野くんの友達、後ろにいるみたいだけど?」
「お~い!」
黒田の言う通り、少し離れたところから佐川が手を振りながら駆け寄ってくる。
「吉野~、ごめん!重たかったろ」
爽やかに廊下を走る佐川は、俺が居ることに気付いていないらしい。
黒田の後ろから顔を出し、「廊下を走るな」と口にすれば、大層驚いた表情で目を見開いた。
「は!碓氷先生...!ちょ、いるなら言ってください!こんなボサボサの髪で恥ずかしいよ~...」
照れながら髪を整えた佐川に呆れながら、拾い上げたダンボールを押し付ける。
「いいから、さっさとクラスに戻れ」
しゅん、と肩を落とした佐川に続き、吉野もダンボールを持ち上げた。
黒田から発せられる殺気を感じては、いち早く生徒を逃がしてやらなければいけないと言う使命感にさえ駆られる。
それなのに
「碓氷先生、さっきのこと...考えておいてくださいね?」
「っ...!」
「え~、なんだよさっきのことって。お前碓氷先生と楽しいことしようとしてんじゃねーだろうな」
「秘密」
吉野の野郎、爆弾を投下して去るんじゃねぇ...!
小さくなって行く背中をただ突っ立って見つめていると、黒田が俺の肩を掴む。
「少し話しようか」
「ひぇ...」
半ば強制的に保健室へ連れ込まれ、ソファーに向かって身体をとん、と押された。
「座って」
めっちゃ怒ってる...。
どっかりとソファーに腰をかけた黒田の白衣が、上質な皮の上を滑った。
ため息を吐き、大きな手で口元を覆った彼はもう片方の手で煙草を取り出す。
「...わざわざ保健室の前で他の男とイチャつくなんて、君はお仕置きされたいみたいだね」
「!ち、違う...。保健室に黒田先生居るかなって...会いたいなって、思ってたら...たまたま吉野と会って...」
「......」
ケトルのスイッチを入れた黒田が長い脚を組む。
色鮮やかなケトルを見ていたが、肘掛けに肘を付きながら俺を見下す黒田にちら、と視線を送った。
「さっき吉野が言ってた考えておいてって、何?」
「それは...その」
「...オレに言えないようなこと?」
吃っていると、彼が俺の肩をぐっと引き寄せる。
耳元に近付けられた唇。
ふわりと香る匂いと、熱い体温が布越しに伝わるだけで、腰の奥が密かに疼いてしまう。
「あ、先生...っ」
「また、無理矢理口を割らせてあげようか」
ゾクッ
「スパンキング以上に酷いことをしたら、君は素直ないい子になるかな...?」
「ン...、っ耳、元で喋ん...の...やだ...」
首筋から耳までを舐める彼が、小さく笑う。
「全身に噛み痕つけて...、首輪で繋いで、身体に所有者の名前書いておかなきゃダメみたいだね...?ま、いいや...1回マジで虐めてみたかったし、壊れちゃっても責任持ってずーっと傍に居てあげるから安心して?」
......いや、怖っ...。
「い、一緒に!遊びに行こうって言われまひた」
あまりにも彼の圧が凄すぎて、怖さに噛んだ。
「正直に言えて偉いな、でも約束したもんね?隠し事はしないって...」
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