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しおりを挟む「ねぇねぇ鏡夜さん、見て~!今日買ったお洋服、似合う?」
「ああ、すごく似合っている。やっぱりネイビーを買って正解だったな」
夕食と入浴を済ませて早々、彼女は俺の前でくるりと回って見せた。
「うん!鏡夜さんとお買い物出来て楽しかったな♡また今度お買い物に付き合ってくれる?一応インテリアは揃えたつもりなんだけど、間接照明が欲しくて。鏡夜さんは私と好みが似ているし、意見をくれるから是非一緒に行きたいと思っているのだけど...」
一人っ子で育ったからだろうか。
妹がいたらこんな感じかな、なんて考えてしまうと自然と口元が緩む。
「いいよ」
「ダメです。君たち帰ってきてからずっとその調子だけど何なの。菫、お前オレの鏡夜に何をした」
菫から隠すように俺の前に出た黒田は、きゅっ、と俺の手を掴んだ。
...し、心配している...!
「別に何もしてないけど。鏡夜さん、連絡先交換しとくね♡」
キャリーケースに荷物を詰め込み、うきうきランランな菫は俺のスマホに勝手に連絡先を送ってはスク、と立ち上がった。
「じゃあ、私帰るわ」
「やっと帰るのか、清々するよ」
大量のボディークリームやスキンケアが入った紙袋は、もはや底が抜けてしまいそうだ。
「重いだろ、手伝おうか」
「いいのよ、鏡夜さん。ありがと...貴方って本当優しいのね♡椿、またすぐ会いに来るから、鏡夜さんに迷惑かけちゃダメよ。あと絶対泣かせたり虐めたりしないでね」
「それはもちろん」
「よろしい」
車まで荷物を運ぶ菫を手伝っていると、重いものは持たせたくないと、結局は黒田が運んでくれた。
「鏡夜さん、私の住所を教えとくわね。何か困ったことがあったらすぐに言ってちょうだい。貴方の力になるわ」
「あ、ああ...どうも」
最後にハグしろ!と駄々を捏ね、大好きな兄から嫌々な抱擁を受け取った彼女は風のように去って行く。
「...二度と入ってこないように家の鍵を指紋認証に変えて...、鏡夜を監禁して...」
「先生?」
ぼそぼそと呟く黒田に声を掛けると、何事も無かったかの様ににこりと笑う。
「ん?どうした?」
「あ...いや、別に...。そう言えば、荷物は受け取ったか?」
「うん、光悦からのプレゼントだったんだけど、何が届いたと思う?」
「...?どうせ、また据え置き型オナホとかだろ」
「んー...違うな。おいで」
手を引かれて寝室まで行けば、大きな窓、大きなベッド、ソファーとテーブルしかない殺風景な部屋に、見たことのあるものがぶら下がっていた。
「天蓋...?」
「お姫様みたいなベッドで寝てる姿を見たいらしい」
「俺の?」
「そう。見せるつもりなんかないけど、鏡夜が住んでたお家にもついていたし折角貰ったから取り付けてみた」
「......!」
キラキラと目を輝かせる俺を見て、彼が可笑しそうに笑う。
「あとこれ」
「ん...?これは...」
部屋の隅っこに置いてあった箱から綺麗なレースを取り出し、メッセージカードと共に手渡される。
なになに...
やけにやらしいベビードールが家にあったと思うので、それにピッタリなヴェールもあわせてお贈りします。
......ヴェールって、まじかよ。
そう言えば、ベビードールはクローゼットにしまったままで、着たことなかったっけ...。
「...先生、タキシード...持ってる...?」
「一応は...」
「俺...着替えてくるから、先生も着替えて...」
喉を微かに鳴らした黒田は
下唇を軽く
噛んだ。
「ベッドで待ってて...欲しい...」
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