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「ね...せんせ...、俺のことまだ抱ける...?」
「...食事中に何てことを...。その前に、ちゃんとオレの質問に答えて」
「抱けるなら、したことないのシよ...?先生の好きなシチュエーションでえっちできたら嬉しい?」
「鏡夜」
彼を繋ぎ止められるのは、この顔でもこの腐った性格でもない。
男を喜ばせる術を磨いた、身体だ。
男の喜ばせ方なら知ってる。
だから、
どうか...俺に飽きませんように...。
「俺、先生がして欲しいこと何でもしてあげるよ。その辺の女性に比べたら綺麗じゃないけど...」
「鏡夜!」
「...」
「鏡夜...話を逸らさないで、ちゃんと教えて?突然そんなこと言われたら驚いてしまう...、無理しているのが丸わかりだ...」
お粥を食べ終え、解熱剤を飲み干した俺はソファーに座り直す。
彼の大きな手が俺の身体を抱き寄せると、あまりの心地良さに涙が出そうになった。
「ごめん...、鏡夜にそんなことを言わせてしまったのはオレの責任だね...。それなのに君が少し遅い時間に帰って来ただけで酷い疑いをかけて...、君のことになるとすぐ頭に血が上る...」
「せんせ...」
「でも、オレはそれぐらい君のことが好きで、自分以上に大切にしていることを分かって欲しい。だから、君自身が自分を綺麗じゃないとか、否定しないでくれ...、もう自分と他人を比べる必要なんてないんだ...」
少しだけ、震えている身体。
必死にしがみつく彼の身体に、おずおずと腕を回す。
「オレは、男性である君に恋をしたんだから...」
「...っ...」
数日間抱え込んでいたものが、パチッ、パチッと音をたてて消えてゆく。
「おれ...」
「...」
「...俺ね、先生が女の人と一緒に歩いてる所を見ちゃって...、凄く仲良さそうだし...腕組んでるところも理想のカップルって感じで...、やっぱり先生は女性が好きなんだと、思ってしまって...」
「なるほどね...その女の人についてはあまり言いたくなかったんだけど...」
ピンポーン
「「...?」」
21時
突然のインターフォンに身体を跳ねさせる。
饒舌だった黒田の口もピタリと止まり、玄関に立つ人物を確認してからインターフォンの受話器を取った。
「...なに?......いや、無理」
セールスだろうか。
こんな夜遅くに訪ねてくるなんて、非常識にも程がある。
「無理だよ、帰って」
しかも、お人好しの黒田がここまでハッキリと物事を言えるのも珍しい。
あ、もしかして...光悦か?
光悦なら入れてあげようよ。そう伝えるべく、彼の元へ行くと
インターフォンのモニターに映っていたのは、あの日黒田と腕を組みながら歩いていた女だった。
「...!!」
しゅ、修羅場になる。
早く隠れなくては。
辺りをキョロキョロと見回していると、黒田が俺の耳元に唇を寄せた。
「妹なんだ、ちょっと待ってね」
..........妹?
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