秘めやかな色欲

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結局彼がいつ帰ってきたのかも知らない。

いつの間にか眠っていた俺は、朝目が覚めると同時に黒田に怒られた。

『窓開けっ放しで寝ちゃダメ！変質者が入ってきたらどうするの！』

『きなちゃんとあずちゃんも寝室に連れこんじゃいけない約束だよ？ベッドに沢山の毛がついちゃうでしょ！』

すまんすまん、と謝り流したが...。


月曜日

腑に落ちない！！

そもそもにあいつが早く帰ってくれば良かったんだ！
きなこもあずきも悪くない、勿論俺だって悪くない。

いつ窓閉めよっかな～って思ってたら寝てしまったんだもん。

俺が大人だったから口論にはならなかったけど...。

結局何の用事だったのか聞いても、まあ色々な手続きをしてて、しか言わないし何も教えてくれないじゃないか。

やましいことでもあんのか...？俺が夜出歩いたら絶対怒るくせに...、自分は夜中に帰ってくるなんて

｢先生｣

いや、もしかしたら俺が気付かないだけで朝帰りだったりした...？

もしそうだったら普通に...

｢先生！テストの時間終わってますよー｣

｢！...、悪い。後ろから答案用紙集めて｣

ザワつく教室内から｢あんな碓氷初めて見た｣｢雪でも降るんじゃねぇ？｣と言う声が聞こえてくる。

都会の7月だぞ、雪なんか降るか。


夏休み前のテスト期間が始まった。
今回は教科数も多いことから月曜日～金曜日までずっと午前中のみ職場に拘束されることとなる。

午後はフリー、男を漁るラッキーウィークと言っても過言ではない。

最近のマッチングアプリ状況はと言うと、全く俺がログインもせずメッセージも返さなくなったために夜くんはヤバいやつに捕まって海外に飛ばされたんじゃないかとか、風俗落ちしたんじゃないかとか、密かに騒がれているようだ。

確かに、特定の人物は作らず童貞キラー、どう頑張ってもワンナイトしかできない男と言う称号がピッタリハマった俺が、突然浮上しなくなったらそうなるよな...。

集め終わった答案用紙を抱えて職員室に戻れば担当教員にテストを手渡し、生徒全員が校舎から消えた後に自宅へ直帰する。

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▼黒田 椿

今日の帰りは19時くらいになりそう。
夜ご飯までには帰るから心配しないで。

あと、戸締りはちゃんとしてね。
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......あ゛？

こいつは一体どこをほっつき歩いてやがる！

ゴロゴロと喉を鳴らしながら俺の身体に擦り寄る天使2匹の頭を撫でながら、小さく舌打ちをした。

...家に帰りたくない理由でもある、とか？

月曜日の昼下がり不機嫌丸出しで恋愛の参考書を読みふけった。

相手が素っ気なくなった時

その本の終盤にあった項目に首を傾げる。
別に素っ気なくなったわけではなく、どこかで遊び歩いているだけなのだが...その中身をじっくりと読み進めていく。


最近恋人が素っ気なくなったと感じる時はありませんか？

もしかしたら、貴女との生活がマンネリになってきているのかもしれません。

｢ほう...｣