秘めやかな色欲

おもち

文字の大きさ
上 下
143 / 312

143

しおりを挟む

「今日、若王子先生と何話してたの?」

「...別に、しょうもないことだけど」

家に着いて早々、休む間もなく夕食を作り2人で食卓を囲んだ。

その頃からお互い重苦しい空気を発していた。
俺は黒田が女性教員に軽々しく触らせ、職員会議の後もしつこく食事に誘われていたことに憤りを感じている。

断ったことに申し訳なさを感じたのだろう。
お人好しの彼は複数の女性教員にお菓子を手渡して黄色い声を上げられていた。

そんな些細なことにもムカついて、素っ気ない態度をとってしまう。

「しょうもないことで君は赤面するの?」

それでも、至福の時であるバスタイムにまで重い空気を持ち込むのはよして欲しい。

ドライフラワーが練り込まれたバスボムを入れた浴槽には、無数の花びらが浮かんでいる。

いい香りがして、温かくて、気持ちがいいのに

この空気が最悪過ぎる!

「赤面なんてしてない。修学旅行の下見の話をされたんだよ...、面倒ですねって」

背後から俺を抱き締める大きな身体がピクリと反応する。

「あんたも女性教員と楽しそうにお話してたんだから、おあいこだろ。...熱いから先出る...」

彼の拘束から逃れようとバスタブに手をかければ、黒田の低い声が背後から聞こえてきた。

「そうだね。でもオレが約束破られることと嘘つかれること嫌いだって...鏡夜も知ってるでしょ」

ゾクリと肌が粟立つ程の低い声音に、思わず振り向く。
冷たい瞳、口元は緩やかな弧を描いているにも関わらず目は全く笑っていない。

わ、めっちゃ怒ってる...。

怒った顔にゾクゾクしながらバスタブを抜け出せば、彼も後に続き湯から上がった。

「し...ってる...けど」

「なら正直に話してくれるかな。このまま口を割らないなら、酷いことしちゃうよ...?」

「ひ、酷いこと...?」

ふちの部分に座るよう促され、おずおずと腰をかける俺は、静かに怒る黒田の顔を見やった。

「ローターを挿入れたまま授業して貰う、とか...?」

「っ、!それは...こまる...」

「.........」

無言の圧力。

ローターを挿入れたまま授業なんて絶対にいけないことなのに、少しだけ、いいかも...なんて思ってしまう自分に反吐が出る。

光悦も、「椿は怒らせたら怖いよ~」って言ってたし、本気でやられる前に口を割った方が利口なのだろう。

こいつならやり兼ねない。


「色気があるって...その...、い......ぃじわる...したくなるって...言われた...」

「へぇ...?」

その言葉を聞き、シェーバーを手に取った彼は俺の脚を割り開く。

「あっ...」

怪しく光るシェーバーの刃を向けられると、嫌でも頭の中に「去勢」の文字が浮かび上がるではないか。

本来、去勢されるのはヤリチンのはずだ。

俺はヤリチンではない。

「若王子先生にそう言われて嬉しそうにしてたんだ...?」


ぐっ......こんな時だけど怒った顔が、本当にカッコイイ...!


なめらかな肌を滑る無数の雫が排水溝へと流れていく中、彼は恥毛にボディーソープを垂らした。

「ん、っ冷た...♡ぁ、まってくれ...一体なにを...」

「ここの毛、剃って良いって言ったのは君だったろ」

正直セックスした日の記憶はうろ覚えだったため、言動には自信が無い。

しかし、彼のこの発言を聞いた瞬間、俺の脳裏に黒田の押しに負けて剃ることを許可した記憶がぼんやりと蘇る。


「...で、でも!そのシェーバーって先生が髭剃る時に使う奴だし...それで俺の陰毛剃るのは流石に...申し訳ないって言うか...」
しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

処理中です...