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しおりを挟む「ん」
「......ありがとう」
ずい、と突き出したショッピング袋を嬉しく無さそうに受け取る黒田。
「それ、今日穿いて」
「...他、行きたいところある?」
話を逸らすんじゃねぇ。
ショッピングモール内は一通り回ったつもりだったが、本屋には立ち寄っていなかったか。
家に置いていた参考書や、文庫本も全て燃えてしまったのだから、新しく買い直す必要がある。
「本屋」
「OK、行こうか」
1度読んだ本の内容は覚えているから、少し趣向を変えて本探ししてみよう。
ここの本屋は大きくて、色んな種類の本が置いてあるから探すのには時間がかかりそうだ。
「...少し時間かかるかも」
「そっか、じゃあ17時にオレの車の前で待ち合わせしよう。そうしたら、鏡夜もゆっくり探せるもんね」
...優しい。
1時間もあればじっくり吟味出来るな。
腕時計に視線を落とし、二つ返事で了承する。
「知らない人に着いてっちゃダメだよ?何かあったらすぐに連絡してね?」
「いや、小学生か」
一旦彼と別れて、片っ端から本を手に取っていく。
今後のためになりそうな本は...
あ、微分積分...
確率について詳しくまとめられたものもある...。
ややこしいし、数学を嫌う生徒は絶対に頭を抱える箇所だろうな。
少しでも分かりやすく説明出来れば、生徒に数学を楽しいって思ってもらえるかも...
よし、買いだ。
「ん...?」
白い表紙に、銀色でプリントされた文字。
表紙のデザインだけでなく、材質にも拘っているのか、その本は参考書コーナーには相応しくない程、洒落ている。
作品名を見ても、一体何の本なのかが分からない。
その本に惹かれるかの如く、手に取り中身を覗いて見た。
「.........」
どうやらこれは、恋愛の参考書のようだ。
なになに...、好きな人と末永く一緒にいる方法...?
相手に気を遣い、適度な距離感を保つことが大切です。
恋人は、自分とは全く別の人間であるため、どれだけ仲が良くても必ず衝突する場面が出てきます。
その時、自分の意見や考えだけを強要し、押し付けてはいけません。
好きな人と末永く一緒にいたいのであれば、一呼吸置いて、相手の発言を受け入れてあげることが大事なのです。
あなたが相手の発言を受け入れてあげることにより、相手もきっとあなたの発言を快く受け入れてくれるはずです。
うーん...。
まあ、特別買ってまで読むものではないような
...!まて、セックスレスの場合とか、セックスに刺激がないときの対処法のことまで書いてあるぞ。
!?
っ、男が喜ぶ仕草や、グッとくるフレーズまで書いてあるじゃないか...!
これは買いだ。
参考書や文庫を大量に抱え、ウッキウキでレジに並んだ俺は、恋愛の参考書を見つめながら目を細めた。
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