秘めやかな色欲

おもち

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「.........なんで」
 
うわ、怖...。

「だって...俺、世間からヒモって言われるのやだ...」

「ヒモ...なんのこと?...同棲を始めるなら、早速鏡夜の私物を買いに行かないとな...」

「待て、まだ一緒に住むとは...!」

必要そうな物をメモしながら家中を歩き回り、買い物に行くために髪の毛のセットを始める黒田。

その嬉しそうな姿を見れば、それ以降の言葉が口をついて出ることはなかった。

最後の一口を食べ終わり、彼のカップと共に食器を洗っていると背後からギュッと抱き締められる。

「洗い物してくれてありがと」

...髪の毛のセットが、いつもと少し違う。
センターパートは彼の魅力的な目が見えて、より耽美に見えた。


「...かっこいいな...」

「え?はは...君からそう言って貰うのははじめてだから照れる...」

「っ、ぁ...」

ぬる、と口腔に入り込む舌に身体がゾクゾクと反応する。

キスすんの、久しぶりだ...。

キッチンに差し込む柔らかな光の中で、くちゅくちゅと不似合いな水音を奏でながらするキスは、気持ちが良くて、腰が抜け落ちてしまいそうだった。

「は...っ、ん...待、くろ...だ...ッ」

角度を何度も変えて、舌が絡み合う。
舌の表面が触れ合う度に腰の奥が疼いて堪らない。

やば...気持ち...

反応しつつある自分自身に彼のモノが擦り付けられると、目を見開く。

「ふぁ...っ、!?」

久しぶりだからとは言え

頭と腰を優しく抱き寄せ、ゴリゴリとお互いのモノを擦り合うだけで

「んっ、ぅう...っ♡」

達してしまうなんて、誰が想像しただろうか。

足から崩れ落ちそうになる俺の身体を支えた彼が、余裕なさ気に笑う。

「...あーあ」

下着に手をかけ中を覗かれれば、恥ずかしさに目をギュッと瞑った。

「下着ん中どろどろ...精子濃いけど抜いてなかった?鏡夜の匂いと混じって...すげぇやらし...」

「は、耳元っ、や...ぁ♡」

耳朶を食み、軟骨に歯を立てられるだけで達したばかりの自身がピクン、と反応する。

「耳も首も真っ赤に染まって...美味しそうだね。ここ、噛んでいい...?」

項に押し当てられる唇にぶるりと身体を震わせた。
小さな喘ぎを零しながら、彼の指に自ら指を絡める。

「ぅ、ん...っ...♡」

ガブッ

「っ!ふぁ、あ゛...♡」

「...はは、ビックリした?また少し、精子出ちゃったね...」

きっとこのままでは骨の髄まで食われてしまう...。
でもこう言う行為とは1週間無縁だったわけだし、今日は土曜日。
1回シてから買い物に行っても時間は有り余ってるわけで...

「...せんせ...俺...っ、もう...」

「さ、鏡夜も準備しよっか」

「は?」


黒田のだって勃起してるのに、そのままにすると言うのか。
この俺から誘ってやってるのに?
散々俺で遊んでおいて、このまま買い物に行くって

こいつ、正気...?

勃起した彼自身に手を伸ばそうとした瞬間、その手を掴まれる。

「ダメだよ...止められなくなるでしょ」

ああっ...懸命に理性に抗う顔が、物凄くいい。

両手縛って亀頭攻めしたい...、いや、しよう。

「やっぱ今」

「ダメだって」

「ちっ...」

「その代わり今夜...、沢山愛させて...?」


俺の額に口付け、笑顔を浮かべながら別室に姿を消した黒田に続き、粗相をしてしまった下着を洗う。

「はぁ...夜まで待てないよ...」

火照る身体や、ドキドキと高鳴る心臓がただただ恨めしくて、下唇を強く噛んだ。











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