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20分後
「わかおうじ、聞いてる?お~い」
「僕外に出て煙草吸っていいですか、その人うるさいんで」
「だーかーらー、俺は神崎のあの態度がさー」
テーブルの上に肘を着き、ふわふわとする頭を細い腕で必死に支える
少しでも油断をすると顔面から倒れ込んでしまいそうだ。
辛うじてある意識を保ちつつ口を開いていると、隣の黒田も席を立った。
「じゃあ、オレも1本付き合おうかな」
そそくさと外に逃げ出すいい男2人。
残ったのは、ネコであろう35歳の姫神政宗だけ。
「う、碓氷せんせ...?」
「なぁに?」
揺らめく視界の中、姫神が困った顔を浮かべる。
俺の心配をしてくれているのか、空いたグラスに水を注いだ彼は、そのグラスをそっと差し出してきた。
「みず、や」
「あっ、こらこら...!それは黒田先生のお酒だって!君はお水!」
「やだ!...姫神せんせーのお酒1口ちょーだい」
「だめだよ、これ以上酔っ払ってどうすんの!」
「酔ってない!お酒ちょーだい。あっ、若王子の奴もらお~」
若王子の席に置いてあったグラスを奪い、姫神のグラスにごちんとぶつける。
「かんぱ~い」
「うん...、乾杯」
一気に酒を飲み干す姿を見て、姫神は頭を抱えた。
酒!うまい!
そう思ったところまでは、意識があったのに、それ以降の記憶がぷっつりと途絶えてしまった。
次に意識を取り戻したのは、23時頃。
頬をぺちぺちと叩かれながら俺の名前を呼びかける声に煩わしさを感じて、酷い眠気の中うっすらと目を開ければ、目の前にはあの黒田が居るではないか。
「碓氷先生、もうお開きだって」
「んー...」
「どこに帰るの、君の家...昨日行ったら黒焦げだったけど」
家...、ない。
ホテルまで代行...うーん、こんな状態だとチェックインすら出来なそう。
「...ひびき、れんらく...」
「響...?」
重い頭をなんとか持ち上げ、スマホを取り出す。
「あえ...?うー...、こうら...、や...ちがう...」
何度やってもパスコードが上手く入力出来ない。
「ぜろ...なな...ぜろ...な.........くぅ...」
「碓氷先生、寝ちゃダメだよ」
うつらうつらとしながら自分の誕生日を必死に入力したにも関わらず、無慈悲にもロックがかかってしまった。
「うっ...こわえた...」
「壊れてないから泣かないで」
朱に染まった肌を滑る涙を親指で拭い、黒田が優しく声をかけてくれる。
「お家に帰ろ?」
見るとドキドキする笑顔、大きくて安心する手に頭を撫でられた俺は、堪らず彼の胸にしがみついた。
「...くろだ」
記憶にしっかりと刻み込まれた彼の匂い。
煙草と黒田の匂いが混じったその香りは、俺の胸をきゅう、と締め付ける。
「...」
「あら、また碓氷先生潰れちゃったんですね。この前と言い、お世話役なんて大変じゃない?」
年配の女性教員が黒田に喋りかける声が、ぼんやりとした頭の中に届く。
黒田の匂いと体温が心地よ過ぎてうとうとしていると、ふわりと身体が宙を舞った。
「いえ、他の方には任せておけませんから」
お姫様抱っこで外まで運ばれ、車の後部座席に寝かされる。
「君の車も運ぶから、悪いけど鞄の中触るよ」
艶やかな髪が、街灯の明かりで煌めく。
鞄の中に手を突っ込み、車の鍵を探す彼の手をそっと、掴んだ。
「......、ゆめ...みたい...、ずっと一緒に...」
「わかおうじ、聞いてる?お~い」
「僕外に出て煙草吸っていいですか、その人うるさいんで」
「だーかーらー、俺は神崎のあの態度がさー」
テーブルの上に肘を着き、ふわふわとする頭を細い腕で必死に支える
少しでも油断をすると顔面から倒れ込んでしまいそうだ。
辛うじてある意識を保ちつつ口を開いていると、隣の黒田も席を立った。
「じゃあ、オレも1本付き合おうかな」
そそくさと外に逃げ出すいい男2人。
残ったのは、ネコであろう35歳の姫神政宗だけ。
「う、碓氷せんせ...?」
「なぁに?」
揺らめく視界の中、姫神が困った顔を浮かべる。
俺の心配をしてくれているのか、空いたグラスに水を注いだ彼は、そのグラスをそっと差し出してきた。
「みず、や」
「あっ、こらこら...!それは黒田先生のお酒だって!君はお水!」
「やだ!...姫神せんせーのお酒1口ちょーだい」
「だめだよ、これ以上酔っ払ってどうすんの!」
「酔ってない!お酒ちょーだい。あっ、若王子の奴もらお~」
若王子の席に置いてあったグラスを奪い、姫神のグラスにごちんとぶつける。
「かんぱ~い」
「うん...、乾杯」
一気に酒を飲み干す姿を見て、姫神は頭を抱えた。
酒!うまい!
そう思ったところまでは、意識があったのに、それ以降の記憶がぷっつりと途絶えてしまった。
次に意識を取り戻したのは、23時頃。
頬をぺちぺちと叩かれながら俺の名前を呼びかける声に煩わしさを感じて、酷い眠気の中うっすらと目を開ければ、目の前にはあの黒田が居るではないか。
「碓氷先生、もうお開きだって」
「んー...」
「どこに帰るの、君の家...昨日行ったら黒焦げだったけど」
家...、ない。
ホテルまで代行...うーん、こんな状態だとチェックインすら出来なそう。
「...ひびき、れんらく...」
「響...?」
重い頭をなんとか持ち上げ、スマホを取り出す。
「あえ...?うー...、こうら...、や...ちがう...」
何度やってもパスコードが上手く入力出来ない。
「ぜろ...なな...ぜろ...な.........くぅ...」
「碓氷先生、寝ちゃダメだよ」
うつらうつらとしながら自分の誕生日を必死に入力したにも関わらず、無慈悲にもロックがかかってしまった。
「うっ...こわえた...」
「壊れてないから泣かないで」
朱に染まった肌を滑る涙を親指で拭い、黒田が優しく声をかけてくれる。
「お家に帰ろ?」
見るとドキドキする笑顔、大きくて安心する手に頭を撫でられた俺は、堪らず彼の胸にしがみついた。
「...くろだ」
記憶にしっかりと刻み込まれた彼の匂い。
煙草と黒田の匂いが混じったその香りは、俺の胸をきゅう、と締め付ける。
「...」
「あら、また碓氷先生潰れちゃったんですね。この前と言い、お世話役なんて大変じゃない?」
年配の女性教員が黒田に喋りかける声が、ぼんやりとした頭の中に届く。
黒田の匂いと体温が心地よ過ぎてうとうとしていると、ふわりと身体が宙を舞った。
「いえ、他の方には任せておけませんから」
お姫様抱っこで外まで運ばれ、車の後部座席に寝かされる。
「君の車も運ぶから、悪いけど鞄の中触るよ」
艶やかな髪が、街灯の明かりで煌めく。
鞄の中に手を突っ込み、車の鍵を探す彼の手をそっと、掴んだ。
「......、ゆめ...みたい...、ずっと一緒に...」
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