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水曜日
はぁ...。
何か最近黒田がかっこよく見えるし可愛く見える。
今日も今日とてお弁当を渡してやれば目をキラキラさせて喜んでいた。
その顔を見るだけで午後も頑張れるなって思える辺り、大分出来上がってねぇか...?
「今渡したプリントは必ず保護者に見せるように。提出期限は来週の月曜までだから、忘れずにな」
ホームルームを進行し終え、帰りの挨拶も済めば一斉に散っていく生徒たち。
教室でダラダラ話している暇があったら、英単語の1つでも覚えろと言ったことがきっかけで、基本的にはすぐに無人になるはずだったのだが...
「あ!若王子せんせ~、こっち来てください」
いつもなら一目散に逃げていく生徒が、教室内に若王子を誘い込む。
若王子が教室に入ってきた瞬間、黄色い声を上げながらスカートの丈を短くする女子生徒達には呆れてモノも言えない。
「どうした?」
日誌を小脇に抱えながら微笑むその姿に、胸を撃たれた女子生徒数名が鞄からお菓子を取り出す。
「今日、私たち調理実習だったんです」
「若王子先生にあげようと思って作ったんですけど、受け取って貰えます?」
「僕に...?でも碓氷先生が怖い顔で見てるから、碓氷先生にあげた方がいいんじゃない?」
「いや、俺は結構だ」
貰ったところで潔癖だから、食えない。
つーかここでキャッキャウフフすんな、廊下出てやれ。
「碓氷先生って冷たいよな。で、何作ったの?」
「チョコクッキーです!甘いもの平気ですか?」
「ん、大好きだよ」
「「「っ...♡」」」
メロメロにしてんじゃねぇぞ。
女子生徒からチョコクッキーの包みを沢山貰った若王子は、持てなくなった日誌を俺に押し付ける。
「用事が済んだなら、至急スカートを戻せ」
「うう...これから黒田先生のとこ行くのに...膝上ってダサいじゃん」
は、黒田の分も作ってんの?
「黒田先生、放課後はいつも消えちゃって探すの大変だから早く行きたいのに...」
じゃあ最初っからスカート丈を短くするな、と言いたい気持ちをグッと堪える。
渋々といった様子でスカートを下ろした女子生徒は「これでいいですか」とぶっきらぼうに呟き、両腕を広げて見せた。
「次スカート上げたらスマホ没収するから」
「え、嘘...スマホ取られたくない」
「こんな格好で黒田先生に逢いに行くのヤダ...」
鞄を抱え、ぶつくさ言いながら教室を出ていく女子生徒たちを見送れば、若王子と職員室まで向かう。
「...碓氷先生、もう少し笑えばいいのに」
「は、笑う...?何故ですか、笑う必要なんかないでしょう」
「笑えばクッキーの1つか、2つは貰えるようになると思いますよ」
「...」
ムカつく。
余計なお世話だ。
別に欲しくねぇし、羨ましくも何ともない。
手作りのお菓子なんて何が入ってるか分かんないだろ。
小綺麗なイケメンの作ったお菓子に薬入ってたことあんだよ、こっちは。
「あ、そうだ。兄から「黒田ってどんな人?」って聞かれたんですけど、碓氷先生が教えたんですか?」
ギクッ
「え...っと、別に、教えたわけじゃない...」
「?単刀直入に言うと、貴方と黒田先生の関係を聞かれたんですが」
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