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しおりを挟む「なんだ、少し期待しちゃったよ」
...馬鹿。
女と2人きりになって欲しくないと思ったことも、俺以外に優しくしないで欲しいと思ったことも、胸がチクリと痛んだことも...
嫉妬を否定したら、説明のしようがないじゃないか。
「...もういい、この話はやめる」
「鏡夜が嫌なら、女性と2人きりで食事に行ったり会うようなことはしないよ。確かに、フェアじゃなかったね」
「だから、もういいって...」
「とか言う割には、眉間にシワ寄ってる」
温かな紅茶をチビチビ飲んでいる俺の身体を抱き寄せ、目にかかる髪の毛をさらりと退かす。
「あ、今思い出したんだけど、ベビードールはもう着た?」
ベビードール?
......ああ、そんなものがあったな。
そう言えば、まだ箱の中に入ったままだったっけ。
「そもそもにベビードールって着る物なのか?赤ちゃんの人形じゃなくて?」
「はは、まだ言ってる。赤ちゃんの人形じゃないよ、あのお姫様みたいなベッドにはピッタリだと思うんだけど」
?......マジでわからん。
「開けてみるか」
寝室のクローゼットからベビードールの入った箱を取り出し、いざ開封。
ゴールドのリボンを解き、純白のそれを目の前で広げてみる。
「...ベビードールって、女が男を誘う服のことかよ」
「なんつー言い方」
結局ベビードールとセットだった下着は可愛すぎて穿けていないが、確かにこの衣装と一緒に着たらめちゃくちゃセクシーだろうな。
ウエディングドレスをデザインしている人が制作しただけある。
少しの風で舞い上がってしまう程の柔らかなシフォン生地に、白の上品なレースやスワロフスキーのビジューがふんだん且つ、いたるところに散りばめられていたベビードールは、少し触れただけでも素肌に吸い付き、魅力的な物だと実感する。
「その華奢な身体に似合いそうだね...今着て見せて?」
「やだ、着たら犯される」
「犯すなんて失礼だな、味見するだけだよ」
ーーーーーー
ーーーーーーーー
卒アルもベビードールも、エロい下着も何故か没収された。
あの後、15時頃に黒田は帰宅。
それから掃除をして炊事したらあっという間に日曜日が終わった訳だが
なんかとんでもなく黒田に甘々じゃないか、俺。
しかも、ほぼ記憶にないけど、黒田がいなきゃ生きていけな~い♡って言わなかった?
おいおい、好きとか愛してるとか、本物の恋人同士になろ♡とか口走ってないだろうな...。
俺はまだ、恋人になる準備は出来ていないぞ...もう少し慎重に歩み寄って行かないと...。
ヴヴヴ
ーーーーーーーーーーーーーーー
▼姫神 光悦
昨日椿にめっちゃ怒られた(T_T)
でも鏡夜、凄い僕好みだったからまた会いたいな
ーーーーーーーーーーーーーーー
月曜日の夕方、懲りない光悦からメッセージが届く。
仕事は忙しくないのだろうか。
残念ながら当分彼と会うことは出来そうにない。
会おうものなら、今度は徹底的に快楽によって殺されることが目に見えているからだ。
にしても...姫神光悦ってことはやっぱり...。
「主任、本日の職員会議で使う資料です」
「ありがとう、若王子くん」
兄弟か...?
いやでも、光悦はこんなに目パッチリしてなかったし、身体ももっとデカかったし...な。
「碓氷先生?どうされました?」
「あ、いえ...別に」
突然の問い掛けに身体を跳ねさせては、会議で使うらしい資料を若王子から受け取る。
あんま似てないな...。
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