秘めやかな色欲

おもち

文字の大きさ
上 下
54 / 312

54

しおりを挟む

「大丈夫じゃ、なぃ...」

少量とは言えアルコール。

数分経過したあたりから頭がぼーっとして、身体が熱くなった。

我を忘れるほどの量では無かったことが救いか。
ぽやぽやした頭で絢斗の唇を見つめていると、貪るような口付けを食らう。

黒田とは違う、少し乱暴なキスは脳をビリビリと痺れさせた。

恋人以外と、キス、しちゃった... 。

おずおずと差し出した舌を絡めとり、ワイシャツの隙間に手を差し込んだ彼はそっと胸を撫で小首を傾げる。

「...ん、乳首ない」

「、あるもん...ほら見ろ」

バッと上までワイシャツを捲りあげれば、凹んだ乳首を彼が凝視する。

「夜さん...?」

「なんらよ...」

「僕のこと煽ってるでしょ」

「んっ...ぁ」

小さなリップ音をたてながら乳輪に口付けられると、その光景にゾクリとした。

「...身体すべすべで綺麗だね。色も白いから痕も映えそう...」

「あっ...」

皮膚に唇を落とし、強く吸われた箇所は鬱血して赤い花が咲く。

「ぁ、おい...何勝手にキスマークつけてんら...金とんぞ」

「お金ならいくらでも払うから、僕の好きにさせて?」

ええ、カッコイイ~...
めっちゃ男らしいのに羽振りもいいの?嘘~...一晩だけなら許しちゃいそう。


でも、仮にも恋人居るしな...。


「らめ」

「...生殺し...」

「はい、あやと...あーん」

「うわ、この状況でなんで可愛いことすんの」

身体を離し、乱れた服装を渋々直してくれる彼に笑いかける。

「ねえねえ、あやとのお酒ちょーだい」

「弱いんだよね?」

「つおいよ!」






「うふふ、お外きらきらしてる~」

「夜さん、今日は電車で来たの?」

「うん!万が一のために電車で来た!」

上機嫌でヘラヘラ笑う俺を見て、絢斗は困ったように頭をかいた。

「じゃ、俺こっちらから」

「工事現場に電車はないよ」

「...あれ?いつもならこの辺に改札が」

「心配だから家まで送ってく」

なんだ、心配性だな。
1人で帰れるのに。

「俺の家ちょっと遠いけど...」

「ふふ、僕の家来る?」

「も~、えっちだなぁ...お?」

覚束無い足取りで飲み屋街を歩いていると、見覚えのある2人を発見。

しかもそのうち1人は怖い顔をしながらこちらに向かってくるではないか。

冷や汗。

「あれ、椿じゃん。先週ぶり」

光悦コウエツ...なんでその人と一緒にいるの?」

光悦?

「その人って、夜さんのこと?食事し終わったところだけど...」

「へぇ...」


絢斗...もとい光悦の後ろに隠れ、肩から少し顔を覗かせる。
...めちゃくちゃ怒ってる。
つーか、この前の響のことと言いタイミングが悪いな...。

「碓氷先生、こっちおいで」

「やら、黒田怒ってる」

「怒ってないから早く来なさい」

「夜さん、見てあの顔。めちゃくちゃ怖い顔してるね」

「ぅん、...怒られるのやら...」

はぁ、と盛大にため息を吐いた黒田は光悦と会話を交し、無理矢理俺を連行しようと腕を掴んだ。

「椿、向こうの彼女は放っておいていいの?」

「いいよ。それより今すぐそいつを連れて帰る」

遠くで屋台に入る石井には目もくれず、ズルズルと俺の身体を引きずる黒田はかなりご機嫌斜め。

「あ、ちょっと待って。連絡先交換しよっか」

「うん!」

お互いスマホを取り出し連絡先を交換すると、光悦が俺の頭を撫でた。

「可愛い名前だね。また連絡するよ、鏡夜」

「わ...」

なでなでされた...。


「じゃあ2人とも、おやすみ」
しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

処理中です...