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しおりを挟むちゅっ くちゅ くちゅ
「!うあ...っ...ぁ、」
何のために耳を塞がれたのか、やっと理解が出来た。
耳を塞がれたことにより、ダイレクトに響き渡る水音。
黒田の舌が動く度、いやらしい音で頭の中がいっぱいになる。
耳を塞ぐ手をやんわりと掴みながら、肘で身体を押し返し、必死に抗って見せた。
「ん...キス下手だな...」
当たり前だ...なんせ今日が3回目なんだから!
てかこいつ...、唾液流し込み過ぎだろ...!!
やっとの思いで身体を押し返し、シャツの袖でぐっと唇を拭う。
喉を流れていく彼の唾液に身体が火照るのを感じ、慌てて前を隠した。
「隠さないで全部見せてよ...」
「っ、やだ...、も...キスすんの禁止...」
ギュッと唇を強く噛んで目を伏せた俺の髪を、彼がサラリと撫でる。
くそ、なんだよ...キスされただけで勃起するとか恥ずかしすぎんだろ...。
「泣きそうになってる...ごめんね、少し意地悪だったかな」
「、誰が...!」
あまりの屈辱に更に顔を赤く染めると、またしても黒田の顔が近付いてきて、身体を硬くした。
「でもその顔...」
「ん...っ、ぁ...どこ触って...」
つぷ、と胸の割れ目に指を差し込んだ彼は目を細めて、唇を舐めて見せた。
「すげぇそそる...」
「っ...!」
普段の優しげな仮面の下に隠された、本当の素顔。
前髪の隙間から目をギラつかせ、赤い舌で唇を舐める姿は、皆が知っている王子様なんかじゃない。
「ね、もう1回キスしてもいい...?」
野獣だーーーーー。
「ゃ、だめ...」
「だめ...?」
後頭部に手をあてがいながら優しく引き寄せられれば、すぐにでも唇が触れ合ってしまいそうだった。
抵抗したいのに、抵抗出来ない...。
ギュッ、と目を瞑り、彼からのキスに身構えた
そんな時
ヴヴヴ、とテーブルの上で振スマホが動する。
彼がウザったそうに視線を投げる姿が、あまりにもセクシーに見えてゾクリとした。
「...もうこんな時間か」
18時
俺から身体を離した黒田はティーカップに口付けて飲み干し、荷物を抱える。
「帰るよ」
「......用事か?」
「んー...そうだね、18時30分頃から夕食なんだ。帰らないと」
やっぱり家族と一緒に暮らしてる、のか?
彼女じゃないけど、女を囲ってたり...もしかしたら元々は既婚者で、子供がいたりして...
軽率に生中出しをするこいつなら有り得る...。
「あ、何その顔。なんか勘違いしてない?」
スマホを弄り、画面をずいと差し出されれば、そこには2匹の猫が写っていた。
「こっちの茶トラがきなこ、こっちの黒猫があずき」
「......ねこ」
「あれ?猫あんまり好きじゃない?」
黒田の手から強引にスマホを奪い取る。
「すき」
「うわ...オレのスマホが...」
「雄?雌?こんな可愛い子たちどこに隠してたんだよ、なあ。俺に内緒で猫ちゃん飼ってんじゃねぇぞ」
逃げ出そうとする黒田をとっ捕まえれば、小さな声で「どっちも雄」と呟いた。
この前きなことあずきを見せてくれれば良かったのに...肉球触りたかったし全力でモフりたかった。
「猫ちゃん...抱っこしたい...」
頑なに黒田のスマホを離さず、画面越しの愛らしい姿に釘付けだった俺を見て、彼が口を開く。
「...今から家、来る?」
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