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しおりを挟む「じゃあ朝はゆっくりめに起きようね」
「ん...今日もソファーで寝るの?」
ソファーに移動した東條に声を掛けると、彼は目を真ん丸くした。
「鏡夜は1人じゃないと眠れないでしょ?俺のことはいいから、もう休みな」
「...ありがと...」
目を細めて笑う東條の厚意に甘え、ふかふかの羽毛布団を掛ける。
手元のスマホを操作し、念のため10時にアラームを設定していると、1件のメッセージが届いた。
ドキリとする。
ーーーーーーーーーーーーーーー
▼黒田 椿
こんばんは。
明日、碓氷先生の都合が良ければお出掛けしない?
ーーーーーーーーーーーーーーー
...なんでこいつ俺の連絡先知ってんだよ。
寝てる間に交換されたのか...?
気持ち悪、ブロックしよ。
「...」
と、思ったが、ハッキリ物申してやる良い機会かもしれない。
どこかで踏ん切りを付けないと、この前の授業の時みたいにボーッとする可能性も微レ存。
「東條さん...ごめん。急用が出来たから、明日9時にはここを出る」
「え?本当に急だな、わかったよ。一緒に出ようね」
「本当にごめん」
ーーーーーーーーーーーーーーー
▼黒田 椿
じゃあ11時に迎え行くから家の住所送っといてね。
おやすみ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
黒田のメッセージに既読をつけて、そのまま目を閉じる。
革張りのソファーが軋む音や、外の音、冷蔵庫のモーター音が耳について離れない。
頭まで布団を被った俺は、無理にでも孤独の世界に入り込み、闇へと堕ちていった。
ーーーーー
ーーーーーーー
「で、何だここは」
「ランジェリーショップ」
「...いや、見れば分かるが...男2人で入るとか言わないよな?」
「この前のお気に入りだったんでしょ?お詫びにプレゼントするからさ」
いや、おかしいだろ!
気まずい無理、絶対嫌だ帰る。
頑なに店の前で入店を拒否していると、中から店員さんが出てきて中へ招かれた。
「ほら行こ」
「うう、いやだああ」
首根っこを掴まれた猫のようにズルズルと店内へ引き込まれては、ぐったりとソファーに項垂れる。
煌びやかな店内には無数の下着が飾られており、目のやり場に困りつつ視線を泳がせる。
意外と男性客が多いことに安堵した後、黒田をキッ、と睨みつければ彼は軽快に笑って見せた。
「あはは、顔が怖いなぁ」
「お客さま、ご来店いただきありがとうございます。本日は彼女さんへのプレゼントをお探しでしょうか」
「はい」
はい、じゃねぇ。
黒田の爽やかな笑顔に釘付けになった女性店員が、彼女(男)の特徴について聞いていく。
「んー、そうですねぇ...ツンデレ?って奴かな...。色もパステルカラーよりブラックとかレッドとか...そっち系の色が似合うと思います」
おい、俺はツンデレじゃねぇぞ。
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「特には。ああでも、めっちゃエロいやつがいいですね」
「......」
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