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しおりを挟むギシッ...
静寂の中、木材の軋む音が響く。
その音が脳を覚醒させては、身体の熱さ、異様な喉の渇きで目を覚ました。
「ん...っ」
微かに汗ばむ自分の首に触れ、重い瞼を持ち上げる。
ああ、視界が回る...。
頭を抑えながら身体を起こせば見覚えのない部屋にいた。
「...どこだ...ここ」
「起きた?」
声のする方へ顔を向けると普段あまり会話を交わすことのない意外な人物が、ゆったりとしたソファーに寝そべりながら本を読んでいた。
黒田 椿
とてつもなくモテるこの男は、うちの学校の保険医だ。
お人好しで天然で、女性教員や女子生徒から常に構われている。
月1の飲み会でも黒田の隣を争う女性教員の姿が、見ててイタかったこと、少し顔がいいことぐらいしか印象にない。
温厚な人あたりと優しそうな顔が人を惹きつけるのか、俺とは真逆なタイプであると言うことは一目瞭然だった。
関わることのない人間だと言うことも、勿論分かっていたのに。
「...俺は...」
「酔っ払ってたから連れて来た。オレに絡み酒しに来たの、覚えてない?」
「...覚えてないです」
パタン、と本を閉じた黒田がコップに水を注ぎ差し出してくる。
それを受け取り飲み干すと、冷えた水が火照る身体を徐々に冷やし、器官を通って胃に落ちていくのが心地よかった。
「それは残念」
「帰ります...ご迷惑をおかけしました」
「帰るって」
コップを取り上げた彼の口から出た言葉に、目を見開く。
「東條さんのとこ?もう0時だし、ホテルにはいないと思うよ」
ドクン
「っ、...どうしてそれを...」
喉が、渇く。
ベッドに腰を掛けた黒田が、おかしそうに目を細めて笑った。
「...こんな禁欲的な顔して、硬派で冷たい碓氷先生が男のオナニー動画見て欲情する人だったなんて...いいこと知っちゃったな」
ドクン ドクン
バレたーーーーーー。
「っ...見たのか、俺のスマホ...」
心拍数が上がり、上手く呼吸が出来ない。
「あまりにも電話がしつこかったから電話に出たら、トーク画面も見えちゃったんだよ。東條さん、よっぽど君にお熱なんだね」
俺のスマホをチラつかせた黒田に、我を忘れて飛びかかる。
「おっと、...積極的...」
グルグルと回る視界の中、黒田に抱き着くような形になれば彼の熱い手が腰に回った。
「返せ...」
「もちろん、返してあげるよ」
「あっ...ちょっ、と...」
世界が一回転したかと思えば、目の前には黒田の端正な顔が広がる。
「男の身体って、少し興味があるんだ。最近女の子とえっちしてないし...」
ワイシャツのボタンに手を掛け、思いのまま左右に引っ張れば、無数のボタンが四方八方へと飛び散った。
音を立てて床を転がるボタンには目もくれず、俺の胸板にそっと手を這わせた男がギラりと目を光らせる。
「...抱かせろって?」
「話が早い」
「っ...貴様、俺をタダで抱こうとしてんのか...しかも女の代わりだと?ふざけるな...っ」
黒田の身体を押し返すが、ビクともしない。
「女の代わりは嫌?こんなえろい下着穿いて、プラグまで咥えこんで...男とセックスする気満々だった人が何言ってんの...?」
中指と人差し指で下着越しにアナルを刺激されると、中に挿入っていたソレが内壁を擦った。
「んっ、ぁ...違っ...」
女性物ショーツの中に無理矢理押し込まれた自身が、面積比の少ない布を押し上げ生地を濡らす。
「違う...?」
耳に形のいい唇を寄せた黒田が、艶めかしい声で囁いた。
「違うはずないだろ、ヘンタイ...」
「っ...!!」
その言葉が脳に響いた瞬間、全身が甘く痺れ大きく身体が脈打った。
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