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しおりを挟む放課後
職員室内に、甲高い声が響き渡る。
「え~!姫神先生、かわいい~」
「あはは」
やかましく喚き散らかす3-Dの担任、石井は、このボケッとしてる学年主任の姫神政宗が大のお気に入りだ。
確かに、割かし綺麗な顔立ちをしているとは言え、35の男に向かって「かわいい」と言葉を発する石井の思考は全く理解が出来ない。
「女嫌い」であるから一々発言が癪に障るのか、目の前でイチャつかれてイライラしているだけなのかは分からないが不快の一言に尽きる。
「女子生徒がくれて...私がこんな可愛い絆創膏貼っててもイタイだけですよね」
「そんなことないですよ~」
恥ずかしそうに笑う姫神の指には、ピンクの絆創膏が貼られていた。
正直めちゃくちゃどうでもいいだろ...。
仕事が終わっているのであればさっさと帰ればいいのに。
特に、隣の男。
「ん?」
俺の視線に気付き、胡散臭い笑顔を貼り付けた3-Bの担任、若王子亮介は珈琲を飲みながら優雅にネットサーフィンをしていた。
新しい車でも買うつもりなのか、高級車ばかりを見ている。
車にさほど興味がないため、教員の給料で購入出来るかは甚だ疑問だが...。
「若王子先生は帰らないんですか」
「ええ、僕はまだやることが残ってますから」
「...車なんか見てないでやればいいのでは?」
「次の車はRX-7にしようと思うんですけど、白と黒ならどっちがいいと思います?」
質問を質問で返すな、あと人の話を聞け。
「あーるえっくすせぶん...?よく分からないが白の方がいいんじゃないか」
「いや、やっぱり黒だよな」
「...」
言い返す気力もない。
自由過ぎると言うか、教師としての自覚が足りないと言うか...何だかこの3人と一緒にいると酷く疲れてしまう。
「...帰ります」
鞄の中に荷物を詰め込んだ俺は、半ば逃げるようにして学校を後にした。
19時
待ち合わせをしていたホテルに、30分も早く到着した。
先にシャワーを浴び、バスローブに腕を通す。
冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを飲みながら、クイーンサイズのベッドの上でスマホを弄っていると部屋の扉がゆっくりと開いた。
「ああ、なんだ...早かったね、鏡夜」
「......待ちくたびれた」
「これでも待ち合わせの時間より5分も早く着いてるんだけど」
上質なジャケットを脱ぎ捨て、荒々しくネクタイを外した男は、部屋に入るなり俺の上に覆いかぶさった。
「いい匂い...シャワー浴びたんだ」
微かに濡れた髪に鼻を寄せ、バスローブの隙間から冷たい手を差し込まれれば身体がピクン、と震える。
「ん...東條さんもシャワー浴びる?」
「いや、いいよ。今すぐ抱きたい...」
細いフレームの眼鏡を外し薄暗い照明の中、発情した東條の首にそっ、と腕を回した。
「ねぇ...今日はいつもより激しくシて...」
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