110 / 197
名前
しおりを挟む『まだ若王子の家にいる...』
「ごめんごめん、明日は帰るから」
『じゃあ、明日一緒に夜ご飯食べよ?こんなに放置プレイされたんだ、寂しすぎて死ぬと言っても過言じゃない』
いや、過言だ。
何だかんだ言っても、彼はまだ高校生。
親元を離れての一人暮らしだからな...やはり寂しいのだろう。
「わかった」
「ダメですよ、あんな獣と夜にご飯を食べるだなんて。貴方が食べられます」
『俺はお前みたいに万年発情している訳じゃないから?会ってすぐセックスって考えにはならないんだよ。なんて言ったって、先生のことを大事にしてるからな』
いやぁ、何だかまずい流れになってきたぞ。
「あ...?僕が主任を大事にしてないって言いたいのか...?」
声を低くした若王子が、本を閉じて私の身体を抱き寄せる。
お願いします、喧嘩になりませんように...。
『少なくともお前より、俺の方が大事にしてるし労わってる、ね?せんせ?』
「えっ、と...」
「僕がどれだけ貴方を大事にしてるか、貴方が1番分かってますよね...?」
「あの...」
「『どっちが大事にしてる?』」
もう23時だし、長引きそうな話はやめようよ~...。
「まあまあ、神崎も若王子くんも落ち着いて。どっちも同じくらい大事にしてくれてると思うよ、いつもありがとう」
「『...』」
ぎゅう、と私にしがみつきながらスマホを睨む若王子と、電話越しにも関わらず威圧を感じさせる神崎。
「主任、神崎の前だからって恥ずかしがらなくてもいいよ...2人きりの時みたいに「亮くん」って呼んで」
呼んだことないだろ。
『政宗、あっ...ごめん。ついいつもの癖で名前呼んじゃった』
いやだから呼んだことないだろ。
「お互いマウントを取り合うのは止めなさい。喧嘩するから切るね...おやすみ、神崎」
悪いと思ったが埒が明かないので、こちらから一方的に電話を切る。
一気に疲れてしまった。
閉じた本を開いた若王子が眼鏡を掛け直すと、再び無言で読書を初めた。
...それにしても、「亮くん」って呼んで欲しいのだろうか。
確かに、歳下だからと言って「亮介」なんて呼び捨てにするのは性格上気が引ける。
神崎の場合は七王だから「なおくん」か?
うーん...ちょっと可愛いな。
「...2人の時、本当に政宗って呼ばせてるんですか」
「えっ、いや!?初めて呼ばれたから驚いたよ」
「そう...、僕は呼んでもいい...?」
顔を近付けられ、心臓が高鳴る。
眼鏡姿...カッコイイ...。
「ひ、姫...以外であれば...なんでも...」
「政宗さん」
「っ...」
うわ、なにこれ...超恥ずかしい。
名前呼ばれることってこんなに恥ずかしかったっけ。
しかもさん付けだなんて、何だか歯痒い。
「りょ、亮くん...」
31
あなたにおすすめの小説
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる