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熱
しおりを挟む「...38.5か、結構高いですね」
「大丈夫だよ、解熱剤ある?」
昨日、お風呂の中で色々と考えて逆上せた挙句、「大丈夫ですか!?」と慌てた彼と目があってからずーっと身体が熱かった。
いやぁ、まさか熱を出してしまうなんて、情けない...。
「駄目です。今日は僕の家で安静にしてください」
「でも...」
「昼食も作っておきますし、お好きなように過ごしていただいて構いませんから」
ワイシャツに腕を通し、私の頭を優しく撫でた彼は心配そうに顔を覗き込んだ。
朝日を浴びて輝く彼も、また一段とカッコよく見える。
「何故目を逸らす...ちゃんとこっち見て」
「うう...恥ずかしい...」
「慣れてくれなきゃ困るんですよ。んー...目も潤んでますね...僕も今日は早めに帰ります。欲しいものとか食べたいものがあったら連絡してください」
そう言い残し、ジャケットとネクタイを抱えた彼は寝室を出てしまう。
寂しい。
広いベッドの隅に乱雑に脱ぎ捨てられたシャツやズボンを見ては、彼にもこう言うところがあるんだな、としみじみ思った。
それにしても...家主がいない家にいることになるなんて、変な感じ...。
仕事を休むことが初めてだからなのか、心が落ち着かず寝ようにも寝れない。
身体は怠いし、頭はぼーっとするが風邪ではないため、そこまで辛くないのが救いだろう。
仕方なくスマホに手を伸ばし、ニュースを見ていると、若王子が廊下に出たのがわかった。
気怠い身体を起こし、寝室から抜け出せば、若王子は丁度家を出る頃だったのか靴を履いていた。
「若王子くん」
「あ、何してるんですか。寝てなきゃ駄目ですよ」
困ったように笑う若王子の元へ歩み寄れば、すり、と頬を撫でられる。
「ん...」
冷たい手が肌を滑ると、気持ちが良くて目を閉じた。
「見送りに来てくれたんですか?」
「うん、せめて行ってらっしゃいはしようかなって」
「はぁ...僕も休みたい」
愛しいものを見るような目で見詰めた若王子は、休みたい気持ちをぐっと堪えているようだ。
「お粥作ったので、食べれそうだったら食べてください。あと水分はちゃんと摂って寝てくださいね、それから...」
「若王子くん」
「ん?」
「早く、帰ってきてね...んんっ」
彼の唇が私の唇に重なり、熱い舌が口腔に入り込めば身体がゾクゾクと震えた。
今日も、舌ピアスしてる...。
「んっ、ん、わか...っふ、ぁ」
熱のせいで敏感になっているのか、舌を吸われるだけで頭が真っ白になる。
激しいキスに立っていることが出来ず、その場にペタンと座り込むと、若王子は目を細めて笑った。
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