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絆創膏
しおりを挟む「わ、悪かったよ...」
「それより主任、さっきから意地でも僕と目を合わせないようにしてますよね?」
「そんなことない...けど」
「その割に、今日は全然目が合わないんだよなぁ」
「...」
「と言うより、避けられていたから今日も、ですね」
めちゃめちゃ根に持ってる...!
若王子の料理を黙々と食べ進める私は、彼の言う通り意地でも目を合わせないようにしていた。
王子様みたいだ...そう思ったあの日から、本当に王子様にしか見えなくなってしまったのだ。
35の男が白馬に乗った王子様を待っている訳ではないが、彼の顔を見ると、濡れた瞳に見詰められながら「姫」と甘い声で囁かれた、あの黄昏時がフラッシュバックする。
...あんな醜い顔面を、彼の前で晒す訳にはいかない。
「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末さまでした」
食器を下げ、さっと洗い物をした私は鞄を抱える。
「夜ご飯ありがとう!じゃあ私はこれで...」
彼の横を通り過ぎようとした瞬間、バンッ!と男らしい腕が目の前に飛び出てくる。
壁に手を着いた彼は、私に向かってにこやかに笑った。
「今日は泊まっていきますよね」
「えっ...でも明日も仕事だし...」
「早起き、得意でしょ?」
「あっ、ちょっと...!」
鞄を奪い取り、服を脱がせにかかる彼の動作はいつもより乱暴だ。
ワイシャツのボタンを引きちぎらんばかりに外し、中に着ていたTシャツを掴む。
!今日はまずい...だって、今日は
「...」
服を捲りあげた彼は、乳首に貼られた絆創膏を見ては目を細め、自分の唇をペロリと舐めた。
「ね...何これ」
絆創膏の上からでも膨れ上がっているのが見てとれる、なんともいやらしい光景にゾクリと身体を震わせた若王子の目を、未だに見ることが出来ない。
「っ...シャツに、擦れると痛い...から。今日は絆創膏...貼った...」
「剥がしていい...?」
耳に唇を寄せ、猫なで声で囁かれると腰の奥に熱が溜まる。
目をギュッと瞑り、頭を左右に振るも彼が受け入れてくれるはずが無い。
「噛んで...」
Tシャツの裾を口元まで運ばれ、私はおずおずとそれを噛んだ。
「やらし...剥がしちゃうね?」
「んっ...」
絆創膏に皮膚が張り付き、剥がす時は少し痛い。
丁寧に剥がした絆創膏の下には、目を逸らしたくなる程に、ほんとりと赤く色付き熟れた乳首が存在していた。
「ヤバいな...えろ過ぎ...自分で弄ったの?」
誰がこんなになるまで弄るか、と怒りたかったが、また頭を左右に振ると、彼はふ、と笑う。
「僕のこと避けてる間に、神崎とはこう言うことしてたんだ...」
貪るような口付け、彼の尖った八重歯が舌や唇に当たると、下着が濡れるのが分かった。
「ほんと...悪い子だね、姫」
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