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時間
しおりを挟む「クレイジー...サイコ?」
その身体には少し小さく感じるグラスを両手で持ち、オレンジジュースを飲む蒼依はうんうん、と頷く。
「七王くんて結構変わってるんですよ、姫神さんも気を付けてくださいね?」
「あ、ああ」
蒼依くんが私のことを心配してくれてる...!
うう、すごくカッコイイし可愛い...。
タレ目がより一層彼を優しそうに見せるのか、温厚な人当たりが余計そう思わせるのか...今日初対面とは思えない程、蒼依の隣は落ち着いた。
それにしても蒼依くんの腕...男らしくてエロい...。
「あのさ、蒼依くん...腕、触りたい...」
「え~、困ったなぁ...もう特別ですよ~?」
困った、とは言いつつ嬉しそうに腕を差し出してくる蒼依。
画面越しに見た時も、太い血管が走っているこの腕に目を奪われたのだ。
もう蒼依とは二度と会えないかもしれないし...
今のうちに沢山触らせてもらお!!
「すごい...」
ごくりと生唾を飲む。
蒼依が差し出してきた腕を抱え、親指で血管をそっとなぞれば、蒼依は擽ったそうに笑った。
「血管、太いね...手もおっき...」
「姫神さんって、本当に僕のこと好いてくれてるんですね」
「もちろんだよ...!初めて見た時、蒼依くんから目が離せなかったんだ...、そんな蒼依くんが隣にいるなんて...ほんと夢みたい」
ずいっと差し出された腕。
「ほら、僕のも触っていいですよ」
若王子くん、君は本当にすぐ対抗するよね。
「はぁ...俺だって同じくらい手大きいのに何で蒼依だけ...」
神崎は結構ネガティブだよね。
いつの間にか言い合いを止めていた男2人は、どうやらこの状況に嫉妬しているようだった。
ちょっと面白い。
その後も蒼依とベタベタしてみたり、4人で他愛も無い会話を繰り広げたり、若王子と神崎の口喧嘩を眺めたり、何だかんだで1時間以上喫茶店に居座ってしまった訳だが、夢のような時間は続かない。
「じゃあ、俺はこれから撮影なのでそろそろ...」
「え、蒼依くん行っちゃうの...?やだ...」
財布を取りだし、お金をテーブルに置く蒼依の服を引っ張れば、優しい蒼依は「ごめんね」と言いながら連絡先を書いて渡してくれた。
「良ければ今度2人でご飯でも」
「!!」
蒼依くん、いっぱいすき!!!!!!
3人で蒼依を見送り、清々しい気持ちでコーヒーを飲み干した。
はぁ、今日はなんて幸せな1日なんだ。
蒼依くんは画面の中でも、リアルでもとても素敵な人だったなぁ...。
「さて」
タバコに火をつける若王子の目付きが一瞬にして変わり、幸福感を根こそぎ持っていかれる。
「本題にはいりますか」
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