2人の男に狙われてます

おもち

文字の大きさ
66 / 197

時間

しおりを挟む

「クレイジー...サイコ?」

その身体には少し小さく感じるグラスを両手で持ち、オレンジジュースを飲む蒼依はうんうん、と頷く。

「七王くんて結構変わってるんですよ、姫神さんも気を付けてくださいね?」

「あ、ああ」

蒼依くんが私のことを心配してくれてる...!
うう、すごくカッコイイし可愛い...。

タレ目がより一層彼を優しそうに見せるのか、温厚な人当たりが余計そう思わせるのか...今日初対面とは思えない程、蒼依の隣は落ち着いた。

それにしても蒼依くんの腕...男らしくてエロい...。


「あのさ、蒼依くん...腕、触りたい...」

「え~、困ったなぁ...もう特別ですよ~?」

困った、とは言いつつ嬉しそうに腕を差し出してくる蒼依。

画面越しに見た時も、太い血管が走っているこの腕に目を奪われたのだ。

もう蒼依とは二度と会えないかもしれないし...

今のうちに沢山触らせてもらお!!

「すごい...」

ごくりと生唾を飲む。

蒼依が差し出してきた腕を抱え、親指で血管をそっとなぞれば、蒼依は擽ったそうに笑った。

「血管、太いね...手もおっき...」

「姫神さんって、本当に僕のこと好いてくれてるんですね」

「もちろんだよ...!初めて見た時、蒼依くんから目が離せなかったんだ...、そんな蒼依くんが隣にいるなんて...ほんと夢みたい」

ずいっと差し出された腕。

「ほら、僕のも触っていいですよ」

若王子くん、君は本当にすぐ対抗するよね。

「はぁ...俺だって同じくらい手大きいのに何で蒼依だけ...」

神崎は結構ネガティブだよね。

いつの間にか言い合いを止めていた男2人は、どうやらこの状況に嫉妬しているようだった。

ちょっと面白い。


その後も蒼依とベタベタしてみたり、4人で他愛も無い会話を繰り広げたり、若王子と神崎の口喧嘩を眺めたり、何だかんだで1時間以上喫茶店に居座ってしまった訳だが、夢のような時間は続かない。

「じゃあ、俺はこれから撮影なのでそろそろ...」

「え、蒼依くん行っちゃうの...?やだ...」

財布を取りだし、お金をテーブルに置く蒼依の服を引っ張れば、優しい蒼依は「ごめんね」と言いながら連絡先を書いて渡してくれた。

「良ければ今度2人でご飯でも」

「!!」

蒼依くん、いっぱいすき!!!!!!

3人で蒼依を見送り、清々しい気持ちでコーヒーを飲み干した。

はぁ、今日はなんて幸せな1日なんだ。
蒼依くんは画面の中でも、リアルでもとても素敵な人だったなぁ...。

「さて」

タバコに火をつける若王子の目付きが一瞬にして変わり、幸福感を根こそぎ持っていかれる。

「本題にはいりますか」

しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

処理中です...