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心配性
しおりを挟む部屋の鍵を開けて、彼を中へ通す。
「めちゃくちゃ綺麗で驚いた。外観はオバケ出そうな感じなのに」
「リノベーションされてるんだよ、ちょっとここで待ってて。少し片付けてくる」
玄関に神崎を待たせ、リビングのテーブルの上やデスク周りをある程度整える。
「大丈夫だよな...生徒に見られて困る様な物は...ない。よし」
玄関でぼっ立ちする神崎を招き入れると、彼は靴を揃え「お邪魔します」と挨拶をしながら入ってくる。
なんだ、この異様な光景は。
「ごめんね、あんまり綺麗じゃないし広くないんだけど...」
スーツも脱がずにスーパーで買った物を冷蔵庫へ移動していると、後ろからギュッと抱き締められ呼吸が止まった。
「なんか...付き合ってるみたいだな」
君といい若王子といい、都合が良すぎるお頭をお持ちのようで、と嫌味の1つぐらい言ってやろうと思ったが首に鼻を寄せられ、低い声で囁かれればそれは叶わなくなる。
「俺さ、先生の匂い好きなんだよ...。仕事終わりのあんたの匂い...すげー濃くて美味そう...」
「んっ...そう言うのいいから...」
ドクンと心臓が高鳴ったのを無視して彼の身体を引き剥がした私は、ジャケットとネクタイを外しエプロンを身に着けた。
「...可愛すぎるだろ」
「ゴホン、デートって言ってたけど...今日も明日も泊まっていく...の...?」
「うん、替えの服も下着も持ってきた」
なんて準備のいい...。
私が了承する前から泊まる気満々だったのがまた腹立たしい。
「ご両親に外泊する件は伝えた?」
「いや、今はどっちも海外に行ってるから」
ご両親の話をした途端、何だか素っ気なくなったような...。
「そっか」
あまり深くは追求せず、玉ねぎをみじん切りしたり、ガスコンロの火を付けたりすると、彼は私の背後をウロウロそわそわし始めた。
...?
「...神崎?あの、あんまりウロウロされると...集中できないって言うか...」
「あ、悪い...あんたが怪我しないか心配で」
しゅん、とした神崎の頭上に、本来あるはずの無い犬の耳が見える。
大きな身体が小さく見えて、思わず笑いが溢れてしまった。
「あはは、ありがと。シャワーでも浴びておいで?浴室は廊下の左にあるから」
とぼとぼと浴室へ向かう後ろ姿を見て、何だか可愛らしいなと思ったが、すぐ様はっとなり、にやける唇を噛み締める。
若王子のことがカッコよく見えたり、神崎のことが可愛く見えたり、末期としか思えないぞ。
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