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夢
しおりを挟む栗色の髪を靡かせた彼女は、私に視線を向けることなく歩き出した。
小さな子供の手を握り、ただ一言。
『さようなら』
「ーーーっ!」
勢いよく身体を起こし、辺りを見渡す。
いつも通りの風景。
狭いワンルームの中に積まれた書類、陽の光を浴びて輝く観葉植物、この部屋には不似合いな立派な本棚。
夢、だった。
しっとりと汗ばむ身体が気持ち悪い。
大きなため息を吐いてから、浴室へと移動した。
軽くシャワーを浴びて、珈琲メーカを起動する。
6時30分
朝刊を読みながら珈琲を啜り、トーストを齧る。
私の生活は何時からこんなにも色褪せてしまったのだろう。
姫神 政宗、35歳独身。
正確に言えばバツイチだ。
大学の頃から交際していた女性と24の時に結婚した。
慣れない「教師」と言う仕事、自分より若い「高校生」との生活、家族には絶対に貧しい思いはさせまいと一生懸命働いていたが、気付いたら家庭を顧みない悪い夫になっていた。
後悔した時にはもう遅く、30の時、妻は幼い娘を連れ家を出て行った。
新築で購入した家も、私一人だと広すぎて虚しくて、家賃が安いリノベーションされたアパートに引っ越してきた訳だが...。
「色褪せたのは1人になってからか」
別れてから彼女が出来たこともあった、女教師や生徒に言い寄られたこともあった。
ただ、性欲が無さすぎてこれっぽっちも長続きしない!!
オナニーしないのは100歩譲っていいよ。
女性を前にしてもまっっっったくムラムラしないのは何故だ。
大きな乳を寄せられたり、際どい下着を着けられても私自身が反応しないのは何故だ!
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