悲劇にしないでよね!

雫喰 B

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68. マーカス・アリール

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いつもお読み頂きありがとうございます!

*今話のタイトルの登場人物ですが、ハッキリ言って、胸糞です。
(自分で書いていながら、気持ち悪くなりました。 (*`Д´)ノ!!!)
あと、残酷な描写、表現等、盛り沢山なので、苦手な方は限界突破の全力で回避して下さい。読まれる方は自己責任でお願いいたします。
(気分が悪くなった等という事が有っても、責任取れないです。マジで…。)





~~~~~~~






    俺の父は、バルドス・アリール。このアリール帝国の第6皇子だったから。

    だが、気弱で貧弱な男で、息子の俺から見て父親としても、夫としても最低な男としか言えないような奴で、自分の妻すら守れないダメ男だった。

    欲しい物があっても遠くから指を咥えて見ている事しか出来ない。

    そんな男だから、やっと掴んだ妻も、いくら政略結婚だとしても他人に取られても、媚びへつらうようにヘラヘラ笑っているだけだった。

    だから、当然俺の本当の父親ではない。
    俺の本当の父親は、その当時玉座に座っていた色ボケじじいだ。

    バルドスという男は、自分の妻が初夜に実父から手込めにされても、ただ震えて見ていただけらしい。

    そう、正確に言えば俺はバルドスの異母弟になる。

    その所為で母は、俺を生む頃には頭がおかしくなっていたのだろう。
    でなければ、俺を生んで一月後、つまり産後初めて、色ボケじじいに迫られて自害したりする訳など無い。

    俺がその事を知ったのは、子供の頃だ。
    しかも、メイド達の会話からわかった。

    俺がいるのを知らなかったのかどうかまではわからないが、仕事の合間にしていた彼女達の話を 聞いているうちに知った。

    いつか思い知らせてやると思い続け、15才になった俺は皇太子や王位継承者達を片付けていった。

    勿論、それまでに何人か味方に付けた。一人は婚約者の父親で、野心家だったから味方に引き入れるのは簡単だった。

    寧ろ、そいつは率先してやっていた。

    欲で動く俗物は操りやすくて単純でいい。物や自分の利益で簡単に動いてくれるからな。

    逆に、宰相のような奴は食えないな。
    物に釣られる事はないし、自分の利益だけで動かせないから腹立たしい。

    だが、そんな奴でも動かす方法はいくらでもある。

    そういった奴らは、“愛”などという目に見えない、本当に有るかどうかわからない物を信じている。

    だから、そこを突いてやればいい。

    例えば、大切な人や大切な物に危害を加えたりしただけで、大抵は此方の思うように動かせるからな。

    実際、宰相の一人を破落戸どもに襲わせたら、面白いぐらいに言う事を聞くようになった。
    残念ながらその娘は死んでしまったが、問題無い。あいつには、まだ娘がいるからな。しかも二人もいる。

    宰相には、まだまだ働いてもらわないといけないからな。

    ただ、元騎士団長のような奴だけは要注意だ。騎士道精神だが何だか知らないが、あいつらは欲では動かない。

    元騎士団長に妻と息子を盾にして言う事を聞かせようとしたが、無駄だった。

    奴の妻は危害を加える前に、「夫の足枷になる気はない。」と言って、自ら命を絶ち、息子は逃走した。

    残された元騎士団長は、あろうことか俺の命を奪いにきた。
    勿論、返り討ちにしてやった。

    が、奴の息子は逃走したまま行方がわからない。その上、事ある毎に邪魔をしてくる。

    忌々しい奴だ。

    しかも、父親と同じで私利私欲で動かせず、大切な物や人を作らないから、利用する事も出来ない。

    きっと、あれだろう。脳ミソまで筋肉でできているとかいうやつなのだろう。

    だが、今のところ俺の思う通りに皇帝の地位は手に入った。

    次は、そんな俺様に相応しい女を手に入れなければならない。
    そう思っていたら、思ったよりも近くに居た。

    隣国エメリッヒ王国のユークリッド王女だ。

    外交で隣国を訪問した時に見初め、何度も結婚を申し込んだが悉く断られた。

    だから、手に入れる為に色々策を講じてきたが上手くいかない。

    長い年月をかけて用意した手駒も、つい最近殆ど失った。だが、必ず手に入れてやる。

    首をへし折ってやった女を一瞥しながら思った。

    こんな代替え品の紛い物ではなく、本物のユークリッドを手に入れてやる。

    本物は俺にこそ相応しい。


    ベルを鳴らしてメイドを呼んだ。

    俺の周囲に居るメイドは、ユークリッドの代替え品だ。
    
    彼女と同じ金髪に、同じスミレ色の瞳の女達。

    だが所詮、紛い物…。偽物だ。だから、すぐに飽きる。
    そんな女達から得られる喜びは、首をへし折る時の感触ぐらいだ。

    それも、もう飽きつつある。

    早く本物を手に入れたいものだ。

    呼びつけたメイドが室内に入ってきた。
    髪の毛を引っ掴むと、そのまま寝室まで引き摺って行く。
    泣き喚いて煩かったから、一発殴ったら静かになった。

    仕方ないから、今夜も紛い物これで我慢するか…。


~~~~~~~

今話を読まれた方々、お疲れ様でした。

    粗茶ですが…。どうぞ。🍵

これに懲りず、また読みに来て頂けたら嬉しいです。;

 追記
隣国の国名及び王族の名前を“アリール”に変更させていただきました。





    






    
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