16 / 40
16. コンラートの追想 ①
しおりを挟む
*お気に入り登録、栞を挟んで下さった方々、そして、読んで下さった方々も、本当にありがとうございます!
*感想にて、ご指摘ありがとうございました!
早速、加筆修正させて頂きました。
拙い文章ですが、これからもよろしくお願いい たします。
sivaress
*****************
今話は、暴力シーン、不適切と思われる表現等ありますので、苦手な方は全力で回避して下さい。読まれる方は自己責任でお願いいたします。
*****************
それでは、“モヤモヤ解決編”の続きをお楽しみ下さい。
~~~ 一週間前 ~~~
馬車の中、俺は彼女を抱きしめた。
彼女の存在が消えてしまいそうな気がしてその存在を確かめずにはいられなかった。
彼女を抱きしめ、頬擦りし、その匂いを嗅ぎ、確かに存在している事を、感触でも噛み締める。
それに戸惑い、ドギマギして、わちゃわちゃしている彼女が、この世の者とは思えないほど、可愛くて愛おしい。
そう思うと、またその存在を確かめずにはいられなくなり、彼女の感触を堪能した。
そして、それを脳に、この身に、刷り込む様に繰り返したのだ。何度も何度も…。
勿論、彼女が気を失った後も。
*************
********
目一杯力を込めて扉を蹴り飛ばした時、押さえ付けられ、男に覆い被さられかけている彼女の姿が、眼に飛び込んで来た。
頭に血が上る。彼女に触れている男たちを排除する事で頭の中が、埋め尽くされる。
だが、三人も彼女の命を奪える位置にいる。一人倒しても残った奴が危害を加えるだろう。
結局動けないまま彼女を人質に取られ、武器まで捨てさせられた。
彼女の首に見える赤い色が、辛うじて優先されるのは彼女の命だと、怒りで支配されそうな頭に歯止めをかける。
身動きできないもどかしさと苛立ちに、唇を噛む。
だが、まだ動けない…。
レーナ必ず助けてみせる!
彼女は、か弱いだけの女じゃない。現に今も隙を伺っている。
俺も感情を抑え、冷静にその時を待ちながら、一気に間合いを詰める事が出来る距離を保った。
他の騎士たちも、犯人の死角に回りつつ取り囲む様に動いている。
大丈夫だ。仲間もいる。必ず助け出せる。
犯人たちの隙を伺いながらその表情を見る。
その中の一人は幼馴染みだった女だ。彼女の境遇に同情していた。
まだほんの幼児だった時に、俺の後ろを覚束ない足取りで、ヨタヨタと付いて回る姿を妹が出来たみたいな気がして可愛がっていた。
その姿が眼に焼き付いていて、その後成長していくにつれ、その見た目に反して毒をその身に纏っていこうとも、芯の部分では善だと思っていた。いや、思いたかったのだ。
だが、歳月は人を変えてしまった。
彼女の悪意と悪行は止まる事は無かった。
揚げ句俺の最愛の人に刃を向けるに至った。
最早、目の前にいるのは、幼児だった時の彼女では無い!
お互いに牽制し合っているうちに、遠巻きに取り囲んだまま、馬車の側まで来た。
勝負を仕掛ける機会を伺う。
彼女が馬車の中に、突き飛ばす様に押し込まれた。
そして、犯人の一味の女が仲間の男の方を向いた時にそれは起こった。
馬車の中から、白く美しい足が伸びたと思った次の瞬間、女の身体が飛んだ。
俺が思っていた通り、やはり彼女はか弱いだけの女では無かった。
「 今だツ!! 」
一斉に犯人たちに飛びかかった。
俺は馬車の扉の一番近くにいた男に斬りかかった、男は俺の剣を自分の剣で受け、押しやると俺に斬りかかって来た。俺はその男と斬り結びながら隙を伺った。
背後では一味の女が、ギャーギャー喚き散らしている。
そして、御者台にいた二人も地面に組伏せられた。
男が一瞬だけ、そちらに気を取られた隙に、ソイツの手を斬り落とした。
手から血を噴き出しながらソイツがのたうち回る。
剣に付いた血を一振で払い、鞘に収めると馬車に乗り込んだ。
彼女が怯えてこっちを見た。俺は生きている彼女を見て安堵の息を吐いた。
一瞬遅れて、俺だと分かった彼女が大きく息を吐いた。眼から涙が溢れている。
矢も盾も堪らなくなって彼女を抱きしめ、彼女が生きている事に感謝した。
安心して、緊張の糸が切れたのか、彼女は気を失った。
彼女を横抱きにして馬車を降りると、ウオォォーッ!! と、歓声が上がる。
俺の胸に凭れたまま気を失っている彼女を、抱きしめている腕に力が入った。
*感想にて、ご指摘ありがとうございました!
早速、加筆修正させて頂きました。
拙い文章ですが、これからもよろしくお願いい たします。
sivaress
*****************
今話は、暴力シーン、不適切と思われる表現等ありますので、苦手な方は全力で回避して下さい。読まれる方は自己責任でお願いいたします。
*****************
それでは、“モヤモヤ解決編”の続きをお楽しみ下さい。
~~~ 一週間前 ~~~
馬車の中、俺は彼女を抱きしめた。
彼女の存在が消えてしまいそうな気がしてその存在を確かめずにはいられなかった。
彼女を抱きしめ、頬擦りし、その匂いを嗅ぎ、確かに存在している事を、感触でも噛み締める。
それに戸惑い、ドギマギして、わちゃわちゃしている彼女が、この世の者とは思えないほど、可愛くて愛おしい。
そう思うと、またその存在を確かめずにはいられなくなり、彼女の感触を堪能した。
そして、それを脳に、この身に、刷り込む様に繰り返したのだ。何度も何度も…。
勿論、彼女が気を失った後も。
*************
********
目一杯力を込めて扉を蹴り飛ばした時、押さえ付けられ、男に覆い被さられかけている彼女の姿が、眼に飛び込んで来た。
頭に血が上る。彼女に触れている男たちを排除する事で頭の中が、埋め尽くされる。
だが、三人も彼女の命を奪える位置にいる。一人倒しても残った奴が危害を加えるだろう。
結局動けないまま彼女を人質に取られ、武器まで捨てさせられた。
彼女の首に見える赤い色が、辛うじて優先されるのは彼女の命だと、怒りで支配されそうな頭に歯止めをかける。
身動きできないもどかしさと苛立ちに、唇を噛む。
だが、まだ動けない…。
レーナ必ず助けてみせる!
彼女は、か弱いだけの女じゃない。現に今も隙を伺っている。
俺も感情を抑え、冷静にその時を待ちながら、一気に間合いを詰める事が出来る距離を保った。
他の騎士たちも、犯人の死角に回りつつ取り囲む様に動いている。
大丈夫だ。仲間もいる。必ず助け出せる。
犯人たちの隙を伺いながらその表情を見る。
その中の一人は幼馴染みだった女だ。彼女の境遇に同情していた。
まだほんの幼児だった時に、俺の後ろを覚束ない足取りで、ヨタヨタと付いて回る姿を妹が出来たみたいな気がして可愛がっていた。
その姿が眼に焼き付いていて、その後成長していくにつれ、その見た目に反して毒をその身に纏っていこうとも、芯の部分では善だと思っていた。いや、思いたかったのだ。
だが、歳月は人を変えてしまった。
彼女の悪意と悪行は止まる事は無かった。
揚げ句俺の最愛の人に刃を向けるに至った。
最早、目の前にいるのは、幼児だった時の彼女では無い!
お互いに牽制し合っているうちに、遠巻きに取り囲んだまま、馬車の側まで来た。
勝負を仕掛ける機会を伺う。
彼女が馬車の中に、突き飛ばす様に押し込まれた。
そして、犯人の一味の女が仲間の男の方を向いた時にそれは起こった。
馬車の中から、白く美しい足が伸びたと思った次の瞬間、女の身体が飛んだ。
俺が思っていた通り、やはり彼女はか弱いだけの女では無かった。
「 今だツ!! 」
一斉に犯人たちに飛びかかった。
俺は馬車の扉の一番近くにいた男に斬りかかった、男は俺の剣を自分の剣で受け、押しやると俺に斬りかかって来た。俺はその男と斬り結びながら隙を伺った。
背後では一味の女が、ギャーギャー喚き散らしている。
そして、御者台にいた二人も地面に組伏せられた。
男が一瞬だけ、そちらに気を取られた隙に、ソイツの手を斬り落とした。
手から血を噴き出しながらソイツがのたうち回る。
剣に付いた血を一振で払い、鞘に収めると馬車に乗り込んだ。
彼女が怯えてこっちを見た。俺は生きている彼女を見て安堵の息を吐いた。
一瞬遅れて、俺だと分かった彼女が大きく息を吐いた。眼から涙が溢れている。
矢も盾も堪らなくなって彼女を抱きしめ、彼女が生きている事に感謝した。
安心して、緊張の糸が切れたのか、彼女は気を失った。
彼女を横抱きにして馬車を降りると、ウオォォーッ!! と、歓声が上がる。
俺の胸に凭れたまま気を失っている彼女を、抱きしめている腕に力が入った。
0
お気に入りに追加
214
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる