apocalypsis

さくら

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tu fui, ego eris

viginti duo

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「そんなん分かっとる! せやけど、俺はハズミがええんや!」
 すがりつくような瞳を向けるサイラスに一瞥をくれ、すぐに興味が無いとでも言わんばかりに、天弥は胡桃沢へ視線を向けた。
「天弥!」
 意識を向けさせようと、サイラスは天弥の胸ぐらを掴む。だが、それはすぐに斎に阻まれる。
「なんでや? ハズミには俺がおらんとダメなんや! なにかあったらどないするんや!」
 うるさく騒ぐサイラスに、天弥は仕方がないと言わんばかりに一瞥をくれる。
「猫と仲良くなれば戻って来られるでしょう」
 これが最後とでも言わんばかり告げると、完全に興味を失ったようだった。
「コモちゃん……でよろしいのでしょうか?」
「そうだのぉ。好きに呼んでくれて構わんよ」
 胡桃沢も天弥を見る。
「わしは冥王星かのぉ?」
「いえ」
 普通に尋ねる胡桃沢に、天弥も普通に答える。未だに騒ぐサイラスの方が悲痛であった。
「まずが、話をしましょうか?」
 感情の籠もらない、作ったような笑みを貼り付けたような表情を浮かべ、胡桃沢に希望を告げる。
「そうじゃのぉ」
 視線を少し上に向け、胡桃沢は考え込んだ。
「それなら、こんなところではなんだし、部屋にでも行かんか?」
「そうですね。住人も戻ってきますし」
 天弥は、サイラスを抑え込んでいる斎に視線を向けた。
「良いですか?」
「もちろんだ」
 歩き出した胡桃沢に天弥が続き、その後をサイラスを引きずるように連れて行く斎が後を追う。必死で抵抗をするサイラスを押さえつけるのは、かなりの労力だった。なぜ、そこまで羽角にこだわるのか斎には理解できなかった。本当の両親が居り、そこへ戻ることが出来ると言うのなら、その方が良いのではないかと考えてしまう。だがそれは、今までいわゆる普通と思える状況に居たからで、もし、サイラスと同じ状況なら、同じ用に思うのだろうかと思ってみるが、やはり斎には分からなかった。
「うるさいので、やはりご両親の元へ送りましょうか?」
 エレベーターの乗っても騒ぐサイラスに、軽くため息を吐き、視線を向けずに天弥が口にした。そのとたん、サイラスはピタリと騒ぐのをやめる。それほどまでに羽角が良いのかとやはり斎には理解できなかった。それ以降、斎が抑え込むこと無くサイラスはおとなしく三人と一緒に部屋へ戻った。
「冥王星で無ければ、わしも土星かのぉ?」
 リビングのソファに座ると、胡桃沢が再び尋ねてきた。
「いえ」
 天弥は同じ言葉を返す。
「おぉ! それなら地球のということじゃな」
 満足したように胡桃沢は頷いた。確実に幻夢境へ送って貰えると思っているようだと、斎は胡桃沢の思考も理解できなかった。この状況で、なぜ望みを叶えてもらえると思えるのか。
「それも違います」
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