apocalypsis

さくら

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tu fui, ego eris

quattuordecim

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「居ないみたいですね」
「そうか」
 斎は人混みの中に姉家族を見つけ一安心する。
「ではいきます」
「あぁ」
 機能のこともあり、集団幻覚とかで片付いてくれることを願う。住人たちが闇に包まれた後、闇が縮小するのと同時に姿が消えた。
「大丈夫か?」
 天弥の様子を確認する。
「一度になら、そこまで大変ではありませんから」
 確かに何度も繰り返し実行するよりは多少、楽なのだろう。だが、やはり心配せずにはいられなかった。
「あっ」
 天弥がジッと玄関を見つめる。斎も首の後がチリチリとし、目的の人物が出てきたことを知った。まず、サイラスの姿が見えた。真っ先に出てきて周囲を確認しているように見受けられた。続いて、羽角と胡桃沢が共に出てくる。サイラスは二人を止め、こちらを見る。気配は殺していたつもりだが、簡単に見つかってしまった。サイラスが斎たちに向かって歩いてくる。
「どうしますか? どこかへ飛ばしますか?」
「いや。いざというときのために、温存しておいてくれ」
 能力を使うときに、どれほどの負担があるか分からないため、斎は何もしないように支持を出す。神を二柱も飛ばすことに比べれば楽なのかもしれないが、やはり不安はあった。
「分かりましたけど、僕は僕の判断で行動しますからね」
 分かりましたと言いつつも、斎の支持に従うつもりが無いことを伝える。
「とりあえず、俺が行く。そこから動かないでくれ」
 そう言い残し、斎はサイラスに向かって歩きだす。サイラスと斎、互いにゆっくりと近づいていく。その様子を天弥、羽角、胡桃沢がジッと見つめる。斎とサイラスは、互いに間合いを取りながら相手の様子を伺う。
「あー信じてくれへんかもしれんけど、今は戦わんように言われとるんや」
 足を止め、斎を見つめながらサイラスが口を開く。
「なぜだ?」
「天弥がおるやろ? 素直に言うことを聞いてくれればええそうや」
「それで、交渉したいってことか?」
 サイラスが頷く。
「あ、もし、良かったらなんやけど、先生も一緒に行かへんか? ってお誘いも言付かってきたわ」
「俺も? なぜだ?」
 足を止めた斎は、サイラスを通り越し、背後の二人で視線を向ける。
「先生が行くって言ったら、確実に送り出してくれるんやないかって考えたらしいで?」
 確かに、未知の世界への興味はある。だが、全てを捨ててまで行くという選択は出来なかった。
「悪いが、俺は行かない」
「そうなん? 先生やったら喜びそうって思ったんやけどな」
 言葉とは裏腹に、その選択をするのは分かりきっていたような表情をサイラスが浮かべる。
「ほな、ちょっと先生のことをあの二人に伝えてくるわ」
 サイラスは背後の二人を指差した。
「せやから、ちょっと待っててや」
 斎に背を向けると、来たときと同じくゆっくりと歩いていった。斎も天弥のところへ戻る。
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