apocalypsis

さくら

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tu fui, ego eris

tredecim

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 そう、時間はかからずに目的地へ付いた。サイラスが暮らしているマンションだ。すぐにでも乗り込みたいところだが問題がある。ここで暮らす、その他の住人たちだ。その中には、斎の姉である神楽や、姪のひなも含まれている。
「天弥……。住民たちの避難って出来るか?」
 天弥は高層マンションを見上げる。
「さすがに、この状態では無理です」
「そうか……」
 どれほどの住人が居るのか分からない。更に、昨日のことで今日は休みになり、普段よりも人が多いと考えた方が良いだろう。斎は携帯を取り出し画面を見つめる。そこには姉の名前があった。せめて姉の家族だけでも確実に助けたいと考える。
「一か所に集まってくれるのなら、出来ますが?」
 斎は携帯の画面から天弥へ視線を移す。
「本当か?」
「嘘を言ってどうするんですか?」
「そうだな」
 どうすれば、住人を一か所に集められるかを考える。幸いと言ってはダメなのは承知しているが、昨日の被害状況を利用することを思い付く。
「ちょっと待ってろ」
 天弥にその場に留まることを告げると、斎は玄関へと向かう。
「僕が送ってあげますよ?」
 斎が何を考え、何をしようとしているのか検討が付いている天弥は、提案を投げかけた。斎は足を止め振り返る。
「お姉さんに開けてもらうつもりでしょうが、バレますよ?」
 確かに天弥の言うとおりだ。なるべく負担を掛けたくないことから、可能な限り自分で対応しようと考えていたのだ。
「非常用スイッチなら、どこでも大丈夫ですか?」
「あぁ、悪いが頼む」
 天弥の状態も気になるが、なるべく穏便にバレずに行動をするには仕方がない。返事をして頼んだ後すぐに、斎は闇に包まれる。一瞬で、先ほどまでの風景とは異なっている。
「天弥?」
 天弥はどうなったのか不安になり確認をする。
「居ますよ」
 斎だけだと思っていたが、天弥も共にいることを知り安堵する。危険が予想されるため、出来ればあの場に留まって欲しかったと思う反面、一人で残すことに不安もあった。
「さっさと終わらせよう」
 時間をかければ、それだけ問題も出てくることになるだろう。すぐにでも避難を終わらせて、次の段階へ進もうと考える。目の前にある非常用スイッチを見つめると、ゆっくりと手を伸ばす。自身を落ち着かせるため、軽く深呼吸をしたのち、ゆっくりとスイッチを押す。すぐに、危険を知らせる音が鳴り響いた。
「すぐに外……」
 言い終わるよりも先に、闇に包まれた斎はまた周囲の景色が変わったことを知る。初めてでは無いが、やはり急に移動することは慣れることでは無かった。
「天弥。あの三人も居るかも知れないが、住民だけを移動させることは出来るか?」
「やりますよ」
 一緒くたなら楽なのだろう。だが、そこはなんとかして分けて欲しかった。
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