apocalypsis

さくら

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tu fui, ego eris

decem

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 本来ならすでに学校が始まっている時間だ。だが、被害が大きかったせいか公共交通機関は動いておらず、壊れた窓ガラスの破片や建築資材と思われるものなどが、そこかしこに転がっている。倒れた木などもあり、かなりの被害に通常の始まりなど出来る訳がなかった。昨日はそろって逃げ出したという状況であり、被害状況にまで細かく気が回らずに居た。
 斎と天弥は揃って車に荷物を積み込む。
「朝食はどうする?」
「なんでも良いです」
 なんでもが一番困るのだと思いながらも、斎は助手席のドアを開ける。素直に天弥が乗り込んだ。続き、斎も運転席に乗り込む。エンジンをかけ、ゆっくりと発進させた。まずは、朝食を摂れるところを探す。昨日の話の続きは出来なかった。そのため、天弥の最終目的もしたいことも分からないままだ。
「そういえば……」
 一つ、疑問があったことを思い出す。あまりの現実離れした展開ばかりで、深く考える余裕が無く記憶の隅に追いやられていたのだ。
「由香子さんが居ないと天弥が死ぬって……どういうことだ?」
 天弥は、流れ行く景色を眺めている。
「言葉通りです」
 相変わらず、感情が籠もっていないような声音と話し方だった。
「それは……」
「別に、先生が気に病むことではないと思いますが?」
 そう問われれば、返答が出来なかった。一度、どちらかを選ばなければならないというときに、選んでしまっているのだ。だが、あの時とは条件が違う。
「気にする……」
 天弥は車窓から斎へ視線を向ける。
「もしかして、僕の方が良くなったんですか?」
 明らかにからかわれているというのが理解できた。
「いや。だが、気にする」
 以前は、ただ出てこられなくだけだと考えていた。新しい提案は、それぞれ一人になれるということだ。だが、そうなれば、今ここに居る天弥は死ぬらしい。
「先生にしたら、最良の結果じゃないですか? 母が元の身体に戻るのなら……」
「お前が死ぬというのなら、話は別だ」
 天弥は再び外へ視線を向ける。
「人の身体って脆弱すぎるのです」
 ぽつりと呟くように語りだした。
「そして、神の力は途轍も無さすぎます」
 斎は黙って続きを待つ。
「母が、異物として僕の中に居るから抑えられているとでもいうのでしょうか。正直、理屈は分かりません。ですが、おかげで成長も普通でしたし……食欲旺盛というのは抑えられなかったのかもしれませんが……」
 確かに、食べることが好きだ。特に、甘いものに目がない。その細くて華奢な身体のどこに入るのかと考えてしまうぐらい、よく食べていた。
「それなら、やはり二人は離れられないということか?」
「今のところ、そうですね」
 そう簡単にはいかないことを知る。
「あ!」
 流れる景色の中で、天弥はなにかを見つけたような声を出す。
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